第43話 クリスマス配信⑭

 な、何を歌おう……。

 私結構雑食だから、いろいろな音楽を聴くんだよね。洋楽はちょっと英語が苦手だからあんまり聴かないけど、日本語の曲ならたくさん聞いている。

 邦ロックとか、EDMとか、新しめの曲はあまり分からないけど、J-POPとかを多く聞いている。

 良い感じに知名度があって、盛り上がりそうな曲。やっぱりVTuberを見る人はアニメ見るよね!(偏見)

 じゃあアニソンにしようかな!


 でも私アニソンアニソンしているのは聞くのは好きだけど、歌うのは苦手だから、あんまりアニソンっぽくないアニソンを歌うことにする。

 少年漫画系のアニソンは、いわゆるアニソンていう感じの曲調じゃないから、比較的歌いやすいし馴染みやすい。

 私は勝手にこれらを入門アニソンと呼んでいる。


 曲を入れ、マイクを握って深く息をつく。できるだけリラックスして歌うのが上手く歌うコツだと思う。まあ私が偉そうに語れるようなことは無いけど。

 歌において初めの1音が大事。初動は声が出ないから、そこを意識して出さないと。


茶葉「じゃあ行きます!」






茶葉「――。……ど、どう?」

朱里「……上手いね」

つぼみ「やっぱり安定して上手い!!」


 なんとか歌い終わった。初めは少し緊張していたけど、だんだんと緊張がほぐれてきていつも通り歌えたと思う。本当に楽しかった。

 ていうかみんな合いの手が上手いのよ。歌っていて凄く気持ちが良かった。


コメント

:うめぇぇ

:いや、うますぎ

:才能!

:これは上手い

:引き込まれた

:細かい感情表現が

:歌手目指せるよ

:マジで良い

:歌ってみた出して欲しい


茶葉「いや、歌ってみたは出さないよ?」

百合「えぇ? 出さないの?」

茶葉「出さない! ほら、次歌って!」


 私、カラオケで雑談している時間って無駄だと思ってしまう人。せっかちかな?

 でも、カラオケに来たならやっぱり歌をメインに行きたい。雑談をメインにはしたくないなって。

 あれ? カラオケに来てないな……。今回はカラオケ“が”来ているような……。

 まあいいや。


 こうして、私たちのカラオケ配信は順調に進行していったのであった。






つぼみ「いやぁ、楽しかったね」

茶葉「ちょっと、喉が痛い……」

梓「あんなに嫌がってたのに凄く歌ってましたね」

茶葉「いや、カラオケ来たら歌うでしょ!」


 ということで、長かった私たちのカラオケ配信、及びクリスマス配信はエンディングの時を迎えた。

 結構疲労困憊だ。あんまり感じていなかったけど、いざこうやって終わりの時を迎えると隠れていた疲労が表に出てくる。

 結果として、クリスマス配信は大成功。たくさんの人に見てもらえて、SunLive.を知るきっかけになったと思う。


つぼみ「本当にここまで見てくれてありがとう。楽しかった!」

朱里「本当に楽しかった!」


コメント

:楽しかった

:もう24時間経った!?

:早すぎる

:これから知ったけど、推します

:良い

:みんな歌がうまい

:可愛い

:ありがとう


茶葉「今年の配信については、それぞれ個人のSNSに上がるので、そちらを見てね。年越しの公式配信は今のところ予定してません!」

つぼみ「みんな家族や恋人と過ごしてね~! ちなみに私は茶葉ちゃんと過ごしまーす!」

百合「わーい!」


 わーい?

 まあいいや。


茶葉「ということで、24時間ありがとうございました!! じゃあね!」






「あい配信終わりました~!」

「「「「「「お疲れ様です!」」」」」」

 

 なんかあっさりとした終わり方だったけど、本当に楽しかった。

 いや、本当にあっさり終わったな。何かを惜しむというわけでも無く、普通に終わったわ。


「この後どうする?」

「私は帰ろうかな~」

「私も」


 現在の時刻は午後9時。東京は夜中まで電車が動いているので、まあみんなは帰れるらしい。ただ……。


「まあ、玲音ちゃんは泊まっていこうね」

「はい。お邪魔します」

「いいんだよ。気にするな~」


 さすがに高校生を東京の夜に1人で放り出すわけには行かないので、今夜は泊めていく。まだまだ夜は長いぜぇ!

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