第7話 お披露目配信②

茶葉「ごめんね玲音ちゃん。さぁ、コメントよろしく」

玲音「むぅ~、もう良いもん!」

茶葉・梓「かわいい!!!」


コメント

:かわいい……

:¥8000 天使が降臨した

:¥12000 茶葉ちゃんナイスだ。玲音ちゃんのかわいさを余すとこなく引き出せている!

:かわいいぞぉ

:天使過ぎ

:¥5000 推し爆誕


玲音「か、かわいいって……、我はかっこよさを追求したい」

茶葉「うんうん。そうだね」


コメント

:かわいい……

:かわいいぞ

:可愛いが過ぎる

:¥12000 萌え死にする

:¥200

:かわよ


 やばい。マジで可愛い。

 玲音ちゃんの席と離れていて良かった。

 近かったら今すぐ抱きしめに行くところだったよ……。


 ……って、明らかに香織の視線がやばいんですけど。


茶葉「じゃ、そういうことで次の人行きましょう! よろしくお願いします!」

百合「やっと出番だ。私は鷹治百合! やりたいことは女の子とイチャイチャすること! よろしく!」


コメント

:¥20000 陽のオーラを感じる

:百合! いいぞ!

:マジで頼む。我々は良質な百合を求めている

:¥50000 お願いします。お願いします。


百合「本当は茶葉ちゃんとつぼみ先輩を落としたかったんですけど、生憎もうこの2人はくっついて居るみたいなので、同期の4人をまずは落とします!」

茶葉「ちょ、ちょっと!」

百合「2人は気がついていないかもしれませんけどね、この前なんて――」

茶葉「あぁぁああ!! やめてやめて! ストップ!!!」


コメント

:ああ、この2人はもうくっついてるからなぁ

:所属前からずっとイチャイチャしてるもん

:¥12000 実際、配信でイチャイチャするところを見せることは少ないんだよ。でも、つぼみちゃんの話から分かるくっつき具合と、時々一緒に配信するときの反応を見るにもうデキてる。完全にデキてるね。

:¥5000 つぼ茶の間に挟まる間はないな

:2人はべつに落とさなくて良い。ただ、配信中にいちゃつくように仕組んでくれ


百合「任せて。このじれったい雰囲気を変えてみせるっ!」

つぼみ「大丈夫。一応配信中だし控えていたんだけど、みんなも求めているらしいから、これからは堂々とイチャイチャするよ~!」

茶葉「おい! 外野は黙ってろ!」

百合「つぼみ先輩の口からそのことを聞けて良かったです。イチつぼ茶ファンとして外から眺めてます!」

つぼみ「うむ。そうしてくれたまえ」


 ねぇ、そういえばなんでつぼみはマイクを持っているの?

 あ! 社長、仕組んだな……!

 もう嫌すぎる……。


茶葉「あぁ! もう! 次行くよ次っ!」

朱里「はい。鬼灯朱里です。どうぞ、よろしくお願いしますね」


コメント

:えっちなおねえさんだ……

:¥5000 いいんですか!? いいんですか!?

:おほ~っ

:いいですねぇ!

:えっち

:いいねぇ

:ふぉぉおお

:えっちだ

:¥12000 これが無料!?

:いいねぇ

:分かってるじゃないの!


 明らかにコメントの流れる速度が早くなった。

 やはりみんなこういうのを望んでいるんですね……。


百合「えっちだぁ!」

朱里「ありがとう。百合ちゃんも可愛いわよ」

百合「……セックスしよ?」

茶葉「おいっ! これつぼみのチャンネルだから!」


コメント

:草

:草

:やばすぎwww

:混ぜるな危険で草

:茶葉ちゃん大変だなぁ

:¥50000


茶葉「もう……どうなってるの……」


 そう困惑していると、とあるコメントが目に入った。


コメント

:ツッコミ足りなくない?


茶葉「そうだよね?! ツッコミ足りないよね?!」

玲音「そうだな。2期生はツッコミ梓だけだからな。でも、そんな梓は緊張して声が出ないらしい」

梓「ば、ばかたれ~!」

茶葉「……2期生ツッコミ不在?」


コメント

:悲報、SunLive.ツッコミ担当1人だけ。2期生に至ってはゼロの可能性あり


茶葉「……だから私裏方ね。ほら朱里さん。意気込みよろしく」

朱里「みんなの疲れを癒やせるような配信を心がけるわ。これからよろしく」


 とてつもないほどぐだぐだしているけど、なんとか進んでいる。

 私がコメントでいじられることで緊張を和らげられているならうれしい。

 私はもう緊張とかないから。私がマネージャーとして、スタッフとして率いていく。ただその気持ちで会話を回すだけ。


茶葉「ありがとうございました! では最後はこの方です!」

撫子「初めまして。桔梗撫子です。よろしく~」


コメント

:清楚来た

:これは清楚

:かわいい

:¥5000 にじみ出るアホさいいね

:かわいい

:いいじゃない!


茶葉「撫子ちゃんごめんね。待たせちゃって」

撫子「ん、大丈夫ですよ」


 桔梗……、撫子ちゃん緊張してるかな。

 危ない危ない。脳内だけど上の名前で呼ぶところだった。

 頑張って下の名前で呼ぶように訓練したんだから、下の名前で呼ばないと……。


撫子「私、できるだけみんなに楽しんでもらえるような、気持ちが落ち着くような、マッサージみたいな配信を頑張ります。よろしくお願いします」

茶葉「……ん? マッサージみたいな配信?」


コメント

:???

:?

:??

:??

:?

:?

:?

:あぁ、やっぱりボケ担当だったか……


茶葉「ま、まぁ! それはそれとして! これにて2期生が全員出揃いました! パチパチ!」

一同「パチパチパチ!」


コメント

:888888888

:8888888

:¥8888 おめでとう!

:888888888

:8888888

:88888888

:888888


茶葉「ということで、今この場でSNSを開設しますので、もし良かったらフォローしてください! 細かい告知は配信後にそちらで行います! 

 また、今ちょうど公式Webサイトを公開しました! 実は私たちもまだ見ていないので、これを一緒に見ていきたいと思います! 

 概要欄にリンクを張りましたので、もし良かったらそちらからどうぞ~」

梓「サイト楽しみです!」

百合「私たちのどんな感じなのかな?」


 早速パソコンでWebサイトを開く。

 私がWebサイトを表示すると同時に、私のパソコン画面が配信にでかでかと表示される。


コメント

:公式Webサイトきたぁ

:入れた!

:おお!

:あれ、茶葉ちゃん?

:あ

:やっぱりそうだったんですね


茶葉「ねーえ! なんで1期生枠に私が居るの!?」


 私がそう叫んだ瞬間、スタッフも含めその場に居る全員が笑い出した。

 どゆこと? 私マジで裏方だぞ?


朱里「先に茶葉ちゃんから見ましょうよ。あれ? 茶葉先輩の方が良いかしら?」

玲音「よろしくな! 茶葉先輩!」

茶葉「やめてください……」


 みんなが私から見る様に煽ってくる。

 ……私も興味があるので、みんなが言うとおり私のページから見てみる。


『1期生 茶葉』


撫子「あ、茶葉が名前なんですね」

茶葉「私も今知った」

百合「チャ・バーってこと?」

茶葉「うん。多分違うね」

玲音「かっこいい!」

「「「「「???」」」」」


コメント

:???

:どゆこと?

:独特な感性


玲音「……私もう黙ってる」

梓「玲音ちゃんすねないの」

玲音「すねてない!」


茶葉「あはは~、まあ次行くよ~」

玲音「なんじゃその乾いた笑い声は」


茶葉「じゃあ、気を取り直して説明欄を読んでいくね。

 えっとなになに? 『SunLive.の裏方兼マネージャー』……、え? これだけ?」


コメント

:草

:まぁ、本当だな

:???

:これ絶対他のスタッフが楽しんで作っただろ

:茶葉ちゃんVTuberデビューおめでとう!


茶葉「VTuberはやりません」

つぼみ「あれ? 私の彼女って書いてない」

スタッフ「あ、忘れてた」

茶葉「おいお前! あ、忘れてた。じゃないんだよ!」

百合「きゃー! 尊い尊い!!」


コメント

:リロードしたら増えたんだけどwww

:ぐう有能

:有能すぎるだろ!

:つぼみちゃんの方にも茶葉ちゃんの彼女って書いてある!


茶葉「うそ、もう反映されてるの?」


 そう言って恐る恐るリロードのボタンをクリックする。


茶葉「……うそん」

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