原点
出発から2日後、目的地に到着。大分県で地獄を巡ったり、宮崎県の高千穂でこんなにも綺麗な場所があるのかと思い知らされたりしながら行き当たりばったりの2日間だった。鹿児島空港からプロペラ機で30分ほどだが、もはや上空からでも感動するレベルの大自然。そう、目的地は屋久島!
「綾人くん見て、島のほとんど森じゃん!ねえ!」
テンションがおかしくなってるのは自分でも分かる。
「舞衣さん、あんまり、はしゃがないで、ヘリ揺れる。」
「あ、綾人くん高いとこ苦手なの?可愛いなあ」
着陸して森の方へ歩くとなおさら驚く。壮大という言葉はここのためにあるのだろうと思った。地面から空に向かって伸びる太くて長い幹。ゴツゴツとしているのが遠目からでも分かる樹皮。それも見渡す限り。森の美味しい空気、綺麗な空気。静かで森に飲み込まれてしまいそうになる。
「舞衣さん、ここ凄いね。この世界に僕達だけしかいないって錯覚しちゃいそう。」
「ほんとだね」
何もしなくても何時間でも居れそうだ。いや何もしなくてもいいって言われてる気がする。
屋久島の歴史等が分かるという施設に来てみた。私たち以外にお客さんがおらず館長が案内してくれた。金澤さんと言うらしい。
「現存の歴史書に記載はないものの屋久島の原型が出来たのはおよそ、1500万年前と言われています。7000万年前に人はが生活をするようになりました。もう少し馴染み深い時代でいうと、戦国の時代にはここ屋久島も戦場となり沢山の戦が起こりました。屋久島の歴史は日本の歴史と言っても過言ではないでしょう。」
あんな大自然を目の当たりにして、今の話を過言だと思える人はなにか大切なものがかけていると思えてしまう。
「館長さんの話面白かったねー」
「舞衣さんあーいう話好きなの?」
「え、綾人くん面白くなかった?私は好きだったけどなあ」
綾人くんは欠けてる側の人なのかもしれない?
「んーん、超感動した。今、日本の歴史の上に立ってるんだなって思った。」
「うん、そーだね」
自然と笑みがこぼれた。
帰りは船で帰ることにした。島から遠ざかれば遠ざかるほど屋久島で肌で感じた大自然が思い出される。初めて行く場所で初めて感じた感情がいくつもあったし、旅って楽しいものだと分かった気がする。正直、旅に出てきて良かったなと思う自分がいる。そして分かったことがもう1つ。綾人くんは甘いものが大好物らしい。右手にいちごパンパンのクレープ、左手にお芋のスイーツを持ってる寝顔をカメラに収めた。
世界探し。 ゆーし @yush
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