第7話達矢の家に行く笑真

変わり無い日々の中、達矢は日曜日に

自分の家に来る事を提案した。

笑真も行くと言ったので、達矢は両親に

告げた。

一方、笑真の家では


「パパ、ママ、お兄ちゃん私、日曜日に

達矢さんの家に行く事に、なったから」


「え~どうしましょ!何か持って行かなく

ちゃ!」


ソワソワする母を他所に、父と兄は理解の

有る達矢の両親に感謝した。


「笑真、何時もの笑真で、いいんだよ

無理する事は無いからな」


「笑真は、僕の素敵な妹だから大丈夫だよ」


「まぁ~真吾、何?その説得力の無さは?」


「笑真はママにそっくりだから美人よ!

だから大丈夫よ!」


「何だよ~ママ、ママの方が可笑しいだろう!」


笑真は賑やかな食卓が、大好きだった。

父は2人の、やり取りは何時もの事だから

呆れて見て居る。

そして日曜日、達矢が迎えに来た。

母に案内されて笑真の所に行くと、達矢は

立ち止まってしまった。

そこには、一段とお洒落した笑真がいた。


「どうしたの?達矢さん」


「いえ、笑真が余りにもキレイだから

動け無かったんです」


笑真は顔から火が出る程、恥ずかしくて

嬉しかった。


「良かったね~笑真ちゃん、達矢さんが

キレイだって!」


「もう~ママ」


少し怒った口調で笑真が言うと、父と兄も

姿を現した。


「健吾さん、真吾、達矢さんが笑真ちゃんを

キレイだって~」


1人騒ぐ母。


「沙羅、落ち着きなさい!何時も何時も

達矢君の前で子供みたいに、はしゃいで

すまないね、達矢君」


「いえ」


「本当だよママ!」


「だって嬉しいんだもん、いいじゃ無い!」


反省しない母。


「じゃあ、そろそろ行きます」


「そう?寂しいな~」


「沙羅!気にせずに行きなさい達矢君」


「そうそう、ママは僕達が、どうにかしとく

から」


「ありがとうございます、行って来ます」


「行って来ます」


2人は達矢の家に向かった。

そして案内されて、リビングに座る2人。


「初めまして、高梨笑真です」


「私は達矢の父の真矢で、妻の舞香です」


(ご両親も、やっぱり優しそうな声で話し方も優しいな)


「緊張しなくていいからね、達矢から

話は聞いてるから」


「私の事を反対しないんですか?」


「しないよ、達矢は笑真さんの目を治したくて医者になると、私達に頭を下げて来たんだよ、私達は達矢が小さい時から、人を区別

したり差別したりイジメては、いけないと

育てて来たんだよ、達矢は言う通りに

育ってくれたよ」


「でも私が居なければ、達矢さんは、もっと

色んな事が出来たんじゃ」


その言葉を聞いた、達矢の父は笑真に

尋ねた。


「笑真さん?君は目が見えない事で、誰か

人を憎んだり、妬んだ事は有るかい?」


考える笑真。


「いえ無いです、むしろ私が居るから邪魔

だったり迷惑掛けていないか心配です」


笑真の返事を聞いた父は


「笑真さん、君は心が本当にキレイで

優しい子ですね、達矢が一目惚れしたのも

分かるよ、そして君には見えないけど

凄くキレイな可愛い顔をしているよ、いつか

達矢の手術で見える様になるよ、それ迄

頑張ろうね」


父の言葉に、嬉しさの余り泣き出した笑真。


「おい、おい泣かないで、私が達矢に

怒られちゃうよ」


「余りにも嬉しくて、ありがとうございます

私は達矢さんを信じて、着いて行っても

いいですか?」


「勿論だよ!それが達矢の望む事何だから」


「そうよ!達矢が居ない時でも、何時でも

家に来てね」


「ありがとうございます」


又、泣く笑真の背中を達矢は、優しく擦った。

それを見た母は


「あ~お母さんも、そんなのして欲しい」


と言い出した。

父も達矢も、目をパチクリさせた。


「もう~舞香は、何を言い出すやら」


そう言って父が母の背中を擦った。


「フフフ、ありがとう真矢さん」


「どういたしまして」


2人の姿を見て達矢は笑真に


「ごめんな、こんな両親で」


「ううん、素敵なご両親です」


心で笑う笑真。


「笑真、笑った?」


「はい!」


和やかに、その日は終わった。

達矢は笑真を、家迄送るのだった。


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