第10話 呼び出し

「なんで呼ばれたら分かるか? ハルカ・レイン? 」


 西洋風の空き教室でアサカ先生は問う。


「さぁ見当もつきません」


 ハルカは余裕ある態度で応答する。


「まさか自覚がないとは。では仕方なく教えてやろう。お前はマーシャ・アイリスにいじめをしているな? しかも暴力的ないじめを。お前が女にも関わらずな」


「…………そうですが。どうして知っているのですか? もしかしてあのブサイクな女から報告を受けたんですか? 」


 ハルカはあっさり認める。


「やはりな……。その様子だと、自分が悪いことをしていると分かってないようだな。ならば私が分からせてやる! 」


「は? できるんですかそんなこと」


「何を言う。この学校ではいじめをした者にはいじめの内容と同等の罰を下すことができる。もしかして存じ上げなかったのか? 」


 アサカ先生は邪悪な笑みを形成する。


「……え!? じゃあ私これからどうなるんですか!? 」


「今更遅いわ馬鹿め!! お前には暴力行為を行った罰としてお前がマーシャに攻撃したいみたいに暴力を奮わせてもらう。具体的にはビンタや蹴りなどをな」


「そ、そんな……」


 ハルカは顔を青ざめる。


「安心しろ。暴力と言っても手加減してやるし、気絶したら保健室に運ぶから死にはしない。それにもしお前がまた暴力行為を働いたら今度はもっと酷い目にあうぞ? 」


「うっ……わかりました……」


 ハルカは怯えた顔になる。


「さぁ、今から始めよう。せっかく空き教室に呼び出したのだからな」


 愉快な笑い声をアサカ先生はあげる。


「本当にあなたは先生なのかよ…」


 静かにハルカは不満を発する。睨みつけながら。


「好きに言ってろ。だが、恨むならいじめといった愚行を実行した自分を恨むんだな。おっと私を恨むなよ。ガッコyのルールで仕方なく罰を執行するのだからな! 」


 そして、ハルカへの暴力行為は始まった。


「ふんっ! 」


 バチンッ。


「くぅっ……」

ハルカの顔に綺麗な紅葉ができ、床に倒れ込む。


「どうした? こんなもんじゃないだろ? マーシャはもっと苦しんでいただろ? 言っただろう同等の苦しみを与えるって」


 ニヤリとしながらアサカ先生はハルカの胸ぐらを掴む。


「ひ、ひぃ~。許してください。もう一生しませんから」


 ハルカは恐怖からブルブルと過剰に身体全体を震わせえる。


「ごめんで済んだら警察は不要なんだよ。もっと絶望した顔を見せてみろ! 」


 ドゴッ。


「ぐふっ……」


 お腹を思いっきり蹴られる。


「もう嫌だよぉ……」


 涙目になりながらハルカは弱音を吐き続ける。


「自分に甘いな。まだ終わりではないぞ。次は足を狙う」


「いやあああああっ!!! 」


 ハルカは叫び声をあげる。


「やめてぇ! お願いしますからやめてください!! 」


 必死に懇願するが……


「黙れ!! 」


 ドカッ!


「うぐっ……」


 また蹴られた。


「ああああっ!!! 」


 アサカ先生からの暴力は止まない。ラッシュでハルカを痛めつける。


「痛いっ! 痛いです先生! 」


「知らんな。これは罰なんだ。我慢しろ」


「そ…そんなぁ……」


 一方的な暴行は続いた。叫び声だけ教室中に響き渡った。だが、誰も助けてくれない。罰が実行されていると誰もが知っているみたいに。

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