第7話  訓練開始!!

「剣が決まった所で、その剣を自由に扱えるように身体づくりをする必要があります」


 ハルアが言った。


「身体づくり?何をするんだ!?」


「まず基礎体力作りからです。走り込みから始めましょう」


 アンナレッタは頷いた。


 そして夜明けから、日の出までの誰にも見られぬ時間に行うことになった。

 ロイルの姫が、真昼間に剣の稽古をしていたら、あっという間に噂になってしまう。

 ロッソや、サヤもうるさいに違いない。


 次の日から、走り込みが始まった。

 正騎士でありながら、自前の毛皮のマントを愛用していたハルアは、マントを脱いで、下に来ていた特注の鎖帷子も脱いで、軽装になった。


 アンナレッタは、革の上着を着て丈の短い半パンをはいていた。


 ハルアが、走り始めるとアンナは、ダッシュしてあっという間に差をつけてしまった。


「アンナ様!!お待ちください!!」


 ハルアに声をかけられて、アンナは足を止めた。


「何だ!?」


「ゆっくり走る訓練です。わたしと一緒に走りましょう」


「足には自信があるんだ。何でそんなにゆっくり走る理由があるんだ?」


「わたしとて、遅いわけではありません。しかし、これは剣の訓練です。

 足並みをそろえて、一緒に励まし合って走るんです。早く走れば良いというものではありません」


「ふ~ん?」


 アンナレッタは、納得がいっていないようだったが、ハルアの所まで戻って来た。そして、一緒に走り始めた。


 しばらくアンナレッタと一緒に走って、ハルアはあることに気が付いた。

 アンナレッタが汗を一粒も掻いていないのだ。

 ゴーグルを頭に上げて、確認をしてみた。

 なんと、足が浮いてるではないか!!


「アンナ様!!ズルは駄目です!!」


 アンナレッタは悪びれも無く、


「バレたか……魔法を使ったのが……」


 頭上では精霊のリカルドが、大きな溜息をついていた。

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