第6話 ロイルの姫の剣選び
次の日には、ハルアは正式なエル・ロイル家の警備騎士になっていた。
光りの神殿の警備騎士に飛ばされた方の騎士は、ハルアの顔を見て(「熊女
じゃねえか!!」)と不服そうだった。
きっと、ハルアの身分を知ってのことだろう。
ハルアは、黙って頭を下げて騎士が屋敷を離れて行くのを見届けた。
今日は、アンナレッタの剣を選ぼうという事になった。
相応しい剣を選び、身体を作っていく必要がある。
アンナレッタは、迷わずに光の神殿へ向かった。
「姫様、武器庫は騎士団の方ですよ。鍵は預かってきましたから。」
「私の事は、アンナと呼べ。魔法剣を探すに決まってるだろ!!」
「では、アンナ様。わたしはお役御免です。わたしは、魔法剣の扱い方を知りませんから」
アンナレッタは、顔をしかめた。
そんな反応をされたのは、初めてだったのだ。
しばらく考えてアンナレッタは、魔法剣を諦めた。
自らが、魔法使いなのだ。
魔法剣でなくとも良いのではないかと。
ハルアに馬に乗せて来てもらい、騎士団のある銀の森の西に移動した。
移動中に、ハルアは目にゴーグルの様なものを付けていた。
アンナレッタには、不思議であったがハルアの目には、リドムの葉っぱがチカチカ目に刺さるらしい。
誰も武器庫へ近付かない時間帯に二人は訪れた。
「アンナ様、念のために姿を消せますか?」
アンナレッタは頷いた。
リカルドに風のマントの術で身体を覆ってもらう。
ハルアが鍵を開けると、アンナレッタは姿を現して大剣の方に向かった。
見かねてハルアが、言った。
「女の子には、軽い剣の方が良いですよ」
と、諭す。
しかしアンナレッタは、大剣を引っ張り出す。
振り上げようとして、身体ごとひっくり返ってしまった。
アンナレッタの身体には神の血が流れていて、普通の13歳よりも成長が遅いのだ。
小柄なアンナレッタは、諦めきれずに(『より丁度良い剣』)を探していった。
そして程なく、両手ならばなんとか扱えるサイズの剣を見つけた。
「アンナ様、どちらを持つか分かりますか?先っぽが尖ってない方ですよ」
アンナレッタは、馬鹿にされたと思って、その剣で軽くハルアの頭を叩いてやった。
ハルアは、アンナレッタの選んだ剣について何か言おうとしたが、やめておいた。
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