第81話 またまたマネージャーが増えた

「こんにちは。マネジメント部門統括の浅海汐です。これからは皆さんの上司になりますが、全員私と同い年か年上ですので、別にそこまで堅くならなくても大丈夫です。

 それに、私はしばらくしたらこのオフィスを去って別の場所で仕事をしますので、頼るなら他の先輩を頼って下さいね」

「西原です! 初めての後輩うれしい!」

「神田です。みんなで頑張ってVTuberの方々をサポートしていきましょう」


 社全体の顔合わせが終わった後、マネジメント部門のみでの顔合わせを行うことになった。今回マネジメント部門に入ってくれたのは男性が2人、女性が5人で計7人。相当な数の人が入ってくれて、これで私含めてマネージャーは10人と言うことになる。なお、香織はその数から除外している。

 香織入れたら11人だね。

 まあ一応言っておくか。実際今モデレーターの仕事しているわけだし。


「一応言っておくと、あと一人花咲香織という人もいるんですが、まあ気にしなくて良いです。花咲香織は茶葉のみ担当しているマネージャーですね。その茶葉が配信頻度少ないんですから、まあ実質ニートみたいな物です。はい」

「でも先輩配信頻度増やすでしょ?」

「まあ田舎に行ったら増やすかな~」


 あ、さすがに今回はあらかじめ私が茶葉ちゃんだと言うことは言ってあるよ。何回も混乱を招いているからね。

 これは全体での顔合わせの時に公表したんだけど、実写で出てたりするから一目見たときに「この小ささは茶葉ちゃんだな」ってみんな察しが付いていたらしい。

 判別するところが小ささって……、やかましいわ!


 まあそのことはいったん置いておいて、話を戻そう。


「と言うことでね、まあうちの子達は優しいので、多少の失敗はそんな問題にはならないわけです。なので1週間ほど研修した後にすぐ実務に入って貰おうと思っています。ただ、マネジメント業務の方は外部の方達ですので、それは慣れてきてからと言うことになります」


 私が言葉を発する度に元気な声で返事をしてくれていて非常にありがたい。

 早速今後の所属V担当割り当ての書かれた紙を配っていく。既に3期生の名前も決まっていて、1期生から3期生すべて含めた担当になっている。

 香織含めて11人マネージャーがいて、茶葉含めて1期生から3期生で10人VTuberがいる。

 私と香織はそれぞれをマネジメントし合うので、マネージャーは9人、VTuberは8人となる。マネージャーが一人多いわけだ。

 加えて、初めのうちは3期生を既にいたマネージャー、私と西原さん、神田さんの3人で担当しようと思っていたので、7人を5人に振り分けることになる。


「申し訳ないんだけど、男性の2人は1週間の研修に加えてもう1週間西原さん、神田さんにそれぞれ付いて貰って詳しく研修をします。その後にマネジメント業務の方にそのまま行く形になります。うちの所属VTuberは全員女性ですので、そこら辺はご理解頂きたい」

「分かりました。いや~、長く研修期間頂けてうれしいです!」


 おお、この子相当ポジティブで素晴らしいな。もう1人の子も真面目そうでメモをとりながら話を聞いてくれている。ああ、良いメンバーがそろった。


「じゃあ5人はそこに記載されているVTuberの人たちに挨拶でもしておいて下さい。じゃあひとまずはこれで解散!」






 私の3期生の担当は凪ちゃん。あ、凪ちゃんって凪塚美波のことね。あれからちょくちょくチャットで話していたのだが、結構仲良くなった。香織も既に3期生のみんなと仲良くなっているみたいで、一緒にゲームしたりとかしていた。

 普段はコミュ障なのに、インターネット内だとなるとコミュ狂なのが香織。狂ったように距離を詰めてくるから初見だとビックリするかもね。

 しかし、VTuberになると言う不安な状況で、先輩からこうやって仲良くしてもらえるというのはメンタル的にありがたいんじゃないかなって思っている。実際香織もデビューしたての頃、VTuber達の中になじめるか心配だったらしいからね。


『茶葉 4/05 14:23

 凪ちゃんの担当マネージャーは私になりました。これからよろしく』


『凪塚美波 4/05 14:23

 !!!!!』


 これは、喜んでるのか?

 まあ精一杯やらせて貰おう。







「ただいま」

「お帰り~」

「仕事ちゃんと出来た?」

「まあ、さすがにモデレーターくらいはやったことありますからね~!」

「でも今回の人結構難しくなかった?」

「あー、それはそう。リスナーのノリが特殊だったからね」


 今日香織がモデレーターをやったVTuberは、リスナーが結構厳しくVTuberにコメントをする。でもそれが彼らの配信スタイルで、単体でももちろん面白いけど、そこにリスナーが加わることでもっと面白くなるタイプの物だ。

 だからコメント欄は暴言が飛び交っていて、愛のある物なのか、ただ純粋に暴言なのかを判断するのが非常に難しい。


「まあでも何事もなかったし、良かったかな~」

「そうだね。でもゲリラライブやめて欲しい」

「それはそうだね~。もう少し前に連絡よこしてくれないと困るかも……」

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