第136話 茶葉×玲音 雑談オフコラボ④
茶葉「あ、そういえばリスナー。さっき玲音ちゃんのお風呂に凸ったんだけどその話聞きたい?」
玲音「うぇッ?!」
コメント
:なにそれ
:キタ━(・∀・)━!!!!
:kwsk
:聞きたい
:おおおおおおおおおおおおおお
:最高!!
:我らが茶葉様!!
:てぇてぇ、てぇてぇ!
:【桜木つぼみ】よくやった! かませかませ!
:最高すぎる……
:需要を分かっている!
:さすがすぎる
:マジでお願いします
:【鬼灯朱里】閃いた
:通報しました
:すばらしい!
茶葉「おお、かつてないコメント……。正直すぎないか?」
今日配信が始まってから最も速い速度でコメントが流れている。先ほどから投げ銭もバチバチとんでいて、ものすごい盛り上がりを見せている。
やはりこういう類いの話題は食いつきがいい。が、あまりに良すぎる。玲音ちゃんはあまりオフコラボをしないということや、積極的に他人に関わっていくような性格ではないため、こう言う話題が出ることが少ないのだ。
確かに配信の中ではガツガツ距離を詰めているが、終わった瞬間謝り出したり、急に距離が空き出したりと距離感が掴みにくいライバーである。配信内だとみんなガツガツいけるみたいだが、どうもオフになると難しいらしい。
つまり、今までこういった話題の提供がほとんどないのだ。私の場合は香織がすぐ口を滑らせるので調べれば大量の切り抜きが出てくるのだが、玲音ちゃんは本当にない。
玲音「えぇ……、話すんですか?」
茶葉「せっかくだからねぇ、話さないといけなくない? ほらほら、みんな聞きたくて仕方がないみたいだし」
いつもとは違う恥ずかしさで耳を若干赤らめている玲音ちゃんを見て、思わずニヤニヤとしてしまう。可愛い。
玲音「もう。私は別々で入ろうって」
茶葉「いやいや、せっかくオフコラボなんだから、ね~?」
コメント
:そうだよ玲音ちゃん
:ね~
:うんうん
:お泊まり会なら一緒にお風呂入るのが普通
:逆に別々ではいるのが……
:【鷹治百合】ねぇ2人とも、お姉さんとも入らない?
茶葉「テメェは帰れ」
玲音「なんかライバー集まってる……」
先ほどからちらほらとうちのV達がコメントに顔を出している。SunLive.で配信をしているのが私と玲音ちゃんの2人だけ、つまりこの枠しかないというのがあるだろうが、やはり普段とは違う玲音ちゃんが見られるということで皆集まっているのだろう。
もし今私が配信に出ていないとするならば、皆と同様に私も配信を見ているはずだ。
玲音「トレンド乗ってる?」
茶葉「えー! すごいじゃん!」
玲音ちゃんがコメントを拾った。どうやらいまSNSのトレンドに私たちの配信が上がっているらしい。公式配信とか何か発表があるときとか、ちゃんと企画を考えているときとかは割と乗ることが多いが、雑談で乗ることはないからなかなかレアだ。
茶葉「じゃあお風呂の話を――」
玲音「忘れてなかったんですね」
茶葉「忘れるわけないよ。あんな強烈なアタック受けて……」
そういうと、玲音ちゃんは頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。コメント欄では「アタックって何だ!?」と盛り上がっている。
茶葉「あのね、何も言わずにお風呂に凸ったんだけど、パニクった玲音ちゃんが私の額めがけて湯桶を投げてきたのよ……。痛かったぁ……」
配信に映りはしないのに額を撫でながらそういうと、玲音ちゃんはそのことかぁといった感じの表情を浮かべた。
玲音「マジで申し訳ないです」
茶葉「いや、いいんだけど、その後にそのままその湯桶が足の指に落ちてきたのよ。痛かったよぉ……。私はただ玲音ちゃんのふつくしい体に触れたかっただけなのに」
玲音「はぁ……。私の申し訳なさがバカみたい。当時の私はナイスな行いをしたものですね」
茶葉「ナイスじゃないが! 痛かった! 結局洗わせてもらえなかったし」
玲音「私の身に触れるにはまだ早いですよ」
そう若干上から目線で告げてきたので、私は勢いよく立ち上がって玲音ちゃんに向けて両手を挙げた。
茶葉「おらぁぁぁあ!」
そう言いながら思いっきり玲音ちゃんの方へと手を伸ばすと、それに反応して玲音ちゃんが勢いよく立ち上がり、地面に敷いていた座布団を手に取って私に向かって投げてきた。
茶葉「んぐふッ?!」
ボフッという音を立てて思いっきり顔面にヒットした座布団は、私の顔を撫でるようにして下へと落ちていき、私の手の中に収まった。それを抱えたまま、私との間に距離を開けた玲音ちゃんの方へとダッシュ。この室内で鬼ごっこが始まった。
玲音「セクハラ! セクシュアルハラスメントですよ!!」
落とすようにして地面に座布団を置き、両手を開けると、その両手をわきわきと動かしながら玲音ちゃんへ向かう。玲音ちゃんは私から逃げながら何かいろいろと言葉を発しているが、そんなことは知ったことではない。
茶葉「しらねーーー!」
そう声を上げながら玲音ちゃんにアタックを続ける。ドタドタと響く我々の足音と、ぎゃーぎゃーといった叫び声。それらが思いっきり配信に乗ってはリスナーを苦笑いさせた。
必死に私から逃げる玲音ちゃんの顔には、楽しそうな笑顔が浮かんでいた。
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