25 天使たちの集会
天使たちの集会
天界では会議が行われていた。
大会議室の席に、4人の天使たちが座っている。5つ目の席は空白だ。
比較的背が小さい、少年のような見た目の天使はパレドという。彼はオレンジの髪を高い位置で二つに結んでいて、好戦的で強気な性格にも似て、露出の高い服装だ。翼は角ばった小さいものである。その隣にいる、一人だけ女性らしい体つきの天使はメヌエッティだ。黄緑の髪を短く刈り上げて、エルフのような尖った耳と鮮やかなメイクが印象的だ。天使に性別はないが、彼女だけは人間の女性に憧れていた。
そして現在、パレドは不機嫌そうな顔をして貧乏ゆすりをしている。話し合いの題となっている天使のことが、嫌いなのだ。
「チャアムが翼取られた話なんざ、どうだっていいよ。あいつ5番だし。弱いやつに興味ない。なあ、それよりさ。戦おうぜヴァークロ。お前、全然相手してくれねえじゃねえか」
ヴァークロと呼ばれたのは、ずっと目を閉じて腕を組んでいる、カラスの頭をした半獣の天使だった。
「どうでもいいことではない。これは天界を揺るがしかねない重大なことだ」
「ふんっ」
パレドはヴァークロに叱られてそっぽを向いてしまった。
それを宥めたのは5人の天使の中でも1番の強さを持つ、トゥワルツだった。長い黒髪に、両頬を挟むように垂れ下がった紅の髪。それは編み込まれていて片方ずつ黒いゴムで結えられている。
「まあまあ、パレド君。チャアム君も天使の一人、僕たちの仲間だ。一緒に考えようよ」
トゥワルツの言うことなら聞く気になるパレドは、渋々3人に向き直った。
メヌエッティは、マイペースにも爪にピンクのマニキュアを塗っている。
「話し合うことなんて何もないじゃない。要するに、落とし前をつけるんでしょ?人間より天使の方が強いなんてことになったら、大変ですものね」
彼女は爪にふっと息を吹きかける。ピンクがスッと融けていく。
ヴァークロは天使たちの顔を見回し、目を細めた。本当に協調性がない。翼を奪われたチャアムは、神様のことしか頭にないし。
このまとまりの無さでよく今まで天界はやってこれたものだ。まあ、個々の強さだけは申し分ないのだが。
「おう、落とし前か!それなら俺、最初に行くぜ!翼を取った人間は半分天使になってるってことだろ?戦いてえ!」
「ねえ、パレドちゃん。あなた戦うことばかりじゃなくて、おしゃれも覚えてみたらどう?折角いい素材してるのに・・・」
メヌエッティがパレドの元にやってきてその顎を軽く掴んで引き寄せた。
「二人は相変わらず仲良しだね」
全力で嫌がるパレドとノリノリのメヌエッティを見て、トゥワルツは微笑む。
「・・・はあ」
ヴァークロはいつもこの落ち着きのない天使たちに頭を痛めるのだった。
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