第113話 全員集合配信⑦

茶葉「じゃあぶっちゃけトークも終わりにして、次の企画に移ります。ただ、なんと私次の企画何も聞かされていないんですね。じゃあ社長、お願いします」


 ぶっちゃけトーク中に準備が進められていた次の企画、私は企画段階で何も聞かされていなかった。ただ、この企画が3人と2人のチームに分かれた理由でもあるのだろう。そういったことが予想出来るような準備状態になっている。


社長「はい、じゃあ次の企画! チーム対抗、運動神経2択クイズ!!」

朱里「運動神経2択クイズ?」

社長「はい。皆さんの目の前にいま縄跳びが2つあるでしょう。その縄跳びを今から2人の方にとんでもらって、お題をこなせるかどうか、どちらの方が長く飛べるかどうか、そういったことを2択で当てていただきたいと思います!」

美波「ちなみに誰が飛ぶんですか?」

社長「よくぞ聞いてくれた。では飛ぶ2人を発表します」


 大体予想付いてんだよね。


社長「1人目は茶葉!」

茶葉「だろうね」


 社長の1言を聞いてあきれの声を漏らしてしまった。私に知らされていない時点で私が標的なんだよ。


茶葉「で、2人目は?」

社長「礼文梓~」

梓「え?! 私ですか?!」

つぼみ「なるほど、実写をやったことがある2人ってことね」

社長「そういうことだと思います」

撫子「曖昧ですね」

社長「セッティングしたのは私じゃないので」


 あほらしい企画。まあ社長が関わっていると思ったが、今ニヤニヤとこちらを見ているスタッフの誰かが黒幕らしい。

 まあいい。これも配信を盛り上げるため。少しくらい体を張ってやろうじゃないの。


コメント

:縄跳びw

:飛べるの?

:茶葉ちゃんは飛べそうだけど……

:実写?!


茶葉「なんかさ、実写じゃなくて3Dでやろうとか考えなかったわけ?」

社長「そんなお金があると?」


 私が苦言を呈したところ、真顔で返されてしまった。お金の話を出されるともう言い返せない。

 ここまできっぱり言われると複雑だ。


コメント

:潔くて草

:みんなー、グッズを買うんだ!

:もう買ってる!

:金欠VTuber(集団)

:体張るのかぁ

:実写っていつやった?

:自作パソコンのやつだろ

:あー、思い出したわ




 実写になると言うことで、スタッフさん達が持ってきたかぶり物をかぶる。私は馬のかぶり物で、梓ちゃんは鳩のかぶり物だ。


つぼみ「ぎゃはははっ!! 憐れ憐れ!」

茶葉「怒!」

梓「あー、この感じ懐かしいですね……」

玲音「あれだな。こうやって並ぶと茶葉先輩の小ささがわかるな!」

つぼみ「(爆笑)」

茶葉「ねぇ、そんな笑顔で笑われると困るんだけど……。ていうかさ、玲音ちゃん比較にならないからね?!」


 まだ配信でカメラが付いていないため、玲音ちゃんをこっちに引っ張って私の横に並べてみる。


茶葉「ぐぅぉぉぉお……」

社長「ふぁははッ!」

つぼみ「負けてる!」


 並んでみた結果、思ったよりちゃんと敗北していて思わず項垂れてしまった。


律「私こんなにきれいに膝から崩れ落ちる人は初めて見ました」






 そろそろカメラが付くと言うことで、玲音ちゃんには自席に戻って貰う。


茶葉「映ってる?」


コメント

:おおおおおおおおおお

:ちっさ……

:ちっさ……

:本当にちっちゃいね

:wwwwww

:自信ついた!

:ロリ混入で草

:テラワロス

:かわいいね

:推し

:ww


茶葉「あー、泣きそう」

つぼみ「コメント~、あんまりいじめないでね~」


社長「はいはい、じゃあ早速いきますよ~。これから茶葉ちゃんと梓たんにはお題に沿って縄跳びを跳んで貰います。

 まず最初のお題はあやとび! どちらの方が多く飛べるか、チームで話し合って書いて下さい!」

百合「リスナーもコメントに予想書いてね~」


 全チームが書き終えたら合図が来るので、自分のペースで飛んで良いみたいだ。

 同時のタイミングで1回ずつ飛ぶとかそういうのじゃなくて、初めだけ揃えて後は自分の速度で良いとか。


 一応いつでも飛べるように縄跳びを握って待機しておく。


茶葉「梓ちゃんって縄跳び得意?」

梓「あんまりですね……。小学生の時以来でしょうか……」

つぼみ「ほーん」


 これを聞いたつぼみは自信がありそうにマウスを使って文字を書き出した。


美波「たいした自信だね」

つぼみ「おうよ。これは私たちの圧勝だね」


社長「はい、全員が揃ったのでいっせーので飛んで下さい」


 社長がそう言うと、一拍開けてみんなが合図を出してくれた。


「「「「せーの」」」」


 その合図と共に一斉にあやとびを始める。


茶葉「楽勝だね」










社長「――えっと、まさか企画倒れになるとは思っていませんでした……」


 あれからいくつか対戦した後、社長の企画倒れ宣言で企画が中断。

 私の横にいるのは地面に手をついて息を上げている梓ちゃん。一方私は息ひとつ上がってはいない。


つぼみ「あーあ、うちの学校の元カースト1位を舐めちゃあかんで」

茶葉「ふふふ」

梓「せんぱい、飛びすぎでは……?」

朱里「普段からやってるの?」

茶葉「もちろん。縄跳びとは最強の体力トレーニング。座って作業ばっかじゃだれてくから」

つぼみ「元々茶葉ちゃん運動神経良いからね~」

玲音「あー、うちの学校にもいるわ。小さくて運動神経良いマスコットキャラの陽キャ」

つぼみ「茶葉ちゃんはまさにそれだね。私は最下位だったね~」


コメント

:うっ……

:辛い

:オタクに優しいギャル

:運動神経良いのかっこいいな

:はやぶさをあんなにすらっと飛ぶのは普通に凄い

:かっこいいわ

:マジで有能で草

:超人じゃん

:なんで裏方やってんだ


 とまあ、結局企画倒れのため、勝敗はあやふやになってしまった。







 あれからいくつかの企画を重ね、配信も終わりの時が近づいてきた。


茶葉「じゃあね、時間も時間なのでそろそろ締めますね」

つぼみ「2時間早かったね~」

柄爲「楽しかったです!」

茶葉「こうやって見渡すと、改めて事務所ができたんだなって感じがしてうれしい」

梓「今更ですね……」

茶葉「まあ元々2人でやってたから。人数が増えてわちゃわちゃ。楽しい」

美波「またこうやって集まれると良いですね~!」

百合「次は年越しかな?」

律「半年近く後ですね」


 SunLive.生誕祭みたいなことはおそらくやらないと思う。だから次こうやって全員で集まるのは年越しになるだろう。

 同じ事務所だけど住んでいるところは違う。一番遠い人同士だと1700キロ以上も離れているわけで、なかなか一堂に会するのも厳しいだろう。


茶葉「じゃあね、そろそろお開きにしたいと思います。私含めて地方民はまだしばらく帰らないと思いますので、1週間程度はオフコラボ等々あると思います。なのでね、またみんなで楽しんでいきましょう!」


コメント

:お疲れ様!

:楽しかった

:次は年越しかぁ

:ありがとう!

:お疲れ!

:オフコラボ楽しみ

:乙

:お疲れ

:ゆっくり休んで~、特にあずさたそ~

:楽しかった!

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