第10話

一週間後僕と益井は乗船所のある港へ来てすでに集まっている自衛官や医師らとともに船に乗り込みそこから四時間かけて女性島へと渡っていった。島の港に着き船から降りてゲートを通過しようとした時、数名の女性の自衛官が阻止してきたので、男性島の自衛官である一人が救助隊として渡航してきたことを告げると通ってもよいと返答してきた。

しばらく歩いていくと管制塔のあるところからまた一人の女性が現れてはばもうとしてきたので事情を告げると敬礼としてきた。


「申し遅れました。女性島自衛官第一組織艦隊の矢野の言います。この度は我々の任務において来島していただけたこと誠に感謝いたします」

「男性島から来ました自衛官官長の長野と言います。矢野さん、早速ですが捕らわれている人たちのところへ向かわせていただきたい。ご誘導願いますか?」

「了解です。あなたたちの特例任務につきましてもあらかじめご報告を受けています。もう少しで二十二時になりますので時間が過ぎた頃を見てご誘導いたします」


それから自衛官の装甲車に乗り込みその間に渡された軍用の装備服に着替えて護衛用のライフル型の八十九式五・五六小銃を装着し、車に揺られること二時間のところに停車したので矢野が僕らの元へ来て車から降りるように下すとそこには一帯の過疎地が目の前に広がっていた。

上空から親衛隊のヘリコプターやドローンが飛行しているので見つからないように侵入していけと告げた後、僕らは数キロに渡り走っていきある集落の場所へと来ると矢野がここの各所にある防空壕の中で十数名の女性たちが避難していることを話し、まず彼女たちを救助するように命じてきた。


「私が先導しますので後について来て下さい。その間に不審者が来たら場合によっては銃を構えても良いです。ただし打つことはしないでください。親衛隊が逆襲してきますのでそこは慎重に構えてください」


辺りを見回しながら防空壕の場所を探し、ある自衛官がそれらしき形跡のある場所を発見したので中に入っていくと子どもの鳴き声が響いていたので、矢野が宥めながら奥へと侵入していくとざっと数えて三十名の女性たちが身を寄せ合いながらこちらを見ては怯えていた。


「私は女性島自衛官の矢野と言います。皆さんを救助しに来ました」

「どうか静かにするように。ここにいる者たちは親衛隊に匿われて避難してきたもので間違いないな?」

「そうです。ここに来てから数日以上経っていて食料も底をつきました。どうか助けてください」

「兵頭先生、彼女たちを外に脱出させてください」

「わかりました」

「先に子どもを抱えてください。その後をついていきますので」


防空壕の外へ出て皆を集落の憩い所へと匿い安否確認を行った後に夜が明けるまでの間周辺の防衛をしながら見張っていた。六時になり、上空のヘリコプターがいなくなると自衛官の救護車両が数台来て彼女たちを乗せて隣町の救護所へ来ると女性救護士が駆けつけて救助に当たった。


「矢野警護官、ご苦労であった。ひとまずは全員の安否が取れたので次の防空壕へと男性救助隊とともに向かっていただきたい」

「了解しました」


間髪入れずに次の町へと装甲車で移動し、到着して車から降りると上空から爆撃音が鳴り響いてきた。その中を避難しながら半壊した瓦礫の山となっている場所へ来てそこから地下に繋がる連絡路へ向かっていくと次の防空壕が見えてきた。


「みんなこっちだ。何人か人がいるから救助するように向かってくれ」


長野は更に奥に続く道を歩いていくと十五、六名の女性たちが泣きながら僕らに近寄ってきて早く避難するように誘導してくれと告げてきたので、連絡路から外に出て二キロ先の建物の中に匿うと爆撃音は更に近づいてきた。

しばらく静まるまで救護にあたり音が無くなったのと同時に再び外に出て装甲車の中に全員が避難すると三十キロ先の別の救護所へ到着した。


「今のところ怪我人はいません。引き続き救助に当たります」

「皆さんも一度休息するようにしてください。これから食料を配布しますのでここで待っていてください」


束の間の休息で簡易な食事を済ませた後、そこから五十キロ先の救護所来ると僕と数名の医師らとともに負傷者の救助にあたり、その間益井ら民間人の救助士は装甲車に乗り込み百キロ離れたところの町へ匿われている女性たちの救助に向かった。

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