第2話 学生の休み

「スマホのアプリって便利だよな。」


いつものように昼休みに中庭のベンチでだべっていると、唐突に父さんがそんなことを言い始めました。

珍しい、父さんがそんな普通のことを言うなんて。


「でもな、まだ俺の望むアプリが開発されてないのが残念でならない。はぁ、どうしてだろう?」


今度はため息をつき始めた。情緒が不安定なのかな?まぁ、息子としては話を聞くことも吝かではないです。


「どんなアプリなの?」


「それはな、全国の学生の休みを把握できるアプリだよ。」


・・・なんでそんなアプリが欲しいのか皆目検討もつかないけど、とにかく話を聞こう。


「普通の休みは勿論のこと、振替休日、学校の創立記念日、テスト期間も教えてくれると助かるな。そうすると予定が立てやすい。」


「予定?父さんの予定と学生の休みが何の関係があるの?」


「そりゃあるだろ。前にも話したが、父さんは車の長距離運転が嫌いだ。となると遠くに行きたいときは、もっぱら電車やバスを利用するワケだ。となると邪魔なんだよ学生が。」


僕には父さんの言いたいことが段々と分かってきました。


「アイツ等は複数形になると気が大きくなって、途端に喧しくなってマナーを乱し始めるからな。父さん、社会人になり立ての頃、満員電車で中学生に足踏まれて素知らぬ顔されたことあるんだ。あれは腹がたったな。それ以来、近場でも特急電車使って、学生を極力避けるようしてる。」


「なるほど、確かに学生が大人数になると、騒がしくなるね。」


「そうだよ。アイツ等一人の時は借りてきた猫みたいに大人しいくせに、徒党を組むと馬鹿騒ぎ始めるんだよ。まぁ、一人で騒いでる奴いたら、そいつは精神病の可能性ありだけどな。」


僕は友達が少ないのでそういう経験は無いのですが、大人数になると団結して強くなる、それが学生の習性なのかもしれませんね。


「学生の休みを把握して、噛み合わないように行動したい人は少なくないと思うぞ。俺らからすると学生の休みって多いしな。休み過ぎだよ、学生達。」


「いや、それ言っちゃうと父さんの時も休み多かったんじゃないの?」


僕がそう言うと、父は少し押し黙った後、こんなことを言い始めました。


「・・・それはそれ、これはこれだ。」


えぇ・・・ただのワガママ。マリー・アントワネットなのかな?この人?

まぁ、皆さんが交通機関を使う時はマナーを守りましょうね。







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