第5話深まる絆

笑真の家から帰った達矢は、父と母に

笑真の事、進路を話した。

笑真の病気に、最初は驚いた両親だったが

達矢の決意が固い事が分かると


「じゃあ、必ず合格して医者になりなさい

そして、お前の大切な子の目を治して

あげなさい、家にも連れて来なさい

父さんも母さんも会いたいからな!」


そう言ってくれた。

達矢は両親に感謝した。

翌朝、笑真を迎えに行った達矢は笑真に

昨日、両親に笑真の事を話した事を伝えた。


「え?ご両親、反対しませんでしたか?」


「しなかったよ!笑真に会いたいから家に

連れて来なさいって」


「私なんかが行ったら、嫌われるかも?」


「ほら~笑真ちゃん又、言ってる、それは

駄目だよ!絶対に言わないの約束」


そう言って達矢は、笑真の小指に自分の

小指を絡ませて


「指切りげんまん、嘘付いたら針千本

飲ます、指切った」


と、歌った。

そして、2人は分かれて登校した。

学校は何時もと変わり無く終わった。

夕方、笑真を迎えに行く途中、自分の

クラスの女子を見掛ける達矢。


(何やってんだ?こんな所で)


そう思い目をやると、白い杖が見えた。


(まさか!あいつ達!)


達矢は走って、その場に行った。

やはり笑真が囲まれていた。


「何やってんだよ、お前達!」


「青柳君が、最近この子にお熱をあげてる

から」


「それが、どうしたんだよ!何かしたのか!」


黙る女子達。

すると笑真が


「私が、私が悪いんです、目が見えないのに

達矢さんを独占して、ごめんなさい」


泣きながら、その場を去って行く。

その姿を見た達矢は、怒りがピークに

達した。


「お前達、お前達は目が見えても、知らない

人にいきなり囲まれたら怖いだろう?

笑真は目が見えないんだぞ!それなのに

知らない人に囲まれて、何か言われると

どれだけ怖かったか、少しは考えろ!」


そう言って達矢は笑真を、追い掛けた。


「笑真~待って」


追い付いた達矢が、笑真を見ると、やはり

泣いていた。

達矢は笑真を抱き抱えて


「怖かったな、ごめんな俺のせいで」


背中を擦った。


「達矢さんの、せいじゃ有りません、私が

悪いんです」


「笑真、今朝約束しただろ?それは言ったら

駄目だって、笑真は悪く無い、言って来た

あいつ達が悪いんだ!そして、ちゃんと

守れなかった俺が、分かった?」


首肯くと笑真は、達矢にしがみついて

泣いた。

そして、落ち着くと達矢は、笑真を家迄

送って


「笑真、今日の事を、ご両親とお兄さんに

話するよ、隠すと良く無いからな」


「でも、達矢さんが悪者になるんじゃ?」


「大丈夫だよ!笑真のご両親、お兄さんは

素敵な人だから、分かって貰えるよ」


そして2人は、家に入ると母だけだったので

父と兄の帰りを待った。

みんなが揃うと、達矢は今日の事を全部

話した。

驚く家族。


「そうか、達矢君そんな事が有ったんだね

でも君は笑真を守って、後の笑真のケアも

してくれたんだから、そんなに責任を

感じ無くていいよ」


「そんな!」


「そうだよ、弟君、君は本当にいい人だね

弟君になら、笑真を安心して任せられるよ」


「ママは、最初から素敵な人だって

分かってたもん、ね?達矢さん」


空気の読めない母は又、父と兄に

睨まれるが全く気にせず


「じゃあ、みんなで夕飯にしましょう」


とルンルンで、キッチンに行ってしまった。


「すまないね、達矢君、沙羅はあ~言う

性格だから」


「いえ!楽しいお母さんです」


「弟君、その内分かるよ」


そして、みんなで食事をすると達矢は

自分の両親に、笑真の事、進路の事を

話して許して貰った事を、みんなに話

した。

それを聞いた、両親と兄は


「反対され無かったのか?」


「はい!医者になって、笑真の目を治せと

言われました、そして笑真に会いたいと」


「もう~達矢さんが素敵なら、ご両親も

素敵なのね~ママ嬉しい~」


又もや睨まれる母。

そして、和やかに食事をして達矢は帰る事に

した。

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