妹に全てを奪われた私はイケメン公王の力で復讐する。イケメン公王からのプロポーズを添えて
アオ
タイトルのまんま
「マリー!何をしているんだ!」
そう言ってお父様が物凄い形相で怒鳴ってきた。私はただ義妹がやらかした事をフォローしていただけなのに。なんで!
あの子が来るまでは優しい方だったのにーーーー。
あの子、お父様の隠し子である義妹が我が家に来たのは3年前。
義妹が来るまでは我が家は平和そのものだった。代々続く伯爵家でそこそこ裕福な家の1人娘として産まれた私は厳しいながらも私には甘いお父様、穏やかで優しいお母様、そして私を溺愛してくる2歳年上の幼馴染の婚約者と共に私は充実した日々を送っていた。
お母様とお父様は政略結婚ながらもお互いを尊重していたし、婚約者は幼い頃から私を気にかけてくれた。
ところが、お父様が外で作った女との間に生まれた子供が、母親が亡くなったためにお父様が引き取ることになった。
私も最初は母を亡くし、心細いだろうと思い色々と気にかけて、家の案内をしたり、お洋服を選んだり、私の友達に紹介したりした。少しでも慣れる手助けになればいいなと思っていた。だが義妹は私と2人の時だけ、
「ねぇ、お姉様ってなんでそんなこともできないの?」
「これやっといて。」
「ほんと最悪。なんでこんなのが私のお姉様なの?」
義妹は私を罵った。
そして両親や使用人の前では私にへりくだって接して、異様に謝り、お父様はそんな義妹を庇い、私を悪者扱いし、使用人は侮蔑の目で見て来た。
あんなに義妹を嫌っていたお母様でさえ、ついには義妹を庇うようになった。
私は何もしていないのにーーーー。
また、私の友達に対しても義妹は私の悪口を言い、何故か義妹に接するまでは私に味方した友達も義妹に会った後は両何故か親の様に義妹を全肯定した。それにみんな目が虚ろで様子がおかしい。婚約者は今まで手紙や贈り物を欠かすことがなかったのに義妹に会ってから、それも途絶えた。そして突然会いに来たと思ったら
「義妹と婚約したいから私と婚約破棄したい。」と言い出した。私はビックリし、そしてその言葉が嘘だと思いたくて
「えっ、どういうこと?なんで?ひどいよ。イーサン。私と婚約したいと言い出したのはイーサンのほうなのに。私に対して申し訳ないと思わないの?」
そう言ってイーサンを見た。でもイーサンは
「ごめん。」
そう言ってこちらを見もせずに去っていった。それ以上何も言わないことが信じられなかった。
ひどい!ひどい!ひどい!
せめてあなただけは裏切らないでと信じていたのにーーーー。
その日の夜、私は部屋に篭り泣き明かした。
やっぱり何かおかしい。違和感ばかりが膨れ上がっていった。
そんな日々を送っていたとき、私は聞いてしまったのだ。
「ねぇねぇ、お父様、お母様。お姉様は私のことを嫌いみたい。それなのに私を毎日見なくちゃいけないなんてお姉様が可哀想だわ。だからお姉様をどこかへやって差し上げたら?」
義妹が笑いながらそう言った。
するとそれを聞いた両親は
「そうだね。そうしよう。あなたは優しいお姉様思いのいい子だね。マリーはどこか別のところへ行ってもらおう。昔はあんな子じゃなかったのに。」
と言った。まるで当たり前のことを聞いたみたいに。
私はそれを聞いて絶望し、本当に誰も信じられなくなってしまった。
そして翌日、私は馬車で辺境の土地へ送られることになった。御者以外はお供のものさえいなく、粗末な持ち物と一緒に文字通り身一つで放り出された。それは貴族の娘としてはあり得ない待遇だった。
ガタンガタン!キキー!
人影がないところで馬車が急に停まった。何かあったのだろうかと窓の外へ出ようとした時、急に御者が近づいてきた。急に身の危険を感じ、馬車の扉を開け走り出した、と同時に御者が剣を抜いて追いかけてきた。
「待てーーー!」
私は走った。これまで走ったことのないくらい速いスピードで。捕まったら確実に殺されると分かっていたから。
はあ、はあ、はあ。
ゼェ、ゼェ、ゼェ。
なんとか逃げることができた。
でもどうしよう?このまま戻れば殺される。でも行くあてもないし……
私が泣きながら木のそばで座り込んでいると馬車に乗った貴族のような男が通りかかった。
チラリとそちらを見ると、かなりの高価な服だということが分かった。多分伯爵や侯爵、公爵の家のものだろう。
男が近づいてきた。
私は警戒したが、男はそんなこと気にもせずに話しかけてきた。
「どうしたんですか?お嬢さん。何かお困りですか?」
私が泣いていることに気がついたのだろう。ハンカチを渡してきた。
「よかったら使ってください。」
私はそのハンカチで涙を拭いた。
そして少し落ち着いてきたので男の方を見た。
すると男は心配そうな顔で
「お嬢さん、何があったかわかりませんが、貴族のお嬢さんがこんなところで伴のものもなく座って泣いているところを見ると何か大変なことが起きたのでしょう。
私に何かできることがありましたら、どうか手助けさせてくれませんか?」
と言った。私は
「あなたは誰なんですか?名乗りもしていない人に頼むことはできません。」
と言った。
「ふふっ!これは失礼。私はアルベルト ソスタ。ソスタ公国の公王です。」
「えっ!公王様。私はなんて失礼なことを。申し訳ありません。私はマリー フォンダン。フォンダン伯爵家の娘です。」
「どうしてあなたがこんなところで1人でいるのですか?」
そう聞かれ私はこれまでのことを説明した。するとアルベルトは何か考え込むような素振りを見せてから私に
「よかったら私と一緒に来ませんか?お話を聞いたらどうやらその原因に心当たりがあるので。」
行くところがない私は
「一緒に行きます。」
こうして私は絶望しているところでひょんなことからスマートでイケメンな公王アルベルトと出会い、アルベルトに同行することになったのだった。
馬車に揺られながら私はアルベルトと色々な話をした。趣味や好きなものだとたわいもない話だ。私はそんなたわいもない話をできるのが嬉しかった。今まではそんなことできなかったから。
そして公王でありながら、にこやかで気さくなアルベルトに私は好印象を持った。
馬車が泊まった。窓の外を見ると人で賑わった活気あふれる街並みに私は目を奪われた。
「っ、すごい!」
「人が多くてびっくりするだろう?この景色は30年前に生まれたんだ!30年まではこの国も普通の国だったんだ。でも30年前に即位されたお祖父様はとても優秀な方でね、色々な政策を作ったんだ。私はそんなお祖父様を尊敬しているし、私も民に慕われる公王になりたいと思っているんだ。
」
「アルベルト様ならきっとなれます。」
アルベルトは私を見て微笑み
「ありがとう」
と言った。その微笑みがとてもかっこよくてなんだか胸がドキドキしてきた。
アルベルトが住む公王宮の一室でアルベルトと私の周囲に起きたことについて話すことになった。
「実は私はあなたの周りが急に変わったのはあなたの義理の妹である彼女の持つ能力によるものだと思っているんだ。」
アルベルトはそう言った。
「えっ!どういうことですか?」
私が聞き返すとアルベルトは険しい顔で
「私の国にはある伝説があるんだ。
ーー光をもたらすもの闇によって隠される。闇は人々の心を操り、光を消そうとする。光をもたらすものそのもの、万物を癒す力を持つものなりーー。
ただの伝説だと思うかもしれないが、実際30年前にも光と闇に該当する人物がいたんだ。1人は魅了の力、もう1人は癒しの力を持っていたんだ。当時も魅了の力を持つものが癒しの力を持つものを消そうとしたんだ。その魅了に引っ掛からなかったお祖父様が周りから虐げられていた癒しの力をもつものを助けたことで、我が国は繁栄の一途を辿ることになったんだ。」
「そんなことがーー。」
「私は君が癒しをもたらすものだと思っているんだ。」
「えっ?そんなことないはずです!」
「今まであなたがいると周りの人に元気になるとか幸せな気分になると言われたことはある?」
「そういえば・・・・・・」
そういえば幼い頃からよく周りの人からそう言われていた。不思議と義妹が来てから言われることは無くなったが。
「それがあなたが癒しの力を持っている証さ。試しに癒せっと心の中で念じてみて。」
「分かりました。」
(癒せ!)
すると指から光が出てアルベルトの体に飛んで行った。
私はびっくりした。今までそんなこと出来なかったのに。
「ありがとう。マリー。おかげで古い傷が癒えたよ。」
「なんでいきなりこの力が使えるようになったんですか?」
「それは公王の血を持つもの、私と一緒にいるからだよ。癒しの力は公王、つまり龍の子孫と一緒にいることで発現するんだ。魅了の力はある程度の年齢になると発現するんだけどね。」
「そうなんですか!知らなかったです。」
「無理もないよ。この話は極少数の人間にしか伝わって居ないんだ。」
「じゃあ私の周りの人がおかしくなったのって・・・・・・」
「多分魅了の力によるものだ」
「そんな!私はいきなりみんなが私にだけ冷たくなって悲しかった。ついには命まで狙われたのにそれがそんな力によるものだったなんて」
「大丈夫?」
「辛いだろうね」
「ええっ、大丈夫です。そうと分かったからにはみんなを元に戻したいです。」
「そうだね。魅了の力を持つものが好きにその力を使ったらとんでもない事になってしまう。どうにかしないと。」
アルベルトはそういうとベルを鳴らし、使用人を呼んだ。そしてその使用人に
「闇が出た。これより緊急会議を始める。」
そういった。そして
その使用人は「承知致しました。」
というと一礼して去っていった。
「あのー、今のはなんですか?」
「公国では30年前のことを踏まえて、
魅了の力を持つものが現れたときに国の上層部で集まってどう対応するか話し合うんだ。」
「どうって例えばどうなるんですか?」
「そうだね、魅了の力を持つものが良識ある人物だと会議で判断されたら力を封印するし、もしそうでなかったら幽閉や処刑も在りうるかもしれない。どちらにせよその人物の人柄によるが。」
「力を封印できるのですか?」
「ああっ。封印できるがそのためには癒しの力を持つもの、つまり君の力が必要なんだ。だからこそ魅了の力を持つものは君を狙ったのかもしれない。」
アルベルトは深刻そうな顔でそう言った。
私は多分不安な顔をしていたのだろう。
アルベルトが
「大丈夫!一緒に協力すれば何とかなるよ。」
と励ましてくれた。
会議が開催された。
残念ながら私は出られないがアルベルトが結果を教えてくれるだろう。
人が沢山出てきた。私は通りかかる人に会釈をしつつ、アルベルトを待っていた。
アルベルトが来た。「アルベルト様、どうなったのですか?」
「じつは、魅了の力を持つものの調査結果を踏まえて彼女は幽閉されることになった。彼女の持つ力は危険だし、彼女のあなたに対する行動が決めてになったみたいだ。」
「そうなんですね、、、」
私はなんとも言えない気持ちになったがこれでようやく周りの人が元に戻ると知って嬉しかった。しかし今更元の関係には戻れないと思い再び気持ちが重くなった。
そしてアルベルトとのお別れも近ずきさらに寂しくなった。
そしてアルベルトと別れる前日の夜
アルベルトと一緒に夕食をたべていると
急にアルベルトが言った。
「マリー、そっちに行ってもいいかい?」
「ええ。」
「私は最初あなたのことをよく知らなかむたし、たまたま道端で出会った時はなにか辛いことがあった子だとしか思っていなかった。でもこうして日々を過ごしていくうちにあなたの優しい行動や気ずかいを知って君のことが気になり出したんだ。そしてこの間、あなたは義妹に嫌がらせや命を狙われたのに義妹のことを一切悪く言わなかった。私はそんなあなたが好きになってしまったんだ。だから私と結婚してくれませんか?私はあなたと一緒に生涯をあゆみたいんだ。」
私は予想外のことに驚いたが、私もアルベルトのことが知らないうちに好きになっていたので嬉しくて涙が出てきた。
「はいっ!喜んで!」
そうして私はアルベルトと結婚し幸せな一生を送ったのだった。
3人の子供に恵まれて私は穏やかに暮らした。
END
義妹の末路
義妹は公国に引き渡され、
そして公国の辺境にある薄暗い地下牢に幽閉された。彼女は一生外に出ることは無いらしい。
たまに近所の人がそこを通りかかると
「許さない!ふざけんな」
などの言葉が叫ばれるらしいが、
すぐに見張りの兵によって黙らされるらしい。本当にどうしようもない女だ。
家族の末路
一生後悔してマリーに会おうとしたがついにマリーは家族に合わなかった。
恋人の末路
恋人はマリーに申し訳無いと思ったが
その8年後結婚。
しかし結婚相手に裏切られ、大量の借金を抱えることになった。
そして病のさなか1人で静かに亡くなった。
#==
読んで下さりありがとうございます!
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妹に全てを奪われた私はイケメン公王の力で復讐する。イケメン公王からのプロポーズを添えて アオ @aoiyun
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