第3話達矢の決意

翌朝、学校に行く支度をすると笑真は早めに

家を出る事にした。


「じゃあ、行って来ます」


「行ってらっしゃい」


そして外に出ると


「おはよう!笑真ちゃん」


達矢の声がした。


「達矢さん、もう来てたの?」


「あ~」


「あっ!おはようございます」


「じゃあ行こうか?笑真ちゃん、僕の肘に

捕まって」


「え?いいんですか?」


「いいよ」


そう言って、達矢は肘を曲げて笑真が、捕まり易い様にした。

2人は歩き出した。

それを、こっそり見て居る母の後ろから

父と兄が


「ママ、朝から不審者だよ!」


「本当だよ!沙羅」


「だって~気になるのに~」


「それは、みんな一緒だよ!今日、多分

会えるんだから、何か用意しとくんだよ?」


「は~い!」


「じゃあ、行って来ます」


「行って来るよ」


「行ってらっしゃ~い!」


母はテキパキ家事をこなして、今日の為の

買い物に行く事にした。

一方、笑真と達矢は


「笑真ちゃん、聞いていい?」


「うん?何を?」


「その目何だけど、産まれてからだよね?」


「うん」


「病名は分かってるの?」


「うん、先天盲だって」


「ふ~ん」


「どうしたの?」


「いや、俺で分かる事は、調べ様と思ってさ」


その言葉が嬉しい笑真は、心で笑った。


「うん?笑真ちゃん、今笑った?」


「はい!嬉しくて心で笑いました!達矢さん

分かるんですか?凄いですね!」


「うん、何となく雰囲気で、分かるよ!」


そうして居ると、学校に着いた。


「笑真ちゃん、帰りは何時?」


「4時半です」


「分かった、じゃあ俺が来る迄、勝手に

帰ったら駄目だよ!」


「はい!」


そう言って、2人は分かれて登校する。

達矢は本気で、笑真の病気と向き合おうと

していた。

学校での成績も、常に上位の達矢だった。

休憩時間は携帯で調べて、お昼は図書室で

医学書を開いていた。

そんな達矢を見た友達は


「お~い!たつー何やってんの?」


「遊ぼうぜ!」


「俺、今調べ物してるから、忙しいんだよ」


「何を調べてんの?」


「先天盲について」


友達は初めて聞く言葉に


「何?それ?」


「初めて聞いたけど」


と、キョトンとしている。


「これは、産まれつき、目が見えない病気

だよ!」


「でも、たつーがどうして、そんな事を

調べてんの?」


達矢は、一呼吸置いて


「俺、昨日一目惚れした!」


「え~!たつーが?」


「あんだけ、散々みんなの告白を断って

来たのに!」


と、驚いていた。


「その一目惚れした子が、先天盲なんだよ」


「って事は、たつー目が見えないの?その子は?」


「うん、だから何か、いい方法が無いか

調べてんだよ」


達矢の真剣な姿に友達は


「たつー、その子に本当に惚れたんだな!

お前は頭がいいから、医者になれば?」


その言葉を聞いて達矢は


「そっか~そうだよな!ありがとう!」


「う、うん」


達矢は友達の肩に手を置いて、喜びの余り

身体をグラグラ揺らしていた。


「分かったから、たつーもう止めてくれ!

俺、何だか酔いそうだよ!」


「ハハハ、悪い悪い!」


「ハハハ」


みんなで、大笑いした。

達矢は、靄の掛かっていた気持ちが晴れて

爽やかになっていた。


(そうだよ!医者になって、俺が笑真ちゃんの目を治してあげればいいんだ!でも今

調べられる事は、調べよう!笑真ちゃんは

こうやって友達と、ハシャグ事も楽しむ事も

出来ないんだろうな?待っててな!

笑真ちゃん、俺が必ず治してあげるからな!)

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