第2話 平和な国

桜は町の中を歩いていた。

“桜花”…大王バサルトが治める比較的に平和な国。

今日もこの町では世間話が飛び交い、ガヤガヤと賑わっている。


「…。ん?」

桜がその中を歩いていると…なにやらいい匂いが

「すんすん…。この匂い…」

桜は匂いにつられて何かの店へ近付いた。

ジューシーでこんがりとした肉の匂い…近づくほど、その匂いは分かりやすくなって行き…


「お!やっぱり!お肉屋さん!」

お肉屋さんでは揚げ立ての牛肉コロッケをその場で売っていた。厨房で揚げられているコロッケが油の跳ねる音を立ててジューシーな匂いを店の外まで出していた。

その匂いは桜の鼻とお腹を刺激している

桜「えへへ~良い匂い…」

これにはさすがに耐えれなく…うっかり桜は…

桜「コロッケ1つください!」

「はいよ~!」

買ってしまったのであった。


数分後。

「はいお待ち!」

桜「えへへ…ありがとうございまーす!」

コロッケを受け取り食べながら城へ向かっていると…?

「あ!桜おねーちゃん!」

桜「ん?」

ドタドタドタッ!っと元気な足音を立てて桜へ子供達が押し寄せてきた!

「ねぇねぇ!遊んで遊んで!」

「また、おうぎ見せて見せて!」

「わたしの髪の毛結んで~!」

っと子ども達は桜へ詰め寄り目を輝かせていた。

桜「あはは…ごめんね~今は行かなきゃいけない場所があって…」

子供達「えー!」

さすがに納得が行かない様子…。

そんなとき…

「あ?桜じゃねえーか。おーい」

向こうから誰かが手を振っている。

「ん?ガメ!?助けてぇーー!」

「助けてーって…なんだその状況…」


っと…なんやかんやあって助けて貰った。

「後で俺が遊んでやるからな!」

「はーい!」

「空き地で待ってるねー!遅れないでねー!ガメー!」

子ども達はまたドタドタと走って行った…。

「はいよー!さて…大変だったな」

{ガメ。桜花に住んでいる緑髪の青年。普段は人の姿をしている…}


「助かったよ~。この前は子供達と遊んで城に行けなかったから…」

「ゲヒヒヒ…災難だな~!」

偶然…ガメがここを通ってくれたから助かった…

でも、なんでガメはこんな朝早くからここに?

買い物?

「……ガメはなんでここに…?」

何とはなしに聞いてみた。

「ん?そんなの決まってんだろ?待ち合わせ」

待ち合わせ?誰と?

「待ち合わせ…?……あっ!」

ふとソルフィこ言葉を思い出す。

『私もガメとあってくるわ。』

そういえば、ソルフィが家を出る前にこう言っていたのを思い出した。

「ソルフィか!」

桜の大声が辺りに響いた。

「え?私がどうかした?」

その瞬間、後ろからソルフィがひょこっと顔を出した

「うわっ!いつの間に…」

「なによ、その驚き方…幽霊でも見たみたいに…」

「ゲヒヒ…よぉ、ソルフィ!待ってたぜ!早速だが…付き合ってくれねぇか?」

「…はぁ!?つ、付き合う!?」

またも…大声が響いた。

「??なんで驚くんだ?」

ガメは頭の上にハテナを浮かべる。

「ガメ…言い方悪いよ…」

「あ?」

よく解らず…さらにハテナを浮かべた……



説明中…

「…あ。そう言うことね…。良いわよ」

「ほんじゃ、空き地行くか!」

二人はささーっと空き地デートへ向かった。

「ばいばーい……。…さて、私も城に行こうかな…」


大きな城が見えてきた。

―大王バサルトの城―

桜花は田舎王国だが、この城はやたらとデカイ。

中には沢山のメイドや執事が働いており…いつも賑やかだ。


桜は図書館へと足を運んだ。

本当に広い…とにかく本棚がデカイ。高い位置にも本が置いてあって探すのにも一苦労…


「えーっと…あった」

桜は本を持って席に着いた。

ペラっとめくり静かに読み始めた。

「…」


「おう!相棒ッ!!!!!久しぶりだな!」

静かな空間の中、いきなり桜な耳元で力強い声が響いた。

「うわっ…!大王か…。急に大きな声出さないでよぉ…」

「がはっはっはっ!わりぃわりぃ…!」

{彼はバサルト。随分と能天気で大雑把な大王。未婚で娘が1人いる。}


「最近顔を出さないから心配したぞ?メイちゃんも桜が来ないって寂しがってたぞ?」

バサルトがそう発したとたん…

ガタッ!と力強く音を立てて奥で本を読んでいた少年が椅子から立ち上がった。

「寂しがってないッ!!!!!!」

「あ…メイチュ。居たんだ」

「おぉ!」

              続く

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