第137話
玲音「そういえば先輩って活動休止期間中は何をしていたんですか?」
先ほどお風呂に入る際に遮った話題を、満を持して玲音ちゃんが繰り出してきた。
既に別の配信で香織が話しているとはいえども、やはりリスナーも気になっていた話題らしく、コメントの流れが加速する。
ここまでいろいろな話をしていたが、タイミングとしてはなかなか良い頃合いだ。
コメント
:マジで気になる
:茶葉ちゃん視点が聞きたい
:ナイス質問過ぎ
:気になる
:復帰早々公式配信だったからね
:気になる
:単独配信までしないと思ってたけどするんだ
茶葉「そうだなぁ……、まあ主な理由としては引っ越しっていうのがあるから、基本的には家の片付けとか、そういったことをして過ごしていたよ」
玲音「やっぱり広いですか?」
茶葉「そうだね。引っ越すまでは半年くらい事務所の上に住んでたから、それに比べたら大分広くなったよね。あ、今度玲音ちゃんも遊びにおいで」
玲音「いいんですか?!」
茶葉「親御さんの許可が取れたらだけどね~」
私たちの家は誰でも遊びに来られるようにしっかりと客室を用意している。たまには集まってオフコラボ配信とかもしたいし、みんなでだらだら羽を伸ばしたりもしたい。
そのための大きい家だ。畑もあるからそこで野菜を育ててみたりとか、せっかくキャンピングカーもあるからそこら辺も上手く利用したいからね。
茶葉「あ、そうそう、広いって言っても玲音ちゃん基準だと狭いかもね」
玲音「え~?! どういうことですか?!」
茶葉「だって玲音ちゃんお嬢様だから感覚違うし~」
コメント
:お嬢様?!
:だろうなとは思ってたけど
:やっぱりこの2人だと清楚なSunLive.だ
:他では見られない
:ワイもつぼ茶葉ハウス行きたいンゴよ~
:俺らと感覚違うのか……
:復帰うれしい
玲音「じゃあ他には何もしていないんですか?」
茶葉「全然そう言うわけじゃないけどね~。あ、それぞれ自分好みに配信部屋を作ったりしたんだけど、それが個性出たりして面白いのよ」
玲音「お~! 自分用の配信部屋があるのは良いですね」
茶葉「そうそう。つぼみなんかは画材とか絵を描くときに使えるグッズを揃えたりしてね、本当に仕事部屋って感じだよ」
香織は引っ越すに当たっていままで部屋の広さが足りなくて用意出来ていなかったイラスト関連のグッズを新たに購入したのだ。
それが配信用の机の横にずらりと並べられていて、非常に面白い。個性が出るなぁと言った感じだ。
玲音「茶葉先輩はどんな感じですか?」
茶葉「私? あー、まあ私は割と普通だと思う」
コメント
:【桜木つぼみ】いやいや、私から見たら全然普通じゃないよ!
自分の部屋を客観的に見るというのはなかなか難しい。確かに香織からしたら自分の部屋に画材がたくさんあるのは普通のことなのだろう。
同様に私も部屋に楽器が並べられているのは普通のことで、もしかしたらこういうのは他人からしたら異様な光景なのかもしれない。
茶葉「そうだねぇ、自分でここが他の人と違う所っていうのは難しいかも。SunLive.のグッズをあつめて専用の棚に飾っているのは私だけかと思ってたんだけど、玲音ちゃんもやってたしね」
所属している以上、その事務所のグッズを集めてしまうのは仕方がないだろう。
玲音「先輩は創立メンバーっていうか、創立者ですもんね」
茶葉「そうだね。この名前にも愛着があるし、もうSunLive.に関わるものすべてに愛着があるからやっぱり収集しちゃうね」
玲音「非売品とか少し譲ってほしいです……」
茶葉「ダメだね。あれは私のコレクションだ」
私の部屋には市販されていない試作型のフィギュアだったりグッズがたくさんある。後は香織が個人的に作成したタペストリーやポスターなど、そう言ったものもあるのだ。
そういうのはSunLive.のファンやメンバーからすれば喉から手が出るほど欲しいのだろう。逆の立場であれば私は喉から両手が突きだしていたであろうから、その気持ちは痛いほど分かる。
玲音「やっぱりあるんですか?」
茶葉「え? なにが?」
玲音「ASMRマイク」
茶葉「おお、大分話題がとんだね。でもそういうのは防音室が置かれている部屋にあるよ」
玲音「いいですね防音室!」
茶葉「そうそう。大きい防音室を買ったからちょっとした録音スタジオになってるよ。アレは私のこだわり」
昔から音楽を作っていることや、配信で歌ったりすることがあることから防音室に関しては非常にこだわったのだ。是非ともみんなに見せたいところだ。
あれからしばらく雑談配信をして、時間になったのでそのまま配信を終えた。
配信は最後まで大盛り上がりで、私も久しぶりにリスナーのみんなと話したので凄く楽しかった。なんとなくこれが本当の復帰配信のような気がした。
雑談配信は正直あまり得意じゃないのだが、こうやって話題を振ってくれる後輩がいるというのはやりやすい。1人でやるといつもリスナーからの質問コーナーになってしまうから。
配信の片付けをした後、もう時間が遅かったということもあってそのまま寝ることにした。玲音ちゃんも今日は配信内でいろいろあった為に非常に疲れているみたいで、ベッドに横たわるとすぐに寝息が聞こえてきた。
明日は朝早くから事務所に戻って仕事がある。私も早く寝よう。
「じゃあありがとうございました」
「うん。また遊ぼうね~」
朝早く、町が動き始める時間帯に私も玲音ちゃんの家を後にした。電車に乗っていつものあのオフィスへ戻る。
今日は朝からプレゼントキャンペーン用のサインを書く作業があるので、忙しいのだ。曵埜さんとも話をしないといけないしね。
今日も今日とて忙しい。この忙しさは東京に帰ってきたという感じがするものだが、そろそろ浜松へと帰るときが近づいている。帰宅の準備もしていかないといけないな。
====あとがき====
いつもVTuberの裏方仕事を読んでくださりありがとうございます。
今後の投稿頻度について少し報告させて頂きます。
私は現在高校2年生であり、来年度に受験を控えております。そのため、以後投稿の頻度が安定しなくなる可能性があります。
できるだけ投稿はしていきたいと考えていますので、まったく投稿しないといったことはおそらくありません。しかし、投稿が2週間以上空いたり、逆に数日間連続で投稿されたりと言った、極めて不規則なペースになる可能性があります。
ご理解いただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
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