第13話

救護所から二時間ほどのかけて街の繁華街に来てみると、男性島とは違う女性独自の空間が流れていた。歩道や喫茶店らしき場所などにはとにかく女性が溢れていて、このような情景を見渡すと侵入してきた男性たちも興奮気味になることもわからなくもなかった。

夕日が沈みかけた頃、益井の位置情報がまた移動していったので北に数キロ走り青羽町という場所に到着して、矢野から教えてもらった自衛官がいる駐在所へ行き、侵入している男性の身元を確認してもらったが益井らしき人物は見ていないと言っていた。

付近にいるかもしれないので引き続き車で追跡を行ないと告げると了承してくれた。


そこから商店街へ抜けて住宅街へ入り更に広い敷地にでていくと、ある一台の車が停車していたので降りて近づいてくと中に益井がいたのでドアを叩くと驚いてこちらを見ていた。


「お前、何しているんだ?」

「すみません……」


僕は彼と後部座席に座り改めて事情を聴くと、今の状況下で任務を遂行している自分の身が得体の知れない魔物になっているような情が湧き上がってくると怯えながら話していた。


「兵頭さん、僕もう駄目です。これ以上負傷者の事を見ていると辛くなってくる。自分の島に帰りたい」

「それは皆も一緒だ。だがここで逃げてしまったら親衛隊の奴らに捕まってしまう。とにかく戻ろう」

「嫌だ。それならここで死んでも構わない。街に行って女性を犯した後に自分も後を追って死にたいんだ」

「馬鹿な考えはよせ!気は確かか?何をしても親衛隊がお前を捕まえにくる。そうなる前に俺と一緒に救護所に帰るんだ」

「だったら、今ここで僕を抱いてください。もう……何もかもが正気でないんだ」

「落ち着け。俺が一緒にいるからまず深呼吸をしろ」


彼の背中をさすって宥めていくと少しは乱れた呼吸が戻り出していた。僕は彼を抱きしめてあげると嗚咽をしながら肩に寄りかかってきた。


「ごめんなさい。僕、救助隊の指令書が来た時から逃げたくてしょうがなかった。でも、兵頭さんと同居するようになって気持ちを入れ替えて女性島へ一緒に渡って人助けをしようと決めたんです。でもこんなすさんだ場所に置かれて……まるで戦地にいるようで怖くなってたまらないんです」

「それは俺も怖さを感じながら生きているよ。でもな、益井。与えられた任務は最後までまっとうするのが人の為なんだ。俺ら個人の為にもだよ」


僕は益井の顔を両手で覆い唇にキスを交わすとそれに応えるように彼もまた舌を入れてきてしばらく交し合っていた。


「兵頭さん、戻る前にここでセックスしてください。今すぐにあなたに抱かれたい」

「いいよ、少しの間だけだ。ズボンの下を下ろしてくれ」


僕は彼の陰茎を咥えて上下に舐めていき硬くなってきたところで今度は彼の片手を僕の下着の中に入れて弄るように告げると再びキスを交わしながら激しく愛撫してきた。


「僕……このままイキたい。どうしよう、我慢できないからあなたのも舐めさせてくれ……!」


益井は僕の陰茎を舐めた後自分の陰茎を擦り合わせてきて両脚を身体に絡めるように抱えては淫声を上げていた。車内が熱気に包まれて窓ガラスも白く曇っていき、彼を仰向けに倒すと尻の穴に陰茎を入れて腰を突いていくと首を仰のけ反りながら荒く呼吸を乱して何度かああっ、と声を上げていた。


「兵頭さん……どうしよう、射精する……!」「出してきていいぞ……!」


お互いが全身で揺らしながら快感の絶頂になると、益井は射精をして僕の顔に精液をかけてきた。


「ごめんなさい。どうしようもなくなって抑えられないんです……」

「かまわない。本当は女性としたいんだろう?だが、外に出ると危険だ。我慢してここから離れよう、運転できそうか?」

「はい……」

「俺が誘導していくからその後をついていくように運転しろ」

「兵頭さん」

「何?」

「僕、あなたについていきたいです。最後まで任務を果たしていきたい」

「救護所に戻ったら矢野さんから事情を聴かれるから、話が終わったらまた俺も話し相手になる。安心しろ」

「ありがとうございます」


その後郊外の救護所に戻り、矢野から注意勧告を受けて憔悴している益井に温かいスープを渡すと哀愁を漂わせながらも微笑んで優しく立ち込めるスープの香りに穏やかになりながら啜っていった。

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