第4話 帝人ギーア
リュディアさんと話していて分かったことがある、それはこの世界が完全な異世界ではなくある程度、俺が生きていた世界の常識を受け継いでいる世界みたいだ、つまりは半分俺の世界と似ていると言うことだ。俺の世界には冒険者と言う職業的なものはあったがランクがなかった、だが、この世界にはランクがある。それと俺の世界にはなかったスキルと言うのがあるらしい。
リュディアさんのスキルは『破壊者』って言うらしくて効果は魔力増強、詠唱短縮、この2つをメインに使っているみたいだが、もっと強力なものがあるらしい。
「この世界で生まれた者はスキルを持って生まれる。……ただ、例外としてスキルを持たずに生まれる奴らがいる、種族に1人だけ『帝人』と呼ばれスキルの代わりに高い身体能力、急速な成長スピードを持つ各種族の変異体たちだ。」
「いまいち分からないような……。」
「つまりはスキルを持たない代わりに肉体が強靭なんだ。」
「なるほど!」
「で、その内の1人が『新星のギーア』、人間の帝人で奴らの中では最弱だが、甘くみてると生きては帰れない、帝人最弱でも1人の強者だ、ほんな奴になめてかかるような奴はそうそういないさ。実際に過去にあいつを見下しながら戦いを挑んだBランク冒険者4人が殺された。その集団は5人だったが、1人はあまり戦う気はなく、むしろ仲間たちを説得していたからギーアからの慈悲で見逃された。」
「結局のところそのギーアと言う人はリュディアさんたちSランク冒険者よりも強いんですか?」
「いや、奴らは一番強い奴でもAランク上位ぐらいの実力だった。正式に冒険者登録はしてないが……」
帝人たちはスキルなしでそんな力を持っているのか……。
「あと、ちなみにSランク冒険者にはそれぞれ二つ名があって俺の二つ名は『暴走の剣帝』って言うらしい!」
この人のどこに暴走の要素があるんだ?
「そ、そうなんですねー。」
「おっと、俺らが剣技の話をしてる間に14時間ぐらいたってしまった。」
「そんなに!?」
窓から外を見ると外は真っ昼間だった。
どおりで眠いと思った訳だ。
それからはいろいろあって俺が冒険者になるためにいろいろリュディアさんに指導してもらっている。そんな毎日が続いて、ある程度基礎が身に付いたと言われたから冒険者登録をするために冒険者ギルドに来ていた。リュディアさんが手続きをしてくれている間に俺は周りの人の中に俺と同年代の奴はいるかな?と思って見ていたが、
(まぁ、俺と同年代の冒険者なんていないと思うがな……)そう思っていると冒険者ギルドに俺と同じぐらいの少女が入ってきた。俺はその少女に話かけようと思って声をかけた。
「ねぇ、君も冒険者になりに来たのか?」
「え、いやちがうの……」
その少女は困ったような表情をしていた。
「あっ、ごめん、困らせた?」
「いや、これぐらいなら困るほどでもないって言うか……。」
その時手続きを終わらせたリュディアさんが戻ってきた。
「りゅうま、手続きが終わったぞ?、早く受付に言ってライセンスをもらってこい!」
「は、はい。」
しぶしぶ受付に行きながら少女を見るとなぜか目を輝かせていた。
「あ、あの!」
「ん、どうした?」
「リュディア様ですよね!」
「あ、あぁそうだけど……」
「私を弟子にしてください!」
「で、弟子って?……」
少々リュディアさんは困っていたが、その言葉を承認した。
なんなんだあの娘?
俺は気を取り直してライセンスを受けとるとリュディアさんと一緒に帰宅していった、なぜか少女も一緒だ。
「なんであの子も連れてきたんですか?」
「いや、家を追い出されたんだとさ……。」
そしてリュディアさんの家でいつも通りに過ごして寝た。
次の日からはリュディアさんの指導を受けて修行に明け暮れる日々だった。この世界に来てから数年間体力をつけたり精神力を鍛えたりしていたから俺はほとんどなんともなかったが、少女の方は限界みたいだった。
「よし、今日はこれで終わりにするか……。」
午前中はこうして修行をして午後はギルドで依頼を受けるという日々を2週間続けている内に俺と少女の身体能力は以前の5倍以上まではねあがった。
今は魔神竜も安定してきたがやっぱり絶竜乱舞は負荷ぎ大きすぎて使おうとすると全身が麻痺して2時間ぐらい動けなかった。少女と依頼をこなしていく中で気付かないうちに二人の間には絆が芽生えていた。
この世界で転生してからもう6年間がたった。俺は小柄な大人と同じぐらいな身長になっていた。
ふと修行が終わった時に少女に聞いてみた
「なぁ、お前の名前ってまだ聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
「……名乗っても怖がらないの?」
「うん。」
怖がらないの?、ってどう言うことだ?。まぁ、いいか
「私の名前は、ギーア、『帝人ギーア』」
「……えっ、お前が師匠の言ってたギーアだったのか!?」ギーアは静かに頷いた。
「あなただけはこの名前を聞いた人の中で唯一こわがらないんだね」
「まぁな……。」
「今度はあなたの名前を聞かせて?」
「よく間違われるんだけどな。」
「間違われるって?」
「まぁ、聞けば分かるよ。俺の名前はりゅうま、この名前、りゅうま皇帝と被ってるからな?」
「りゅうまか……、私はその名前いいと思う。」
「……ありがとう、」
「さぁて、そろそろ依頼をこなしに行こうぜ!」
「うん、行こう!」
そうして依頼を受けにいったりゅうまたちなのであった。
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