第148話 1周年記念配信②
茶葉「はい」
つぼみ『はい、じゃないが』
茶葉「どうも、茶葉です。いや、本当に申し訳ないこと極まりないです。後でこってり怒られるので今日は吹っ切れまして、こうやってオンラインで参加します! みんなといっしょだよ~!」
コメント
:ちゃばちゃーん!!
:参加出来て良かった!
:茶葉ちゃんがオンライン参戦なら、実質わしらもSunLive.なのでは……?
:↑極論過ぎるだろ
:まじで参加出来て何より
:【SunLive.公式】後で絞ります。
:3Dは延期かぁ
梓『既に発表がありましたように、本日予定していた茶葉先輩の3Dお披露目配信は後日に延期となりまして、本日はつぼみ先輩のみで行うことになりました』
茶葉「本当に楽しみにしてくれていた人、関係者には本当に申し訳ないと思っています。特につぼみ。一緒に最高のお披露目会にしようって話してたのに、こんな形になっちゃって申し訳ない」
つぼみ『まあ散々謝られたことだし、さすがに許します! でも次はないよ~』
美波『そうだぞ。本当に次はないんだからな』
そう凪ちゃんが放った台詞に、玲音ちゃんが『何様じゃ』と鋭いツッコミをしてくれたお陰で、場に笑いが生じた。
突然のトラブル、私が起こしてしまった大失敗を後輩達がカバーしてくれている姿。彼女らが面接に来たときの記憶がぽっと浮かび上がり、こらえていた涙が漏れそうになる。
ただ、その涙は絶対に漏らしてはいけない。楽しい気分でこの配信を終えなければそれこそ申し訳ない。私が誰よりも楽しまなければ。
梓『はい、ということでメンバーが全員揃ったところで早速1周年記念配信を初めて行こうと思うのですが、1周年記念配信と言ってもまだ1周年ですから、もちろんめでたいことですが、まだ1周年なんですね』
そう梓ちゃんが繰り返しているように、私達はまだ1周年なのだ。確かにそれが5周年、10周年などであれば著名人から動画を募ってみたり、何か特別なことをしてみたりと言ったことができるかもしれない。
しかし、私達はまだ1周年。そんな大々的なことはできるわけがないのだ。まず金がない。
梓『なのでね、前半は我々みんなでこのSunLive.の歴史を振り返りながらわちゃわちゃとだべっていきます。そして後半には、お待ちかねのつぼみ先輩の3Dお披露目ということで、楽しく行きましょう!
では最初に、みんなでつぼみ先輩の初配信の映像を見ましょう!』
つぼみ『エッ?!』
茶葉「んぐっ?!」
突如投下された爆弾。香織からは短く、そして動揺がハッキリと伝わってくるような悲鳴が聞こえ、ちょうど水を飲んでいた私も思わず変な声を出してしまった。
我々は何も聞いていないのである。
つぼみ『ちょっと待って、本当に知らない! 茶葉ちゃん!? あなた私のマネージャーだよね?!』
茶葉「まてまてまて、私も知らないぞ!! ていうか知ってたら止めてるわッ!」
配信に私達2人の悲鳴が響き渡る。それと同時に、知っていたであろうメンバー達の笑い声も。ああ、もうめちゃくちゃだよ。
ここで疑問になるのは、香織の初配信なのになぜ私までこそばゆくなっているのか。説明しよう。確かに香織の初配信で登場するのは桜木つぼみだけだ。ただ、当時から裏方は私なのだ。初配信時、配信に関してはド素人出会った私達。もちろん今のように上手く配信ができているわけではないのだ。
裏方だった私が作ったスライドは、整理されていない見にくいものであり、色使いもよく分からない。まるで小学校のパソコンクラブのようだ。
少しでも良いものになるようにと頑張ってつけた効果音は、安っぽさを演出するいらないスパイス。そんなものがこんな大勢の前で公開されてしまった暁には、我々はもう大変です。
つぼみ『ていうか何でその配信データ残ってるの?!』
茶葉「それはマジでそうでしょ。私配信アーカイブ限定公開にしたからもう見られないはずでは?! ――って、まさか?」
百合『はぁ。私が何年先輩方のファンやってるかご存じない?』
コメント
:うぉぉぉぉおお!!!
:ある日突然消えたんだよなw
:鷹治ナイスすぎる
:マジで見たことないんだけど
:お宝映像
:あのわけ分からん効果音な
:懐かしい
:さっきから明らかにつぼみと茶葉ちゃんの動きがおかしくて草
つぼみ『……私も台風で参加出来なくなってれば良かった』
茶葉「やめろ。その台詞は私の傷をえぐる。双方向から私のSAN値を減少させるな」
梓『ということでお二方、覚悟はよろしいですか?』
つぼみ・茶葉『「よろしくないわ!」』
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