第47話 クリスマス後配信①

つぼみ「ということで、おはようございまーす! いきなりですがクリスマス配信の振り返りをしていこうと思います。

 SunLive.1期生の桜木つぼみです!」

茶葉「SunLive.裏方の茶葉です」

玲音「漆黒の闇が眠りに――」

つぼみ「ねぇ! 茶葉ちゃんは1期生でしょ!」

玲音「お、おい! 私の挨拶を遮るなっ!」

つぼみ「ぁあ、ごめんごめん!」


コメント

:ぐだぐだで草

:w

:起きてて良かった~

:相性良いな

:草

:せっかく厨二っぽく挨拶しようとしたのにw

:まあ実際茶葉ちゃんは1期生だね


玲音「いい?」

つぼみ「うん。いいよ」

玲音「SunLive.2期生の柊玲音だ」

つぼみ「あれ? 厨二の挨拶は?」

玲音「厨二言うなよ! ていうかできるわけないだろ! はずいわ普通に!!」

茶葉「玲音ちゃん、キャラ無視しちゃダメだろ~」

玲音「うぐッ……」


 私がもし玲音ちゃんだったらと考えると、背筋が凍る。ただ、別に私は玲音ちゃんじゃないので思う存分弄らせて貰おうと思う。

 せっかく厨二病っぽいかっこいい台詞を準備して、思い切って言ってみたのにまさかの先輩に遮られるという。かわいそう……。

 言う前から耳が赤かったのに、今では顔まで真っ赤に染めている。かわいい。


つぼみ「何で玲音ちゃん厨二病キャラにしちゃったの?」

茶葉「メタイメタイメタイ! メタイよ!」

玲音「う、うるせぇ! 良いだろ別に……」


 私はなんで玲音ちゃんが厨二病キャラなのかを知っている。面接に来て、ガワを決めるときに絶賛厨二病だったからだ。調子に乗ると出るタイプの厨二病で、普段はおとなしかったのだ。

 ただ、こうやって人の目にさらされるようになってからは、調子に乗ってもなかなか厨二病が出てこない。恥を覚えてしまったのだ。

 かわいそうなことに。


玲音「後輩が出来たら絶対厨二の座を譲る!!」

茶葉「譲れると良いね~」


 私がそう言うと、しばらくの間を開けてこちらに手を合わせてきた。


玲音「本当にお願いします! 茶葉様の権限でどうにかなりませんか!!」

つぼみ「草」


 高校生の美少女がプライドを捨ててこっちに手を合わせてくる姿。

 ゾクッときた……! 新たな扉が開いてしまったかもしれない。


茶葉「それはどうかな……。我が強大な権力をもってしても為し得ないこともあるのだよ……」

玲音「あの、マジでお願いしま――」

つぼみ「もういい?」

茶葉「あ、はい。すんませんでした」

つぼみ「じゃあ早速振り返りに移っていくよ~!

 じゃあね、まず最初の新衣装お披露目から! 今私たちも着てるけどね、かわいいでしょ~!」


 無理矢理話をぶった切った香織。コメント欄は可愛いだの似合ってるだので埋め尽くされている。さすがは配信慣れしているだけある。


つぼみ「私と茶葉ちゃんの衣装はね、私が作ったよ~!」

玲音「我のはネタミママが作ってくれたぞ~」

茶葉「どれも可愛いよね。玲音ちゃん大分雰囲気変わった」

玲音「そうだろうそうだろう。今までかっこいい系だったけど、おしゃれなかわいい系になったぞ」


 玲音ちゃんは黒や赤を基調にしていると言うことは変わらないのだが、今までの厨二病チックな服装から、かわいらしい服装へと替わっている。ただ、やっぱりどこか厨二病の面影があるのが、玲音ちゃん担当のイラストレーターであるネタミ先生の凄いところだろう。


茶葉「そういえば、ネタミっていう名前なかなか凄いよね」

つぼみ「ネタミってそのまま妬みなのかな。何か恨みでもあるのかなぁ」


コメント

:【ネタミ】|ू•ω•)チラッ


玲音「あ! ネタミまま!!」

つぼみ「本人登場!」


 どうやらネタミママはもう起きていたらしい。娘の配信をしっかり追っていて良いお母さんじゃないか……。

 あ、ちなみにママは実母じゃ無いからね! 絵を描いてくれた人のこと!


玲音「ネタミママいつも見てくれて感謝!」


コメント

:ネタミママ~

:【ネタミ】配信の邪魔してごめんヽ(*。>Д<)o゜名前の由来は……、ひみつ(~ ̄▽ ̄)~

:本人来た!

:本人!

:相変わらず絵文字すごいwww


茶葉「まぁ、なんか妬みがありそうな理由ではなさそうだね~」

玲音「多分寝る民って書いて寝民じゃないかなぁ……。ネタミママ基本寝てるし」

つぼみ「へぇー、じゃあ偶然起きててくれたのかぁ」

玲音「あ、なんか普段は私のチャンネルの通知が爆音でなるように設定しているらしいけど、今日は起きてたんだと思う」

茶葉「つぼみのチャンネルだもんね」

玲音「そうそう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る