第46話
「はーあ、遊んだ遊んだ! じゃあ次何する?」
「じゃあ次何する? じゃないんだよ。玲音ちゃんもう眠いんじゃない?」
「いや、大丈夫ですよ。普段少ししか寝ないですし、昨日はたくさん寝させて貰いましたから」
「汐ちゃんの方が眠いんじゃない?」
「うっ……」
現在時刻そろそろ2時。私は睡眠時間を多く取りたい考えの人間なので、この時間になってくると少し眠気がやってくる。
とは言っても、今日はいつもよりアドレナリンが出ていると言うこともあってか眠気は比較的少ない。ただ先ほどお風呂に入ったときにも分かったが、疲労が溜まっていると言うこともあって横になればすぐに夢の国へと飛んでいきそうだ。
あ、夢の国って言うのはあれだからね。寝ているって言う意味ね。
今私たちは寝室でパジャマである。私たちの寝室にはふわふわのカーペットが敷いてあって、そこの上であぐらをかいてゲームをしていたというわけ。
普段はリビングに居るのだが、2人の時も時々こうやって寝室で床に座って遊んでいる。ソファーも良いけど、長かった田舎の掘りごたつ生活って言うのがあっていて、床に座るのは落ち着く。
本当は畳のある家が良かったんだけど、さすがにオフィス付きともなると条件を減らさざるを得なかったわけ。まあ今の状態で満足だけどね。
「玲音ちゃんは明日どうする? 何時頃帰る?」
「そうですね……。予定がないので適当なタイミングで帰ろうかなと思っています」
「おっけー」
やることが無くなると暇だなぁって言うのは今ここにいる3人共通で思っていることだと思う。
ていうか一回会話が途切れたら凄く眠たくなってきた。
「汐ちゃん大丈夫?」
「あー、大分眠そうですね……」
「結構無理してたから……。もっと遊びたい気持ちもあるけど、まあおとなしく寝ようか」
「そうですね」
翌朝。
「あれ、気がついたら寝ちゃってた」
「あはは、ぐっすりだったよ」
現在時刻は午前7時。
どうやら私は寝てしまっていたらしい。そしてこの2人は……。
「って! 2人も寝てないの!?」
「あー、寝ようと思ったんですけど、盛り上がっちゃって……」
そういいながら笑う2人。手にはゲーム機が握られていた。
「ねえねえ、配信しない?」
「寝ろッ!!」
「えー、配信したい! 2人でゲームやってるときにクリスマス配信を振り返る配信がしたいなって言ってたんだけど、汐ちゃんと3人でやりたくて……」
「いやいや、さすがに寝て貰わないと困るんだけど」
香織も玲音ちゃんも疲れているだろうに……。
さすがに寝た方がいいんじゃないかと思うんだけど。
「いや! 今が良い!」
「えぇ、玲音ちゃんもなんかいってやってよ」
「わ、私もやりたいです……」
んーーーーっ!?
他のVTuberたぶんまだ寝ていると思う。配信サイトを見てもSunLive.メンバーは配信をしていない。今日午後から配信枠を取っているVTuberは居るが、さすがに長時間配信の後だし。
SNSも動いていないし、チャットアプリもみんなオフラインだ。
ただ、SNSをのぞいてみると未だにクリスマス配信の余韻に浸っている人は居るみたい。
……じゃあ来てくれる人は居るかな?
「よし、やるか」
そういって立ち上がる。私の顔色をうかがっていた2人も、私がそう言うと明らかにうれしそうなオーラを放っててくてくと後ろに付いてきた。
「配信枠どこでとる?」
「つぼみ先輩が良いと思います」
「そだね」
今この3人の中で一番登録者数が多いのは香織。私で玲音ちゃんは同じくらいと言う感じだ。
玲音ちゃんは2期生の中で一番人気。今回のクリスマス配信で相当伸びている。というか、SunLive.の伸びはVTuber界隈を見てもなかなか凄い方だと思う。もっと一気に伸びている人はもちろん居るけど、それはまたいろいろな事情があってのこと。
もちろんSunLive.も香織って言う人気なVTuberが居たからこそと言うのもあるだろうけど。
「私呟いとくわ」
「わかった。じゃあ配信準備先しとくね~! さ、玲音ちゃんこっち」
「はい!」
SNS投稿は私のアカウント。それを2人が拡散するという形だ。
配信部屋に入った2人をみて、私も自分のPC部屋へ行く。すぐに枠が出来るだろうから、あらかじめ文章を用意しておいてそこにURLを貼り付けて投稿という形で行こう。
いざこうやって3人で配信をやるとなると楽しくなっちゃうんだよな。まあいいか。
茶葉ちゃん@chaba_Sakuragi
おはよー!突然だけどオフコラボ配信やりますよ! メンバーは私とつぼみと玲音ちゃんの3人!
わちゃわちゃしながらクリスマス配信を振り返っていくから是非来て~
「で、URLを張ってと! よし、準備はおっけい!」
私が投稿してすぐ、隣の部屋から叫び声が聞こえてきた。
「しおちゃーん! 準備できたよー!」
「わぁーった! すぐいくー!」
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