第4話  エル・ロイル家にて…

 ハルアは、アンナレッタの命令という形でその場から、奥の院のエル・ロイル家の屋敷まで連れてこられた。


「姫様、ワタシにも任務があります」


 ハルアは、そう言って断ろうとした。

 だが、後ろから風に押されているように足が勝手に動いて、アンナレッタの後をついていくのだった。


「お前の所属は、騎士団か?なら、心配ない、配属先がエル・ロイル家の警備に変わっただけのことだ」


 屋敷では__


 エル・ロイル家では、アンナレッタの養育係の神官のロッソと、巫女のサヤがアンナレッタの帰りを待っていた。


 近頃のサボり癖には、目に余るものがあった。ここは一発お灸でも据えようかとロッソが待っていると、アンナレッタは見知らぬ女性を連れて帰ってきた。


 金髪にも見える茶色の髪、とび色の意思の強そうな瞳が印象的だ。


 50代を超えたロッソよりも、大分身長が高くて見下ろされてしまった。


「今日から、屋敷の警備を増やす。えっと……名前はなんというんだ?」


「ハルア、モートレックにございます。

 ですが、一介の大神殿の警備騎士が、こんな奥の院のお屋敷の警備など無理な話でございます」


「そうですな、姫。お屋敷には既に2人屈強の騎士が、警備についてます。

 そのお嬢さんの仕事はありませぬぞ」


 ロッソのその言葉に、アンナレッタは言った。


「なら、1人を光の神殿警備に飛ばせば良い。ハルアの主な仕事は、私の剣術指南だ」


 アンナの言葉にロッソもサヤも言葉が出なかった。

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