第24話
それぞれの部隊に分かれ説明を受けた後、ダリルは割り当てられたキャンプテントへと向かった。それはとてもじゃないが立派とは言い難く、雨風を凌いで寝ることができる程度の設備しかなかった。ダリルがテント内に入ると既に先客がいた。
「こ、こんにちは!」
おどおどしているがとりあえずの挨拶を、といった様子で向こうから声を掛けてきた。
「ぼ、僕は、ソニア・サンダー。よろしく。」
終始落ち着かない様子でソニアはダリルに手を差し伸べた。
「ダリルです。ダリル・ジニア。よろしくお願いします。」
ダリルはソニアの手を握り返しながら挨拶を交わした。どうやら自分とそう年齢も変わらない様子だ。それにしてもどこかでソニアについて見覚えがあるような気がしていたが、先ほど集合していた時に半べそをかいていた者だということをすぐ思い出した。
「僕、すんごく怖がりで、ここに来てビビっちゃって…。今も怖くて怖くて堪らないんだ。同室の人も怖かったらどうしようって不安だったんだけど、ダリルくんは優しそうな人で良かった。」
ソニアは今までの緊張が少し解けたのか、ダリルににっこりと笑顔を向けた。どこか気の抜けたような笑顔なのだが、ダリルにとってもそれは緊張を解す効果を持っていたようだった。
「俺もここに来てずっと不安でいっぱいだったんだけど、ソニアくんのおかげで少し不安も薄らいだよ。ありがとう。」
こうして、凄惨な戦地にありながら、ダリルとソニアは出会ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます