第5話 皇帝の元皇帝との謁見

俺とギーアが依頼を終え師匠のところへ戻って来ると帝国の兵士が師匠と話をしていた。

師匠はすぐにこっちに気付いて、

「あっ、お前らもう帰ってきたのか?」

「はい、りゅうまのお陰ですぐに終わりましたよ?」

「なんだよ、ブレードゴブリンをふくむ40体のゴブリンを倒すって?、そんな依頼すぐに終わるよ!」

ブレードゴブリンはCランクの魔物だが、今回は数が多かったから受付の奴らはこの依頼に反対していた。まぁ無理もない、正式には俺とギーアのランクは今Cランクだからな。

(そもそも、反対してくるなら最初からあんな依頼貼ってなかったらいいのに……)

そしてギーアが、

「リュディア師匠は何をしていたんですか?」

と師匠に聞くと、

「いやぁ、急に皇帝陛下に呼び出されてさぁ、お前らも一緒に来いって言われてたんだけどいなかったから、でも今お前らは帰ってきたからちょうど良かったのか?」

師匠と話をしていた帝国の兵士たちは話についていけずに固まっていた、まぁ相手が最強の冒険者だから無意識の恐怖と言う理由もあるだろうけど、

そして兵士たちと一緒に今の皇帝に会いに行った。その皇帝は師匠が言うには強欲だが、民には優しいと言うなんともバランスが取れてないような性格をしているらしい、それからやっと城についてから師匠に連れられて謁見の間に向かい来てみると見慣れた光景がそこにはあった。

「懐かしいなぁ……」

俺は独り言のように言った。

真正面を見るとすでに皇帝の側近と皇帝自身がいる。皇帝の前で立ち止まったあとに丁寧に挨拶をする師匠の様子からしてなんどか呼ばれたことがあるんだろう。

「表をあげろ、冒険者リュディア。」

「……今回の要件はなんですか?」

「相変わらず礼儀が不完全だな。まぁいい、今回来てもらったのはそこのりゅうまと言う冒険者のことで話がある。」

俺のことで!?

「りゅうま、君のスキルがなにか不明なんだ、そこのギーアと言う帝人の女性はスキルを持ってないが、君のスキルの情報だけがない。」

「と、言われても自分のスキルがなにか分からなくて……」

これは本当に知らん!転生とはちょっと違って弱体化してこの世界に転移したみたいなじょうきょうだから。

「陛下、りゅうまのスキルは自分でも分からないみたいですよ?!俺も数年一緒に暮らしていますが一度もりゅうまのスキルをみたことがないんで……」

「ほう、スキルの使い方が分からないと?、まぁいいだろう今日のところは帰れ!その内にスキルは分かるだろう、もしくは持ってないか、しかし人間の帝人はすでにギーアがいるから君がスキルを持ってないとしたら人間じゃないと言うことになる。」

「……わ、分かりました。」

そして話が終わって家に帰って来て部屋に戻っている。今さらだが俺とギーアは同じ部屋だ。

「俺、今日はもう寝る」

「うん、お休みなさい。」

ギーアはもう少し起きてるらしい、それよりも俺のスキルってなんだろう?考えている内に眠りに落ちた。

部屋から出てきたが家の様子がおかしかった、この時間なら師匠が起きてるはずなんだが……、

「あっ、りゅうま起きたの?」

「あ、あぁ今起きた。それよりも師匠はどうしたんだ?いつもならとっくに起きてるのに……」

「リュディア師匠なら置き手紙を置いていって魔物の襲撃があった村に加勢に行くからしばらく帰ってこないって書いてあったからしばらくは私とりゅうまの二人で過ごすことになる。」

「………………りょうかーい」

「なんかいつもより頼りないね?」

「師匠がいないってことは修行できないだろ?その間はとくにすることがない……」

「私は首都の武器屋に行ってくるよ?」

「じゃあ俺も一緒に行く!」

「分かった、武器の手入れしてもらうだけだから寄り道はしないでよ!」

べ、別に一緒に行く理由は1人じゃ不安って言う訳じゃないし!ただ単に暇だから一緒に行くってだけだし!そんなこんなで武器を持っていって武器屋でメンテナンスをしてもらったあと、

「結局こうなったわね。」

「なんだかんだで結局寄り道しちゃうんだよ?」

「私にまでりゅうまの性格の一部が移ったのかも」

「なんだよその言い方は?」

「気にしないで、それよりも早く帰ろう。」

「お、おう。」

当たりを見ながら歩いているとなにやら冒険者ギルドで大規模レイドの準備をしているみたいだった。

「これなんのレイドだ?」

「近くにベータドラゴンって言うBランクのドラゴンが集団で現れたんだって、どうする?参加する?」

「まぁ、それはいいんだが、周りの奴らがCランク冒険者の俺たちのことをどう思うか、だな。」

……どうしてこうなった!?

「どうしたの?、顔色悪いよ」

「しょうがないだろ、レイドの人数が足りないから参加したはいいけど周りの目が……」

周りの冒険者は全員Bランクの冒険者のようだった、そいつらの目で見えている俺たちは完全に見下されてるようだった、

「まぁだいじょうぶよ、ベータドラゴンが4体いるらしいけどBランク冒険者20人なら私達の出番はないだろうし……」

「……それもそっか。」

急にみんなが立ち止まって、リーダー格であろう人物が、

「ついたぞ、各自戦闘準備だ!」

「「「了解!」」」

「どう思う?ギーア、」

「みんな連携が取れてるわね、それぞれの力量を判断してそれぞれの役割をこなしていく感じ、これならベータドラゴンなんかすぐに……」

「いや、待て。ベータドラゴンってあんな見た目だったか?」

情報によるとベータドラゴンは緑色のドラゴンだったはず、俺が見ているドラゴンも緑だが、俺の本能があれはベータドラゴンではないドラゴンだと言っている、

(クソッ、俺が殺されてからこの世界に転移するまでになにがあったんだよ!?あんなドラゴン俺の世界にはいなかったぞ?、ベータドラゴンってやつもいなかったが……。)

「りゅうまはどこみてるの?ベータドラゴンはあっちよ?」

「えっ!?、じゃあ俺が見た奴は?」

あわててそのドラゴンがいた場所を見るがなにもいなかった、

「りゅうま、本当に大丈夫?さっきから様子が変だよ?」

「いや、なんでもないさ。」

気を取り直してベータドラゴンとの戦いを見守ることを再開するりゅうまとギーアだったが、どうなるのか

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