第21話 罪人【Myself】
【地獄】
「うぎゃあああああああああああああ助けてくれええええええ」
「神様仏様どうかご慈悲をくだぁああああああああああついよおおおおおおおおおおおおおおおお」
「おおおお俺はただ全ての美女を喰らいたかっただけなんだぁああああああああああああ」
見渡す限りの罪人。見渡す限りの拷問器具。見渡す限りの獄卒。
ここは地獄。罪深き哀れな魂が最期に堕ちる悪行の最果て。
そんな地獄に今日もまた一人、哀れな魂が迷い堕つ。その魂の名、●●●●という。
黒死焔山は地獄を闊歩していた。地上から地獄に堕とされた
「何だこの地獄は……ん? あれはウンザオヴァー?」
「おおおおおお焔山いいところに来たなこの糞無茶苦茶なことばかりぬかす糞ムカつく獄卒を俺に代わってぶっ殺してくれそして俺を救ってくれ頼む頼む頼む頼む頼むーーーーっ!」
「喋ってる場合かーーーーーっ!」
「ウボアーーーーーーーーーーーッ!」
ウンザオヴァーの舌に五寸釘が刺さる。貫通した穴から血がぴゅーっと吹き出し焔山の頬にぴちゃりと付着する。無言で頬を拭う焔山。素直に汚いと思う。
「じゃあな。永遠に地獄を味わえ」
「あんまりだァアアアアアアアアアアア」
「おい貴様。罪人、いや罪悪魔か? どっちでもいい。自由にここを闊歩している場合か? 何故仏さまの責め苦を受けない? 貴様らはここで349京2413兆4400億年刹那の間断なく責め苦を受け続けることで悪に染まったその罪深きその魂を浄化できるのだぞ? 349京2413兆4400億年後には晴れて自由の身となり身も心も清いままにまた地上に誕生し輪廻転生のループの中で様々な恵み(苦業)を心に天国を宿すその時が来るまで経験し続けることが出来るのだぞ? 晴れて輪廻転生のループから抜け出した暁には仏の末席を汚し衆生を救う仕事を仏に任されることが出来るのだぞ? そして成果を上げた暁にはさらに尊い仕事を任せられるのだぞ? 永遠にその繰り返しだぞ? 幸せがどこまでも続いていくのだぞ? 何故喜んで責め苦を受けようとしないのだ? 今は苦しいかもしれんが349京2413兆4400億年後には幸せになるための悟りを得るための経験を積むための輪廻転生を繰り返すためにまた地上で0から全てをやり直すことが仏の慈悲によって赦されるのだぞ? こんな嬉しいことはなかろうが!(笑) さぁ、笑って喜べ! 仏さまはお前らが未来に笑って今を耐え忍ぶことを何よりも望んでいらっしゃる。だから私は今からお前の舌に100本の五寸釘をぶっ刺してあげよう。未来の幸福のために今を笑って耐え忍ぶ――――」
にこやかな笑顔で五寸釘を手に焔山に近づいてくる獄卒の顔面に焔山は悪魔の神轍(ディアボロス・ハイプレッシャー=膨大な魔力を纏った拳によるパンチ)をぶち込んだ。獄卒の顔が破裂し脳髄が飛び散る。
「き、貴様何故魔力を使える!? ここに送られてくるもの達は皆仏の御力により力を封印されてくるはず――――」
「そうだ。おかげで地上では(ほぼ)敵なしだった俺がたかが一獄卒程度にこの様だ。焔山。お前は何故魔力が使える。いや、そんなことはどうでもいい。魔力が使えるならばここにいる獄卒どもを皆殺しにしてくれ! こいつら狂ってるんだ! 俺はもう5000本以上五寸釘を飲み込んだ。それなのに一向に腹は膨れないし傷ついた片端から再生する。349京2413兆4400億年もこんな場所で過ごしたら気が狂っちまう! お願いだ! こいつら全員ぶち殺してここを居心地のいい場所に変えてくれぇ! お願いだ。咥えてやるからよ……上手いぜ? 果てしなくイかせてやる。どうだ?」
「貴様はミーシャを犯していたな。地獄が貴様にはお似合いだ。永遠に苦しめ」
「そんな……お願いだ! 救ってください!」
「貴様ら、何を――――」
「ふっ」
悪魔の神轍。再び獄卒の顔を吹っ飛ばす。獄卒たちが罪人を責める手を止め焔山たちを包囲するように群がってくる。包囲網は遥か彼方からどんどんやってくる援軍によりどんどん厚みを増し、気づけば億を超す数の獄卒が焔山達を囲っていた。ウンザオヴァーはひ、ひぃぃぃい!と聞くに堪えない悲鳴を漏らした。焔山はため息をつく。そしてポキリポキリと指を鳴らし、
「ひっ、ひぃぃぃい! もう俺を苛めないでくれ! もう二度と悪さしません。仏さまに誓います! だから赦してください! 舐めますからぁ……」
「ふん」
「あぐぅっ( > < ) せ、切ないよォ……焔山も俺をいぢめるんだな、いいぜ、もう俺の体丸ごと食っちまえよ。ほら、ほら! ぁあんっb( > < )d て、てめぇ何しやがるっ! 変態が!」
「7つのチャクラが全ての生物には宿っている。俺は今、お前のムーラーダーラーチャクラを開けた。ムーラーダーラーチャクラは肛門と性器の狭間に存在し全てのエネルギーを産み出す元となるチャクラだ。仏はムーラーダーラーチャクラに封をすることでここに送られてくる者たちの魔力を根本から絶っていたんだろう。だが、今お前のチャクラは開いた。感じるはずだ。体の奥から湧いてくる力を。さぁ、楔より解き放たれし暴獣よ。全てを破壊し尽くせ! 今のお前には、その力がある。【暴獣ビヒモス】の力を見せつけろ! この地獄を支配する腐れ獄卒どもに! この糞っ垂れた地獄をぶっ壊せ! さぁ!」
「おぉ、力が漲ってくる。そして怒りが湧いてくる……俺に五寸釘を飲ませやがった腐れ獄卒どもが! てめぇら全員血祭りにあげてやらぁあああああああああああああああああ!」
ウンザオヴァーは魔性解放し、暴獣ビヒモスとなる。たまたま足元にいた獄卒たちがプチリプチリと潰れては再生し潰れては再生する地獄のループへと陥る。
「〝ヴ〝ヴ〝ォ〝ア〝―〝―〝―〝ッ!(うおおおお何たる快感! 爽快感マジパないぜ! ふぅー、349京2413兆4400億年間俺にいたぶられる覚悟は出来ているか? この糞野郎どもが!)」
蟻を踏み潰すかのように獄卒(と罪人・罪悪魔)共を蹂躙するウンザオヴァー。あちらこちらで悲鳴、「閻魔大王」という声があちらこちらで繰り返される。
「閻魔大王様だ! 閻魔大王様に連絡あびゃぁっ!」
「閻魔大王様なら我々を救っていぶゅぃっ!」
「閻うべょぅっ!」
「えぼゃぇっ!」
「おばゅぉっ! 閻魔大王様に連絡をあびょぁっ!」
惨劇を視界の片隅に留めながら焔山は黙考する。どうしたらこの地獄から抜けだせるだろうかと――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます