第4話

 司、愛二人は無言で家まで一緒に帰って来て、司はカバンを家に置いて、隣の家の愛の家に来た。

 司の母と愛の母はお互いシングルマザーで、朝は愛の母が仕事していて、夕方は司の母が仕事している為、朝は司の家、夕は愛の家でご飯を食べているのだった。


「あらいらっしゃい」

 愛の母が玄関のドアを開け、司を迎えてくれる。


「お邪魔します」

 司は愛の母に挨拶し家に入って行く。


「愛は部屋に居るわよ」

 と愛の母は愛の居場所を教えてくれる。

 司は勉強道具を持って家にやって来た。


「えーっと今日はリビングでやって良いですか?」

 と司は愛の母に確認を取る。


「何かあったの?」

 と愛の母はいつもと違う行動をとる司を疑問に思う。いつもは愛の部屋で二人一緒に勉強をしている。


「なっ何もないですよ。アハハ」

 司は愛の母に答えリビングに歩いて行く。

 司と愛が離れて勉強する時は、喧嘩をしたか気まずい事が合ったかのニ択な事は母二人ともしっているのだった。


「別に良いわよ」

 と愛の母は何かあったんだなーと思いながら、リビングで勉強する事を許可する。

 愛も帰って来てから何も話さなかった事を思い出し、やれやれと思う愛の母だった。


 夕食の時間になり、

「勉強終わったかしら?」

 と愛の母が司に聞いてくる。


「はい終わってます」

 司は勉強が終わっている事を伝え、ドリルを閉じる。

 愛の母は知っていた。だいぶ前に勉強は終わっていて、司が考え事をしていた事に。


「愛ご飯よー」

 と愛の母が愛の部屋に向けて言う。

 愛の部屋はリビングの隣の部屋だった。

 司、愛の家は隣同士でアパート暮らし、二LDKで、リビング、母の部屋、子供部屋になっている。


「ガチャン」

 と愛が部屋から出てくる。

 愛は司の顔を見ると目を逸らしご飯の前に座る。


「それでは食べましょうか」

 と愛の母がいい、

「いただきます」

 と司、愛、愛の母が食事の挨拶をしてご飯を食べ始める。


 いつもは学校で何があったなどと話をするのだが今日は無言だった。明らかに何があったと誰もが分かる。

「何があったの?」

 愛の母が話を切り出した。


「オホ」

 司は咽こみ、愛は母を睨んだ。


「と特にこれと言ったことは無かったですよ」

 と司が愛の母に話す。


「そー?その割には二人とも静かね?」

 と母が思ったことを言う。


「司が朝から……なんでもない」

 と愛が朝からよそよそしく話してくれないと言おうとしたが、恥ずかしくなりご飯を食べ出す。


「何もないですよ」

 司は愛が朝からと話して忍の会話が聞かれていたかもと思い恥ずかしくなる。


「まーいいわ」

 と愛の母が諦めて話を切り上げた。どうせ直ぐに仲直りするでしょと思っているのだった。


「ご馳走様でした」

 とご飯食べ終わり片付けをするのだった。


「お風呂入ってくでしょ?」

 と愛の母が司に聞く。


「はい。母の帰り零時見たいなので」

 と司が母の帰り時間を伝えお世話になる事を言う。


「なら入っちゃって」

 愛の母は司にお風呂入るように伝える。

 司の母が早く帰ってくる時は自分の家でお風呂入っているが遅い時は愛の家で入っていた。司が一番風呂で次に愛、そして愛の母が入る。


「ま待って私が一番」

 と愛が頬と耳を赤らめて言い風呂場に駆け込んで行った。


「……」

 司は何も言えず立ち尽くす。

「もしかして?」

 愛の母は愛が司を意識している事に気づき呟いた。


 司は愛がおかしくなったと愛の母を見つめる。

「あー思春期だから気にしないでね」

 と愛の母は司を慰める。愛の母は内心で一番風呂の方が恥ずかしくないのかな?と思うのだった。


 愛がお風呂から出て来てそそくさと自分の部屋に入って行った。

「僕嫌われたのですか?」

 と司は愛の母に訴える。


「いやいや思春期なだけだから。司君も愛と一緒で恥ずかしいとかあるでしょ?」

 と愛の母は司をフォローする。


「嬉しいですけど?」

 司は恥ずかしいとは思わず首を傾げる。

「友達に言われたらどう?」

 と愛の母が付け足す。

 司は顔を真っ赤にして、

「お風呂行って来ます」

 と逃げて行った。


 愛の母はなるほどと、学校で何があったか推測する。

 司は友達から色々吹き込まれ照れて話せず、愛は司を意識して話せずって感じかなと正解を導き出した。小さい頃から司も一緒に面倒見ていて、流石二人目の母であった。


「ハーーーどうしよう」

 と愛がベットに飛び込みバタバタとして悶えていた。

 司もお風呂で同じように悶えているのだった。


 

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