第3話

 愛は屋上前の扉で高梨に告白された。

 愛が告白に断ったが、なっなら僕と付き合ってよ。ゆっくり好きになってくれればいいから、と高梨が言い、愛は一歩後退するのだった。


「そんな急に言われても」

 愛は高梨にタジタジになるながらも言う。


「司って人の事なんとも思ってないなら僕と付き合ってよ」

 高梨がグイグイくる。


 愛が困っていると

「司なんかより僕の方がいいよ絶対」

 と愛が後退して壁に当たり、高梨が壁ドンして言う。


「な、なんか?」

 愛は司なんかに違和感を感じ呟く。


「ぼ僕の方がかっこいいし、スポーツ出来るし、お小遣いだってあるし、勉強だって出来るし」

 と高梨が自分の良いところを並べる。


「…………」

 愛は無表情で何も話さなくなる。


「はいはいそのくらいにしといたら?」

 手をパンパンと叩いて階段を上がってくる。上がって来たのは小雪だった。


「高梨君だったよね?あまり司君の悪口は良くないよ」

 と小雪が高梨を睨み、愛と高梨の間に入る。


「僕と愛の問題だ突っ込まないでくれ」

 と高梨は愛を呼び捨てにして小雪を睨む。


「なら愛ちゃんに聞くけど、高梨君と付き合うの?司君を諦めて?」

 と小雪が愛に真剣に聞く。


「つ司は関係ないと思う」

 と小さな声で愛が反論する。


「そー?今愛ちゃんの中では高梨君より司君の方が大事でしょ?」

 と小雪が愛に確認を取る。


 愛は少し考え、無言で首を縦に振る。

「なら高梨君と付き合うのは辞めといたら?」

 と小雪が愛にアドバイスする。


「ちょ余計なこと言うな」

 と高梨が小雪の肩を強く握り愛から離そうとする。


「わっ」

 と小雪が高梨に引っ張られ驚く。


 小雪が二、三歩よろけ高梨を睨みつける。


「愛ちゃん行こ」

 と小雪は愛の手を握り階段を降りて行こうとする。


「ちょ話は終わってない」

 と高梨は愛を止めようと手を伸ばす。


「パチン」

 小雪が愛に伸ばされていた手を叩く。

「もう終わっているよね?愛ちゃん怖がっているよね?これ以上言うなら容赦しないよ」

 と小雪がすごく怖い顔で高梨を睨みつける。


「ヒッ」

 高梨は小雪の眼光に臆し手を引っ込め、愛、小雪を見送ることしか出来なかった。


 愛、小雪が教室に戻ると昼休み終わりのチャイムが鳴る。


 愛、小雪が教室に帰って来て、愛、小雪は席に着いた。司は愛が元気ないことに気づき気にはなるが、朝、忍が、愛ちゃん人気だからな。六年生だから卒業までに告白するって奴居てもおかしくないぞ、と忍が司に脅しをかけてきて、司は動揺して声を掛けれる状態では無かった。


 午後の授業は半分以上頭に入らず終わった。

「さー帰るか」

 忍が独り言を言い席を立ち上がる。司と愛は二人で帰っている事が多いが

「忍、一緒に帰ろうぜ」

 と司が忍に声をかけるのだった。


「ハーお前なー」

 と忍はため息を吐き呆れ顔で司を見るのだった。


「ごめんね司君、忍君は私と帰るの」

 と小雪が声をかけ、忍の腕を取り抱きつく。

 忍と小雪は最近から付き合っている。


「あっ小雪ちゃん……」

 司は忍が小雪に取られどうしようかと目を泳がせる。


「ハーー。愛ちゃんと帰ったら?」

 と小雪も呆れ顔で言う。


 ビクっと愛が肩を上げたが、小雪と忍にしか分からなかった。

「あ愛、一緒に帰るか?」

 司は疑問形で愛に聞く。いつもなら帰るよと普通に言えているが今日は明らかにおかしい。


「フッ」

 と小雪と忍が笑いを堪えようとする。


 愛はカバンに荷物をまとめ席を立つ。

「行こ」

 と愛は司の顔を見ずに言い廊下に歩いて行った。

「待って」

 司は愛を追いかけて行ったのだった。


「何かあった?」

 二人が教室から出て行って、忍は小雪に愛もいつもとおかしいからと聞く。

「歩きながら話すわ」

 と小雪は呆れ顔で言い忍に昼休みあったことを話すのだった。

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