第105話
翌朝、私たちは談話室に集まって雑談をしている。
昨晩は仮眠室で仮眠を遙かに超えて爆睡をし、旅の疲れをしっかりと癒やした。シャワーもあるため、実質家みたいなものだ。
今日の朝食は寝る前にコンビニで調達しておいたサンドウィッチだった。
今日はついに所属VTuber全員が集まる配信の日。おそらく4期生が入るのは相当先だろうと言うことから、しばらくはこのメンバーでSunLive.としての活動をしていくことになるだろう。
まだ発足から1年も経っていないが、爆発的に伸びている私たちの会社。今一度、皆の結束力を試さねばならないのだ。
「茶組の皆さん、会議がありますので会議室へお願いします」
「「はーい」」
「え? ちょっとまって、茶組って何?」
単語:茶組とは
マネージャー浅海汐(茶葉)がマネジメントを行っているタレント達に、VTuberとしての茶葉(浅海汐)本人を加えたグループ、チームのこと。
「えぇ、なにそれ……」
どうやら私の知らないところで、私を中心としたグループが出来上がっていたらしい。
「今回の企画中、司会進行のメインは浅海さんにお願いしています。ただ、途中でチームを組んで行うもの、皆さんで言うと茶組ですね。また、浅海さんは体を張った企画がございますので、そのタイミングでは社長が司会進行を行うことになっています」
「え? 社長が?」
と香織。
「いやいや、それより私の体を張った企画――」
「はい……。本当は社員で誰かしらをという計画だったのですが、社長がやりたいと言い出しまして、このような形になってしまいました」
「無視!?」
私は何も聞かされていないのだが、どうやら体を張った企画があるらしい。そりゃあせっかくのオフコラボなのだからクイズだけでは終わらないだろうと思っていたのだけれど……。
香織と凪ちゃんがなにもいわれていないということは、おそらくこの中だと私だけが体を張ることになるのだろうか。
「配信中、何か困ったことなどありましたら、手元の端末からこちらに連絡を取れるようにしてあります。
個別の会議は以上になりますので、タレントが全員集まるまではそれぞれご自由にしていて下さい」
なんか嫌な感じだ。
確かに学生時代は体力あったけど、いまは仕事上家からあまり出ないから、体力は明らかに衰えていると思う。
体を張ったというのが体力を使うのかはわからないが、あまりやりたくはないな。
熱々おでんとかだったらどうしよう……。
「凪ちゃーん、全体会議までなにする~?」
「体動かしたい!」
「ちょ、ちょっと、それは厳しいかなぁ~」
凪ちゃんは普段から体を動かしているらしく、体が動かしたくてたまらないのだとか。ちょっと走ってきますとか言って外に出て行ってしまった。
「まあ集まるまでお菓子でも食べてようや」
「お菓子? 買っておいたの?」
「いや、キャンピングカーの中にたくさんあるでしょ」
「ああ、そういうことね~」
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