第95話
桜木つぼみ @Tsubomi_Sakuragi
私と茶葉ちゃんはとある事情で2週間ほど活動止まりま~す!
ネガティブな理由じゃないから安心して! 詳細は戻ってきたら話します!
荷物とかしっかりと整えるなら休止期間をしっかりとった方が良いだろうと言うことで、とりあえず2週間の活動休止期間を取ることにした。
これは社長の助言で、新たな環境でいきなり配信活動をするのは心身的にもキツいでしょうということを言って貰った。幸い他のメンバーはバリバリ活動してくれているから、私らが数週間抜けたところで何ら問題はない。
ちなみに、私はマネジメント業務も活動停止で、私がいない間は凪ちゃんのマネジメントが西原さんに任される。よろしく西原さん。
引っ越してきてから1日目の夜はなかなか厳しかった。布団がまだないので畳に寝っ転がって持ってきた服を掛けて寝るという暴挙。おかげで疲れが取れていない。
今日は荷物が届く日。ネットショッピングでここあてに頼んで置いた荷物も大抵今日届く。一気にこの家に家具がやってくる。
回線は既に申し込みは終わっていて、家庭用ではなく業務用のしっかりとした回線を引く予定だ。ちなみに1週間後には開通する。つまりはそれまで家にWiFiがないと言うことだ。それは非常に残念だが、活動休止期間なので別に良い。
「汐ちゃん大変……!」
「どうした?」
「今月使いすぎてギガがない……!」
「あぁ……」
大丈夫ではなかったようだ。
家の目の前にトラックがやってきた。そのトラックは引っ越し業者の物だ。ついに荷物が届き始めた。
しっかりと申し込んであるので、部屋まで荷物を運んでくれる。非常にありがたい。
私らだけでは部屋まで荷物を運ぶのは非常に困難だ。なんて言ったって引きこもり2人組。引きこもりでも生きていけるんだからこの世界は便利だなぁ。
リビングにはリクライニング機能付きの大きなソファーを置く。そのソファーに座ってテレビを見られるようにする予定だ。イベントごとの時にはここで映像を見ても良いかもね。私らが参加しないときに限るけど。
リビングには他にも大きな机を置いて、誰かが遊びに来たときにもしっかり対応できるようにする。ド田舎ではないにしても、東京に比べてコンビニとかの数は少ない。そのため食事のすべてを出前だったりコンビニで済ませるというのはもうできないわけだ。
となるとどうするかというと、今まで以上に自炊をしなければいけなくなる。
今までは料理担当は私だったけど、これからは香織にも料理をして貰おうと思っている。そのためにたくさん調理器具を買ってあるのだ。
2階の私らの寝室にはテレビと敷き布団。敷き布団はベッドを買ってその上に敷こうと思っていた物なのだが、ベッド無しで畳の上に敷くことになる。
他にもそれぞれの配信部屋にそれぞれのいろいろな荷物が運ばれてきた。無駄にフルスペック、無駄ではないかもしれないが、良い感じの高いパソコン。理想の昇降デスクなどなど、私の部屋も一気に配信者風に早変わり。
香織もようやく愛しの推しグッズと再会できたみたいで大喜びだ。
こうして我が家にいろいろな荷物が運び込まれてきた。広く見えた家も、こうやって荷物を置くと狭く見えてくる物だ。
「車とかやらないとね。私車に関する知識がないから何にもわからないんだけど」
「車……」
私は自動車の免許は持っている物の、車を持っていない。なので車は買う必要がある。正直運転したこともほとんどないので非常に怖い。
香織はなにやら車と呟いて何かを考えているみたいだけど、香織もほとんど運転なんてしたことないだろうからアテにならないかも……。
「そういえば、パパが成人祝いに車をくれたんだけど、実家に置きっぱでまだ貰ってない」
「役に立った……」
「???」
車納車までしばらく時間掛かるし、それまで大変そうだぁと思っていたのだけど、どうやら思ったより早く車がやってきそうだ。
我々の実家はここからそこそこ近い。近いって言っても新幹線に乗るが。
「私明日取ってこようか~?」
「えっと、一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ! 失礼なぁ~!」
「ごめんごめん。じゃあお願いしようかな」
「おっけ~」
この日はひたすらに家の整理だった。必要物は部屋に置き、とりあえず送った物は大きな倉庫にぶち込んでおいた。思い思いの部屋メイクをして、足りない物は通販でポチリとしておいた。
数日後には届くはずだ。
そうして私らはすぐに疲れて眠ってしまった。
翌朝。
「じゃあ実家に行ってきます~!」
「いってらっしゃい」
朝早くに香織が実家に戻っていった。香織と私は別に実家との関係が悪いわけではない。ていうかまったくもって悪くなくて、正直めちゃくちゃ関係がいい。
どちらも忙しいから本当に会えていないのだが、時々電話でやりとりとかもしている。だからこうやって気軽に実家に顔を出せたわけだ。多少は引き留められるかもしれないが。
駅まで見送った私は家に戻っていった。
「そういえば車種とか聞いてなかったな。まあ子供の成人祝いだし、そんなたいそうな物でもないでしょう」
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