第4話碩学の研究4

「碩学」とは何かという話ですが。要するに、伊東乾の音楽だけ、文学だけ、物理学だけ、情報学だけを切り取って批評すれば、それは二流かもしれない。ただ、「すべて」を繋げると、専門知には見えない景色が、伊東乾には見えたのでしょう。


大変傲慢な、不遜な考え方かもしれない。気を悪くされる専門家もいらっしゃる事でしょう。ただ、猫も杓子も専門知ばかりで隣りの専門家が何をやっているのか皆目分からない、それで良いとされている時代に風穴を空けたい。そういう心意気をご理解願いたい。


伊東乾の著書で「碩学」の特長がよく出ているのは「バカと東大は使いよう」だと思います。題名はアレなんですけど、この本は要するに「碩学のススメ」です(´・ω・`)


ただ、音楽とか食とかモードとかサッカー、野球。文化はときに言葉を超えた不思議な魔力を発揮する。言葉が何も信じられなくなったとき、文化が人間の心を動かす大きなモチベーションとなることがある。碩学は言葉の力と同時に文化や芸術の力も信じているのです(´・ω・`)。


以前にも申し上げましたが。一流の学者、政治家は同時にしばしば一流の芸術家、文化人でもある。これは決して偶然ではなく、文化は人間の根源的な能力と魅力を担保するものであるからだと、わたしは考えます。


わたしが今後日本世界の碩学経済学者に質問してみたいのは。財政ファイナンスは永久にし続けなければいけないのか。利上げする場面が来ても財政出動を続けても問題ないのか。格差是正の処方箋は存在するのか。などです。


訪ねてみたいのは、バーナンキさん、イエレンさん、コルテスさん、トリシェさん、ドラギさん、ラガルドさん、ケルトンさんなどです。日本人でも訪ねてみたい碩学は多い。


中国の経済学者も訪ねてみたい。中国経済があれだけ上手くいっている訳ですから。


中国は経済学のみならず哲学者碩学ですね。東浩紀さんは突き詰めれば西洋哲学はソクラテス東洋哲学は孔子に行き着くと看破していた。東洋哲学、中国の碩学の思想というのも無視できないところです(´・ω・`)。


そんなに何でもかんでも分かる訳がない。知れば知るほど知らないことだらけで、畏れを知ると。わたしが知ってるのは、コロナ対応、積極財政、LGBTの研究。今後は、社会民主主義革命と地球環境問題の研究に取り組みたい。まだ雲をつかむような話ですが。なんにせよイトキンが帰ってきて良かった。


「碩学の研究」こそがわれわれの人生の究極の目的であり、伊東乾たちも同様であると信ずる。伊東乾を慕うのは不思議と非東大が多い。彼自身は東大に拘泥しているが学校秀才にはむしろ彼の真価は理解できない傾向にあるのではないか。


基礎学力を持ち合わせながら、遊び心がありクリエイティブな碩学。わたしは現代の日本で数人の碩学に狙いを絞っている。伊東乾、左巻健男、茂木健一郎、東浩紀、宮台真司、養老孟司、中野剛志など。全員いつかはじっくりお話を拝聴したい碩学たちである。


こういう所に芸術の本質が隠されている気がする。なぜ17世紀にダヴィンチやベートーベンに感動した大衆が現代では辟易しているのか。時代背景、歴史の文脈の中での芸術の位置づけを芸術家たちは考える必要がある。ピースだけ切り取っても芸術たりえないということ。


どんなに無知無教養な人間でも必ず感動できるのが本当の芸術なのです。では、どうすれば人々は感動してくれるのか?わたしは伊東乾のヒントのもと朧気ながらその正体を掴みつつある。


伊東乾のライフワークである「音学」というのは、クラシック音楽を物理学的に分析することにより音楽の正解を導き出すというもの。それはそれで結構だが。なぜ伊東乾や黒川が久石譲に負けているのかというと、技量の問題ではなく、大衆の熱、「感動」の問題でしょう。その、芸術が生み出す「感動」の正体を炙り出していこうと思う。


「碩学の研究 ~芸術の正体~」です。人間を感動させるモノは須らく芸術であるならば、政治や経済もときには芸術になり得る。オバマ大統領の世界平和、平成天皇の生前退位。旧くはマルクスやケインズまで。すべて時代を彩った、大衆の感動を集めた芸術であったといえる。


なぜ、一流の芸術家には一流の政治家や学者が多いのか。それは偶然ではなく、お金の問題でもなく。彼らが人生のすべてを賭して成し遂げた仕事が芸術的であり、人々の感動を呼ぶものであったからではないか。


これは、本当の芸術とは極めて「碩学的」でなくては、その本質には迫れないということではないか。まさに、伊東乾と黒川の違いはその「碩学性」にある。

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