第98話 出発
引っ越してからしばらくがたち、引っ越し3回目の私たちはもう既にこの家になれ始めている。ご近所の人に手土産をしっかり渡し、すでにお裾分けをいただけるくらいにはなった。
手土産をすっかり忘れていて、急遽ショッピングセンターで購入したというのは秘密情報である。いやー、便利な世の中になったものです。
東京に比べて地域間の関わり合いが強いため、できるだけ近所の人とは仲良くしておいた方が良い。道端で出会ったら世間話くらいはする。
ちなみに、明日から東京に1週間ほど行くと言うことを既に伝えてあって、その間はお裾分けがストップするはずだ。近くに農家さんも多く、非常に助かっているのだ。
家の配信環境も整った。
回線は開通して、防音室も設置した。防音室の置かれている部屋にはいろいろな配信グッズが置かれていて、カラオケ機なんかもある。
配信以外でもカラオケを楽しめたりするのは非常にうれしい。既に私たちは2人カラオケを楽しんでいる。
配信をお休みさせて頂いているこの期間は、私たちにとっては珍しい完全休業であった。そのため、のびのびと羽を伸ばさせて頂いたわけだ。
この家には1階の畳の部屋に縁側が着いている。ガラガラと窓を開け、風に揺れる庭の草木を見ながらゆっくりとお裾分けのびわを食べたり、何もせずぼーっとしたり。
こうやって休むことで配信に対するモチベーションも少しずつ上がっていく。
「早く配信で話したい!」
香織なんかは放っておいたら休止期間を無理矢理こじ開けて配信を始めそうなくらいだ。マネージャーの私がしっかり止めている。
社長には既にキャンピングカーで向かうことを告げてあって、駐車場を開けてくれている。
ちなみに、最近私は公道での運転練習を本格的に始めたのだが、まだ怖いと言うことで今回はすべて香織の運転で東京まで向かう。
途中休憩挟んで大体4時間から5時間くらいで着くと思う。別に急ぐ旅でもないのでゆっくりと向かう予定だ。
出発は明日の早朝。1週間東京にいて、その大半をキャンピングカーの中で過ごすため、車の中を完璧にお泊まり仕様に整えてある。
とはいっても、ほとんど足す荷物はないわけだが。
ちなみに、配信は明後日から。予定では明日のお昼頃に事務所に到着して、そこからその日はゆっくりする。公式配信の開始予定時刻が午後7時からなので、翌日はそれまで打ち合わせをしたりと言った感じだ。
1週間東京にいると言うことで、私たちが個人個人で配信に復帰するのはまた来週と言うことになる。一応事務所で配信できるのだが、せっかく家に機材とか整えたのに、個人配信一発目が事務所というのは悲しいだろう。
ただ、東京にいる間他のVTuberとのコラボ配信なんかはするかもしれない。
今のところコラボ予定は凪ちゃんとの3人コラボだけ予定している。それ以外は事務所に着いてから決める予定だ。
「じゃあ今日は早めに寝ちゃおう。明日キャンピングカーで寝付けるかわからないし」
「そうだね~」
まだキャンピングカーで泊まったことがない。今回が初めての外泊というわけだ。
こうしてやってきた翌朝。昨日のうちに買っておいた惣菜パンを食べて準備は満タン。
ちなみに、途中のサービスエリアでおいしいご飯を食べたいと言うことで、多少おなかに入れるだけにしてある。
せっかくの旅なのでできるだけ楽しんでいきたい。
冷蔵庫は運転席、助手席から取れる位置にあって、その中にジュースやお茶をしまってある。
そして、取れる範囲にポテトチップスをはじめとしたスナック菓子をこれでもかと陳列。
Bluetoothでスマホをつなぎ、車のスピーカーで音楽を流す。ノリノリ車旅の始まりである。
「ガソリン満タン、天候は……、まあ雨は降ってない! 良しっ!」
天気はあいにくの曇り。ただ東京の方は晴れているようだ。お昼頃からこっちの方は雨が降るようだけれど、私たちはその頃には関東にいるので関係ない。ていうか車に乗っているから雨関係ないんだよね。
「汐ちゃんシートベルト締めた~?」
「うん。安全運転でお願いね」
「わかってるわかってる!」
浜松浜北ICから新東名高速に乗って東京方面を目指す。途中適宜休憩を挟んでといった感じだ。
「じゃあ出発しまーす!」
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