第109話 全員集合配信③

社長「はい。社長です。気を取り直してちゃんとやっていきます」


 こうして突然リスナーの前に現れた我が社の社長。配信にはどうやって移っているのだろうかと気になり画面を見てみると、まさかの実写であった。


社長「今からやっていくのはクイズです。早速ルール説明をします」

つぼみ「おねがいしま~す」


 今回のクイズは個人戦。SunLive.に関係するものを聞く系のクイズではなく、普通にクイズだ。みんなにどれくらい教養があるのかを試そうという企画。

 問題が社長から読み上げられるので、その問題の解答をパソコンでマウスを使って記入するというものだ。私たちの解答はスタッフに送られて、順番に配信画面上でオープンされる。

 配信画面には私たちの正答数が表示されていて、最終的に正答数が最も多かった人が勝利というわけだ。


社長「説明聞くより実際にやった方が早いと思いますので、早速始めさせて頂きます」

朱里「ちょっと、社長緊張してるんじゃないの?」


 いつもはあまり使わない敬語を使って話す社長を朱里が弄る。すると、ヘッドフォンから不正解のと気になるであろうSEが流れた。


社長「鬼灯朱里はマイナスからのスタートです」

朱里「えぇ?!」

社長「うそうそ冗談。そりゃああんたらと違って実写なんだから緊張もするわ」

茶葉「私てっきり社長用のアバターでも用意してるものかと思ってました」

社長「我が社にそんなお金があると?」

茶葉「仮眠室アレだけ豪華にしておいて何言ってるんですか……」

玲音「あの仮眠室すごいよな! 今日泊まっていきたい~」

社長「別に今我が社の話は良いの! さあ、始めますよ!」


 バツが悪そうな表情で社長が無理矢理進行をする。


コメント

:仮眠室って何?

:オフィスに仮眠室あるんだ

:みんな! グッズを買うんだ!!

:社長さん美人やね

:表情豊かwww

:社長ノリ良いな

:クイズ楽しみ




 軽いトークの後に早速クイズ大会が始まった。

 配信画面は背景や配置が変更されて、クイズ大会のような背景と、私たちの前には教卓みたいな台が置かれている。


社長「では、早速第一問目」


 社長がそう言うと、ででんっというSEと共に、カメラが社長に寄った。


社長「3+7×3はなんでしょう」

美波「えぇ!? 算数!?」

撫子「簡単すぎワロタ」


 あまりに簡単な問題すぎて、みんな唖然としている。撫子ちゃんなんて表情を一切変えずに棒読みで突っ込んでいる。


社長「良いから早く回答して下さいね~」


 社長がそう言うと、みんなマウスを使って頑張って数字を書き始めた。


 しばらくして、簡単な問題だったお陰か、すぐに解答が出そろったみたいだ。


社長「じゃあ、合っている人たちを先にドドンと出していきます」


 そういうと、画面上で私、凪ちゃん、玲音、柄爲、百合、律の教卓みたいな台の前に私たちが記入した文字が出てきた。


社長「正解は24です。まさかの10人中6人……、皆様の頭は大丈夫なのか不安になってきました……」

梓「ちょっと待ってください! 異議あり! 異議ありです!!」

社長「はいはい、あんたの解答が一番わけわからないから。先にあんた以外の3人の答えをオープンします」


 社長がそう言うと、へなちょこなSEとともにつぼみ、朱里、撫子の3人の回答がオープンされた。


社長「、ナωι″ゅぅさんじゅう


 社長がギャル文字でも読み上げているかのようなあほらしい声でそういった。


朱里「は? なんで30違うの?」

つぼみ「そーだそーだ!」

百合「みなさま~? 、計算は×や÷からさきにやるんですよ~? しらないんですかぁ?」

朱里「……そうだったわ」

つぼみ「しらない! 今時は電卓だから!」

茶葉「開き直るな」

撫子「でも、あんだけ自信満々だった梓ちゃんちがうんだ」

玲音「そうだ! SunLive.イチの頭脳はどうしたんだ?」

梓「いやいや! 私の解答は正解だから!」

社長「ぎゃはは! これのどこが正解よ!」


 そういうと、社長の合図で梓ちゃんの解答がオープンされた。


『4!』


社長「よんっ! なにをどうしたら4になる!? しかも自信満々にビックリマークまでつけて!」

玲音「え? これあって――」

朱里「自信満々で草ァ!!」

つぼみ「きゃははっ! よんびっくりまーく!」


 そういうと、つぼみや朱里と言ったお調子者達が社長と共に爆笑しだした。

 そんな彼女らを尻目に、ブースの方で見ていたスタッフが慌てた様相で採点担当のスタッフに何かを告げている。

 すると、大きな声でこちらに叫んだ。


スタッフ「すみませんでした! 正解です! 4の


「「「え?」」」


梓「そうですよ。ビックリマークじゃなくて階乗です。私はてっきりこれをねらって24という数にしたのかと……」

朱里「はにゃ? 階乗とわ?」

つぼみ「あ~、なるほど! そういうことかぁー」

茶葉「……わかってる?」

つぼみ「いや、全然」

梓「4の階乗、つまりは4×3×2×1ですよ」

玲音「最近学校で習ったよ」

梓「玲音ちゃんでもわかるのに、大人がはずかしいですねぇ~、ねえ社長?」

社長「知らない! 私は悪くないから! 採点担当のスタッフが悪い! それに、わざわざひねくれて階乗なんかにする梓も悪い!」

茶葉「社長、それは……」


ブーーーーー!


 私があまりの横暴にツッコミを入れようとしたら、スタッフ達が間違ったときに流すようのSEを流した。


スタッフ「横暴だ!」

スタッフ「そうだそうだ!」

律「おお、一致団結」

社長「おお、一致団結。じゃないです!」


コメント

:草

:階乗か

:ひねくれてて草

:社長……

:株価大暴落

:理系ワイ、30と解答

:最近習ったって、玲音ちゃん可愛い

:必死に煽る負け組草

:www

:スタッフwwww

:カオスすぎる

:よwんwびwっくwりwまwあwくw

:哀れで草

:学力透けたな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る