第5話  アンナレッタの孤独

「ロッソ。私は、ハルアから剣術を習うぞ。」


「姫!?何をまたお考えになってるんですか!!」


「私も、ディマ・ヘッセルのような魔法剣で、戦ってみたいんだ!!」


 サヤが、持っていた茶器を落とした。


「アンナ様!!あれは、千年前の英雄談ですよ。」


「サヤ、お前、姫に何か渡したのか?」


「はい、姫様が大層退屈されていたようですので、昔の英雄の話を……」


「姫は、見事にツボにハマッタな……」


 ロッソは、ため息をついた。


「部屋は、サヤの隣が開いてたな」


「滅相もございません!!巫女様の隣の部屋など……使用人部屋で充分です。」


 ハルアは、慌てて言った。


 アンナレッタは、ハルアをロッソたちに紹介すると自室に籠ってしまった。


「アンナ様、夕食が出来ていますよ。部屋まで届けますか?」


 アンナレッタは頷いた。


 ハルアは、何故みなと一緒に食べないかと聞いてみた。

 ハルアの常識では、食事は、たくさんの人数で食べることこ方が美味しいはずだった。


 でもアンナレッタは、食卓にみながいても、食べるのは1人だという。

 アンナレッタが食べ終わるまで、誰も食事には手をつけないのだ。

 主君たる者より先に食事を終わらせることはない。

 アンナレッタは、それを嫌った。

 それならば、一人で自室に籠って食べている方がマシなのである。


 ハルアは、サヤからアンナレッタの生い立ちを聞いた。


 聖なる光の神、イリアス・エル・ロイルの直径のただ1人の子孫のこと。

 銀髪、銀の瞳の神の容姿に近い親族の中で、西域出身の母方の姿を受け継いでしまったために、不貞を疑われた母は、里に帰り、父親にも振り向いてもらえていないことを聞いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る