第3話 二人の『剣技魔神竜』
「身体は……、なんともないことはないみたいだな」
「はい、少し身体に負荷をかけすぎて……」
「そうか、ならあのドラゴンは、俺が倒す!」
「!?、速い!」
音を置き去りにしているほどの速さでそのドラゴンを切り裂いていく、俺の後ろで怯えながら見ている子供たちには見えないだろう、見えていたとしたら一瞬で動く閃光のような動きだ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
「……そこだ!、魔神竜第一式、破天斬竜!」
ちょっとまて!?、なんで魔神竜の剣技が使えるんだ!?あの技は俺が開発して数人の弟子たちに教えて……、でもその弟子たちですら魔神竜第四式までの再現が限界だったんだぞ?。
「ちっ、ギリギリ耐えやがった!」
破天斬竜は本来広範囲を横切りでなぎ払う技だ。その一撃には隕石と正面衝突するぐらいの破壊力がある。
「リュディアさん後ろ!」
「痛っ!ちっ、不意打ちか!?」
リュディアさんが負けたら俺たちはおしまいだ。……まてよ?、第八式の負荷が大きすぎて今身体じゃ使えないとなると、第四式でいけるんじゃね?
「やるか!、魔神竜第四式、聖魔滅殺!」
このわざは自身のオーラに反応して災害級の爆発を発生させる、その爆発の推進力を利用して超高速で相手を切る、切るときに属性を纏われたときの威力はリュディアさんが放ったドラゴンブレイクの17倍ほどの威力がある。ただし、『本来の姿の俺』ならの話だ。
「…………。」
ドラゴンを切れた感覚はほとんどなかったが、あのドラゴンの身体が少しずつ崩壊していくのが見える、とても希少だが倒されたときに死体を残さずに消えていく個体がいるとも聞いたことがある。
「もう一体は……まかせました!」
「分かった!、りゅうまはしばらくそこで休め!……もう油断はしない!」
ドラゴンが咆哮すると共にリュディアは自分の刀に魔力を纏わせた。
「魔神竜第五式、次元断裂。」
「魔神竜の剣技を第五式まで……使えるとは、さすが、最強の冒険者……だな。」
意識が朦朧としてくる。その時、最後に聞いた言葉は
「安心してくれ、……もう……終わった。」
どうやらギリギリで倒したようだった。
「……!?、ここは?」
「目覚めたんですね、良かった!」
誰だ?、あえて声には出さないでおく。
「大丈夫ですか?、あなたは5日ほど起きなかったんですよ!」
「いきなりなんですけど、リュディアさんはどうしたんですか?」
「俺ならもう復帰したよ。」
声のした方を見ると優雅に紅茶を飲んでいた。
「あのあとすぐにお前をギルドに運んで治療してもらってたんだ。そのお陰で俺は自分の回復を優先できた。まぁ、回復魔法で治しただけだが……」
「使えるなら俺にも……」
「すでに試しました、しかしなぜかあなたには回復魔法の効果がなかったのですよ?」
「回復魔法が効かなかった!?」
それからは俺が目覚めるまでのことや、ドラゴンを倒したあとのことを聞いた。その話が終わったら俺はリュディアさんに聞きたいことがあったから聞こうとしたらリュディアさんとタイミングが被った。そして俺から言うことになった、
「じゃあ、リュディアさんはなぜ、剣技魔神竜を使えたんですか?」
「奇遇だな、俺もまったく同じことを聞こうと思っていたところだ、
「「これは俺が開発した剣技なのに……!?」」
両者共々驚きを隠せなかったような表情をしていた。まったく話について行けなかった回復専門(らしい)の魔術師は部屋から出ていった。
「りゅうま、じゃあ、第八式の名前はなんだ?」
「魔神竜第八式、絶竜乱舞です!」
「驚いたな、まさか剣技の名前だけじゃなくて技名も一緒だとは……」
「まさかこの大陸、『グラン』に俺と同じような才能を持ったやつがいたとは……。」
ちょっとまて!?大陸グランだと?、俺がいた世界にもあった大陸の名前じゃないか!?
「そうだ!。この大陸、グランといえば、『りゅうま皇帝』の行方が分からなくなってからそろそろ15年ぐらいがたつな。」
「りゅうま皇帝!?、それって……、リュディアさん、りゅうま皇帝のことをもっとよく聞かせてください!」
「……、15年前までは帝国の皇帝で、歴代最強だったってことは知ってるな?」
「はい。」
最強かどうかは分からないが、話を合わせておく
「りゅうま皇帝は遠征中に行方不明になったらしい、それからは同盟国の主、魔王ヴェルゼラの配下たちが総員で探しているらしい。俺が知ってるのはこれだけだ。」
ところどころ違うな、俺は行方が分からなくなったんじゃなくて魔王ヴェルゼラに殺されたんだ。
それからもひたすら会話は続き、次の日の朝まで二人の話声が聞こえていた。
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