第6話 ミステリアス・ジュース

 

 「何の為に、残してるの、あれ。」

 携帯の向こうの男に、私は言った。

 

 (あれはあれで、

 意味がある。)

 

 「意図が分からないと、

 どうすればいいか。」

 

 (‥‥。)

 

 「ミステリアスにも程がある。」

 

 (‥‥。)

 

 「弱音吐きたく無いけど、

 本当に上手くいくのかな。」

 

 (‥‥。)

 

 「唯一の才も無い、

 普通の才すら危うい。」

 

 (‥‥。)

 

 「最近、書くのが怖くて、」

 

 (お前があの本から学んだ事は、

 その程度のものか。)

 私は電話を切って、携帯をベッドへ思いっきり放り投げた。

 

 ついでに原稿を燃やした。

 「だっさ。」

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