第7話 式神

「「見つからなぁぁぁぁぁあああい!!」」


 学校全体を探したが、手がかりすらない。

 途中、色んな七不思議?? に、出会い手がかりを聞こうとしたんだけど、誰もわからないみたい。


 今は花子ちゃんと静稀と一緒に鏡のある階段の前で休憩中。

 太陽が完全に昇り、窓から光が差し込んでいる。


 外の明るさ的に、時間は五時か六時くらいかな。さすがにもうそろそろ帰らないと先生が来ちゃうかも。バレたら確実に怒られる……。


 って、え? 花子ちゃんの姿がどんどん薄くなって――薄くなってる!?


「花子ちゃん!?」

『私達の時間は終わり、探してくれてありがとう』


 言いながら花子ちゃんは消えてしまった。


「え、え?」


 静稀と目を合わせるけど、何が起きたのかお互い分からないから意味は無い。

 

「あ、招待人さんはいるかな」


 異世界への招待人さんはまだいるかもと鏡に触れてみる。


「…………居ない……」


 鏡は何も変哲もない、私達を映し出すのみ。


 廊下を見通しても、さっきまでいた七不思議達が居ない。

 静稀も同じく周りを見回すけど、私と同じで何も見つけられなかったみたい。

 ついでに天井も見ているけど、険しい顔を浮かべるのみ。気配すら消えたって感じなのかな。


「もしかしたら、時間が限られているのかもしれないな。七不思議って夜に出るイメージだし、昼間は先生や他の生徒もいるから出られないようになっているんじゃないか?」

「確かにそうかもしれないね。それなら、また明日来ることにしよう」

「それもいいが、寝なくて大丈夫なのか?」

「家に帰って速攻寝たから大丈夫!!」

「どこででも寝れるのが今役に立ったか」

「うるさい!!!」


 そのまま家に帰り、一時間程度仮眠。そのまま学校に向かって、いつものように時間を過ごした。


 ※


「よし!! 今日も探すぞ!!」


 気合を入れ直し、隣に立つ花子さんと静稀に宣言。よしっ、二人も頷いてくれたし、行動開始するぞ!!


「今日はどこから探そうか」

「昨日は細かく見る事が出来なかったから、今日は一つ一つの教室を二階から順に見て行こうか」

「そうだね!! 今は夜中の一時、時間はたっぷりあるからゆっくり、落ち着いて探そう!!」


 スマホの画面は一時すぎを指している。辺りが暗くなると姿を現す事が出来るみたいで、花子ちゃんは私達が侵入したのと同時にトイレから現れてくれた。


 トイレに入った瞬間、陽炎のように姿を現したからびっくりしたんだよなぁ。


「あれ、静稀? 二階行くよ?」

「……あぁ」


 なんか、周りを警戒している? 私が声をかけても周りに目線を向け続けているし。返事はしているけど、なにか気になるようなことがあるのかな。


「なにか気になることでも?」

「…………いや、なんでもない。二階から始めるんだろ? 早く行こうぜ」


 ん? 静稀が階段に行ってしまった。今はついて行くしかないけど、なんなんだろう。


 隣に立つ花子ちゃんと目を合わせても答えは出てこない。


 んー、仕方がない。今は置いていかれないように、花子さんと手を繋いで二階に行こうか。静稀と離れるのはちょっと怖いし。


 ※


「ないねぇ」

「ないなぁ」


 廊下と教室三つ分を探し終えたんだけど、何も見つけられなかった。


「んー、どこだろう」

「っ、確かに、どこだろうなぁ」

「え、どうしたの?」


 いきなり静稀が私を抱き寄せた。いきなりなんだろう、顔が無駄に整っているからドキッとしちゃうんだけど。


「いやぁ、丑三つ時を忘れていたんだよ。これは参った」

「え、丑三つ時?」


 ゾクッ。


 体に悪寒、急に寒くなってきた? 隣に立つ花子ちゃんも震えてる。もしかして、何か近づいてきているの?


 そういえば、さっき静稀が言っていた丑三つ時って、幽霊とかが一番出やすい時間帯なんじゃ無かった? 丑の刻参りとか聞いたことある。


 もしかして、この悪寒って……。


『ねぇ~? 何をしているのぉ~?』


 上から、女の人の声――………


「で、でたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」


 上には天井を覆うほどの大きさはある女性の顔、長い黒髪が重力に逆らい私達を見下ろしている。黒い瞳には、私達三人の驚いている顔。


『嬉しいわぁ、こんなに美味しそうな肉が二つもあるなんてぇ』

「え、ちょ! 美味しくないです!」


 大きな口を広げ、私達を食べようとしてきた!?!?


「うわっ!!!」


 静稀が私と花子ちゃんを抱え避けてくれた……助かったぁ。


「静稀! あれは何?!」


 突然現れた生首が、私達に狙いを定めている、まずい。


「走れるか?」

「走れる!!」

「花子は?」


 聞くと、花子ちゃんも静稀を見上げ頷いた。走れるみたい。


 私達を下ろし、静稀は一枚の御札を構え始めた。

 力を込めているのかな、目が、赤色に少しずつ変化してる。


「『この世にさ迷う亡霊よ、竹島家の名の元に、今ここで葬り去る。我らに牙をむいたことを懺悔し去るが良い!! 雷火らいか、欲念を全て焼き消せ! 急急如律令』」


 人差し指と中指で挟まれているお札が、静稀の言葉に反応し、光り始める。そこから火花が弾け、化け物に向けて勢いよく放った。


 途中で燃え上がり、中からは雷を纏った鴉くらいの大きさはある鳥が姿を現す。


 あれは、静稀がよく使っいる式神、雷火。速さ重視だが、攻撃力もある。一番使い勝手がいいと言っていた。


 ―――――キュイィィィイイイイイインン!!!!!


 雷火の鳴き声廊下に響き、化け物へと勢いよく飛んで行った。


 このまま!! 突っ走れ!!!!

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