第3話 お茶会
城のバルコニーで桜はなぜか、お茶をしていた。
「なんで、こうなってんだ…?」
「ワシのもてなしだ!」
「強引だと思うけど…」
桜は困惑…バサルトは笑顔。メイチュはあきれ顔を浮かべた。
{メイチュ。城の図書館司書。まぁ、いつもそこにいるから司書みたいになっているだけだが。}
バサルトはカップいっぱいの紅茶をゴクゴクッと豪快に飲む。
「ぷはぁっ!!んで、お前が読んでるその本はどんな内容なんだ?」
「これ?…この国の歴史と…他の国についてかな?」
「えーっと…それを読んで“お前の記憶の手がかり”になんのか?」
バサルトが不思議そうに聞く…
「いやぁ…わからない。なんせ、情報がないからさぁ…。」
「まぁ、とりあえず読んでみれば?」
「そうするけど…」
「ふーん…」
バサルトは空になったカップに再びお茶を注ごうとした。だけど、ポットは空になっていた。
「ん?あ…ネリネ~お茶!」
バサルトはカップを振って誰かを呼んだ。
声を出したすぐ後に城の中から女性が出てきた…
「お待たせいたしました…大王様…」
{ネリネ。城の
「…。ねぇ、ネリネって
「あ?そんなの便利だからさ。ネリネも普段は暇だからな」
「はい。暇だと逆に疲れますし…」
「…へ…へぇー…」
「…。」
桜はまじまじと本を読んでいる…それを見た大王は気になって…
「なぁ、国の歴史ってどんな事が書いてあるんだ?」
「え?まぁ、おとぎ話みたいな物がほとんどかな?“『
「…。桜花はその中で一番地味だなぁ?」
「確かに。『英雄伝説』くらいだもんなー…」
「その英雄もあちこちである伝説だしなぁー」
「うーん…」
――やはり…比較的に平和な国ですよね――
桜は本を読み進め、いつの間にか日が落ちる時間となった。
「がぁーー!だめだぁー!」
桜は後ろへ大きくのけぞって声をあげた。
「だめかぁ…」
メイチュは微動だにせずに声を出した。
「うぅ…。いろんな本を調べてるけど…手がかりゼロだよぉ…」
「難しいものだね…」
「まぁまぁ…そう気を落とすなって!また、探せばいいじゃねぇか!」
バサルトは桜の背中をバンバンと押して励ました。
「大王ぅ…。ちょっと力強い…」
「あ!わりぃ!」
「しょうがない…今日のところは解散だね」
「そうだね…それじゃ…また、こんど」
桜は立ち上がった。
「あ…本はぼくが戻しておくよ」
「いや、いいよ。場所を覚えておいてまた、調べるために自分で戻すよ。」
桜はにこやかに話した。
「…。おまえは本当に優しいやつだなー…。」
「え?」
「旅人として初めて桜花に来たときも自分の記憶のためだとかいって、無関係の事件に首突っ込みまくって…挙げ句の果てに解決すんだもんなー…。まず、俺はできん」
「…大王」
「まぁ!めげずに頑張れよっ!」
大王はそう言って桜の肩をトンっと押して去ってった。
「…。なんだ…?カッコつけか?」
桜は城をあとにし、家へ帰っていたところであった。
「…。優しいやつか…。」
「ただいま~…」
「お帰り~。お疲れさまー!」
「ソルフィもお疲れさま~」
「お風呂沸いてるわよー」
「はーい。あ…今晩はなに?」
「ん?今晩?今晩はシチュー。ルーが余ってたし」
「やった!シチュー!じゃあ早速入ってくる!」
ドタドタと…桜は楽しそうにお風呂へ向かった。
――――――――――――――…
…能天気でお人好しのお嬢ちゃん…これが『
今回はただの日常であったが…今度はそうは行かないだろう…
続く
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