第41話 クリスマス配信⑫
「ついに来てしまった……」
その後もクリスマス配信は順調に進み、現在時刻は午後6時少し前。この後6時から行われる企画で今回のクリスマス配信は終わりとなる。
24時間、長かった……。
曲を完成させてアップロードした後ももちろん配信は続いて、私もいくつか出演していた。正直疲れた。相当疲れた。
配信というのはしている間は基本マイクに話しかけるだけなのだが、それを日本全国、もしかしたら海外からもたくさんの人が見てくれているかもしれない。
この状況に私は精神的疲労を覚える。本当に疲れた。
そうしてここからだ。ここからある配信が私を最も苦しめるだろう。
そう、『歌配信』だ。
なぜか私も参加することになってしまったこの配信。まさかの枠はエンディング含めた3時間。終わった。マジ終わりだよ本当に。
参加者はライバー全員。もう逃亡しようかな。
でもでも、あくまで出演していればいいわけで、歌えとは言われてないよね。だから歌わなくても大丈夫。
「汐ちゃ~ん、そろそろ配信始まるよ~」
「わかってる! 大丈夫だから!」
はぁ、心臓バクバク。
今回はちゃんと機械を準備して、カラオケ音源の会社の協力も得て行う。だから下のブースで配信を行うわけ。
ガチでちゃんとマイクとかスピーカーとか準備しているらしい。なんならマラカスとかタンバリンとかまでしっかり完備。ジュースもお菓子も用意済みだとか。
いや、力入れすぎだろ……。
あ~、めんどくせ~……。
つぼみ「第一回! SunLive.歌謡祭~!!」
「「「「「いえ~~~い!!!」」」」」
茶葉「いえーい……」
つぼみ「あれ? 茶葉ちゃん元気~??」
茶葉「元気じゃねえよ!! なんでこんな大勢の前で歌わきゃいけない!?」
そう、私は他人の前で歌うのが大大大嫌いだ。本当に嫌いだ。
香織ならまだしも、なんで2期生のみんなやスタッフの前で歌を歌わなきゃいけないの? マジで謎なんですが!
私カラオケも1人か香織以外と行ったことないし、家で歌うにしてもお風呂の中で鼻歌を口ずさむ程度。歌うなら一人でカラオケ行く!!
こんな出張カラオケなんてしなくて良いの!!
撫子「荒れてますねぇ……」
つぼみ「あはは、茶葉ちゃん人前で歌うの苦手なんだよ」
百合「え~? なんでですか? みんなで盛り上がって楽しいじゃないですか!」
茶葉「うぐっ……」
コメント
:あぁ、陽キャオーラが
:百合ちゃん怖すぎ
:うわぁ、嫌な気持ちになった
:最悪
:茶葉ちゃんに同情する
:俺かな?
:うわぁ
:地獄で草も生えん
:人前で歌うとか無理すぎだろ……
コメント、あんたらは私の味方か。
うれしいよ……。
コメント
:でも茶葉ちゃんが苦しんでるの面白いw
:分かる
:分かる
茶葉「しねぇぇえッ!!!」
つぼみ「うわぁああ! ちょ、ちょっと何言ってるの!」
コメント
:草
:草
:www
:草
:おもろすぎ
:草
:草
:草
:草
:草
単芝生やしすぎワロタ……。
みんな私をいじめたいんだ。私はこんなに嫌がっているのに。助けて~~~……。
梓「これは……」
朱里「茶葉ちゃん明らかに陽のオーラなのに……」
つぼみ「そうなんだよね。茶葉ちゃん昔から超絶陽なんだよ。運動できて可愛くてクラスの中心人物。でも歌うのだけは苦手なんだよね……」
玲音「一瞬でも同胞だと思った我がアホだった」
コメント
:陽なんかいッ!!
:あんたも陽なのかよ
:キラッキラじゃねえか
:苦しめ!!
:こういうとき以外優位に立てないからな
:歌え! 歌え!
:ほらほら、歌わないと!
おまいら……。
茶葉「くっそぉぉぉお! 歌ってやるぜぇ!!」
つぼみ「あ、スイッチ入った。もう大丈夫だよ」
梓「え? どういうことですか」
つぼみ「限界突破ってこと」
梓「は、はぁ」
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