第24話

 それぞれの部隊に分かれ説明を受けた後、ダリルは割り当てられたキャンプテントへと向かった。それはとてもじゃないが立派とは言い難く、雨風を凌いで寝ることができる程度の設備しかなかった。ダリルがテント内に入ると既に先客がいた。

「こ、こんにちは!」

 おどおどしているがとりあえずの挨拶を、といった様子で向こうから声を掛けてきた。

「ぼ、僕は、ソニア・サンダー。よろしく。」

 終始落ち着かない様子でソニアはダリルに手を差し伸べた。

「ダリルです。ダリル・ジニア。よろしくお願いします。」

 ダリルはソニアの手を握り返しながら挨拶を交わした。どうやら自分とそう年齢も変わらない様子だ。それにしてもどこかでソニアについて見覚えがあるような気がしていたが、先ほど集合していた時に半べそをかいていた者だということをすぐ思い出した。

「僕、すんごく怖がりで、ここに来てビビっちゃって…。今も怖くて怖くて堪らないんだ。同室の人も怖かったらどうしようって不安だったんだけど、ダリルくんは優しそうな人で良かった。」

 ソニアは今までの緊張が少し解けたのか、ダリルににっこりと笑顔を向けた。どこか気の抜けたような笑顔なのだが、ダリルにとってもそれは緊張を解す効果を持っていたようだった。

「俺もここに来てずっと不安でいっぱいだったんだけど、ソニアくんのおかげで少し不安も薄らいだよ。ありがとう。」

 こうして、凄惨な戦地にありながら、ダリルとソニアは出会ったのだった。

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