むし
キャベツの葉を剥がして
見つけてしまった小さな虫
あなたはどこから来て
これからどうなるのだろう
小さくちぎった葉の上に
虫を乗せて ベランダの隅に
次の日には葉だけが残る
あのこはどこへ行ったのだろう
意外と近くにいるのかもしれない
わざと覗きはしないけれど
もしかしたら植木鉢の中に
それとももうここにはいないのかな
あのこがいたのはどんなところだろう
どんな空が見えて
どんな空気の色をして
どんな音がきこえるのだろう
あのこは帰りたがっているだろうか
こんな寂しい街ではなくて
広く大きな優しい町に
もしかして
ぼくもそうなのだろうか
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