第14話
「あともう少しのところでしたね。残念だった。女性島でよく男同士で性交出来ましたよね?」
「二人とも射殺してもよかったが、そうなると更に犠牲者も出るし騒動激化にもなりかねかい。我々の思惑通りにはいかないところでよく寸止めできたな」
「てっきり女性の家に侵入するかと思ったんですがね……」
「あの兵頭と益井、色んな意味で標的にできそうだな」
「ええ。この際に賭けてみます?」
「いや、よしておけ。死傷者も増えている。我々がやったと気づかれたらどうしようもない。管制塔に戻ろう」
──「益井さん」
「ああお疲れさまです。都市部いかがでしたか?」
「向こうも一部閉鎖になったから引き返してきたんだ。帰宅命令が出て地下鉄とかも混雑していたよ。車の渋滞はあまりないが、しばらくは街中も静かになりそうだな」
「女性島でもここまで激化するなんて酷いですよね。親衛隊が反逆化しているとかで噂が立っているみたいですよ。そんなことしたら政府から国外放棄されることもありうるって」
「まるで紛争国と似たような状況だな。日本の治安部隊が衰退してしまったら誰がこの国を守らなければならなくなるんだ?」
「自衛権なんて発令されたら自ら命を絶つ人だって増えるに違いない。そうならないように、親衛隊を阻止しなければならないな」
僕たちが女性島に来てから親衛隊の動きも機敏になり、彼らによる襲撃が始まった。都市部もビル街に被害が及び避難勧告が言い渡されると、民間人の中には郊外へ向かう者たちも増加していった。首相官邸からも国の法案の強化を取るべく方針として、特別治安維持部隊が設置され特殊機動部隊とともに親衛隊の阻止を計ることを発表した。
その日のうちに男性島から各部隊が上陸し、都市部が完全閉鎖になると、部隊隊員たちはくまなく親衛隊が潜伏する居場所を捜索していき、バリケードや山積みされた瓦礫を盾に親衛隊が銃で襲撃してくると、部隊らは爆薬を撃ち建物が次々と破壊していった。親衛隊の隊員が拡声器を使い反撃する言動を放った。
「我々も親衛隊としてこの国を守る義務がある。そのためにも男女が共存して一体となるなど汚染された島国にしてしまうなどもってのほかだ!」
「お前たちが匿っている人質を全員解放すれば、その意見も検討することもできなくはない。まずは襲撃を撤回し直ちに部隊を解散させろ!」
「この国のリーダーはどんな手を染めてでも国を守るなど無責任で危機極まりない。我々親衛隊あっての日本国だ。信用なるものか!」
「隊長、今のうちに遠回りして親衛隊の攻撃を阻止します」
「かなり気が立っている状況だ。慎重に行動するようにしろ」
親衛隊は刃向かうように銃を乱射していき、その間を特殊機動部隊が突進して手榴弾を放つとその立ち込む煙を吸った親衛隊の隊員たちが息苦しさで倒れていくと、爆破後に機動部隊が彼らを次々と捕獲していった。
「お前たちのリーダーである後藤はどこにいる?!」
「……国会議事堂の地下にある潜伏設置室で指令を出している。そこに行けば……いい……」
数時間に渡る攻撃を阻止した後、治安維持部隊が国会議事堂へ向かい地下へ着くと後藤の姿はなく、その間に設置された小型の爆薬物が自動で爆破して襲撃を受けると、隊員たちは怪我を負いながら外に出て郊外に在籍する各救護所に後藤が匿っている可能性が高いと断定し他の特殊機動部隊に応援要請をかけて向かわせた。
「特殊機動部隊が救護所に?それ、本当か?」
「はい。親衛隊のリーダーである後藤がこの敷地内に潜伏していると情報がはいってきました」
「私達はここを動くことができません。矢野さん、親衛隊の位置情報はどこにいるかわかりますか?」
「それが、レーダーが点滅を繰り返しているんです。機動隊もだいぶ難航しているようですね」
「僕らも同時に避難しても親衛隊が追跡するだろうしな。それと、女性たちが避難している場所は特定できるのですか?」
「ここの敷地内から十数キロ離れたところに移動している模様です。あらかじめ救護所だと知っていて近づいているみたいですね」
「後藤たちが近くにいる……救護士の中に変装して潜んでいる人もいるかもしれない。益井さん、各テントにいる救護士の様子を見に行こう」
「はい」
「私達も同行します」
「お願いします」
僕らはテントにいる救護士の中に不審者がいないか各自確認をしていくと、ある一人の救護士が僕の名を呼んでいたのでついていくと救護車に誰かが乗っているのを見つけたのでどこの救護隊の者か尋ねた瞬間、もう一人の救護士と思われる人物に背後から口元を布で押さえつけれ抵抗しようとした時に強い刺激臭を吸いその隙に意識を失って倒れてしまった。
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