第38話 vsスケルトンキング

 俺はスケルトンナイトに向かって走り、ナイトが剣を振る前にもう一度懐に入り剣を振る。スケルトンナイトは再び二つになり崩れ落ちる。そのまま残ったスケルトンキングに向けて走りながら、鉄を生み出して放つ。しかし、その攻撃でスケルトンキングに傷がつくことはなかった。


 ならばと隙を見て剣で攻撃をするがこれも弾かれてしまう。防御力だけならば、通常ダンジョン最深部クラスのボスモンスターに匹敵する。


 相手のレベルが高いため、このまま小粒を投げても無駄な時間が続くだけ。だから俺はスキルを発動し、自身の周りに無数の鉄を発現する。


 そして、鉄を纏いながらスケルトンキング目掛けて走り出す。


 常時発現状態。体力が常に奪われるため効率が悪いが発現までにかかる時間がなくなるので攻撃、防御どちらにおいても隙がなくなる。


 スケルトンキングは自ら戦おうと動き出す。スケルトンキングはまずスケルトンナイトの剣を拾うために屈む。


 その間に一気に距離を詰めた俺は纏った鉄から一部、円を描くように操る。そして刃だけのチップソーを生み出す。


「旋回の刃」


 スケルトンキングが剣を握る前にチップソーを高速に回転させて肩の関節部目掛けて投げる。関節部に当たったチップソーはそのまんま腕を切り裂く。


 胴体だと切れないが関節部ならば簡単に切れる。


 腕を切ったチップソーはUターンして俺の元に戻ってくるとバラバラになって纏っている鉄の中に戻る。


 スケルトンキングが腕を再生させている間に、スケルトンキングの懐に入り、今度は股関節目掛けてチップソーを投げる。今回も簡単に切る事ができ、スケルトンキングは足を失う。


 足を失ったスケルトンキングはそのまま倒れてくるが纏った鉄を飛ばしてスケルトンキングを押さえる。


 押さえている間にもスケルトンキングは足と腕を再生しようとする。


「再生なんてさせる訳ないだろ」


 そう呟いて鉄を思いっきり上に放ちスケルトンキングを上空に飛ばす。


 スケルトンキングは空中で両足と片手を再生させる。徐々に手足が再生していく。


 再生なんてしても意味ないのに。


「無駄だ」


 完全に再生した瞬間、両足、片手が吹き飛ぶ。


 先程破壊した関節部に鉄の破片をいくつか埋め込む事で再生中に亀裂を生み出しておく。そのまま再生した瞬間、鉄の破片を大きく振動させて亀裂を大きくし破壊する。何度再生しようがその度に腕と足は破壊される。


 腕も足も再生できずにそのまま落ちてくる。


 後は、このまま鉄を思いっきり撃ち続ければ勝てる。


 そう思った瞬間、何かに背後を取られる。


 スケルトンナイトか。さっきコアを破壊し損ねたから復活したか。


 顔だけ後ろを向き、その場で鉄を集めて盾を作りスケルトンナイトの攻撃を受け止める。


「効かないよ」


 そう言って鉄の盾で押し返し、そのまま二つのチップソーを生み出し放ち、スケルトンナイトの首を斬り裂く。


 続けてスケルトンナイトのコアを上から貫くように鉄を飛ばす。


 その間に落ちてきたスケルトンキングに大量の鉄を飛ばして思いっきり吹き飛ばす。


 何もできないスケルトンナイトはそのままコアを破壊されその場で消え、スケルトンキングは壁に叩きつけられ倒れ込む。


 そのまま片手だけの動けないスケルトンキングに向けて止めを指すために走る。


 スケルトンキングは最後の足掻きで俺の前にスケルトンを召喚して盾とするが、チップソーをいくつか生み出して投げる。高速振動した鉄はスケルトンナイトを簡単に斬り裂く。


 そして、腕、頭を斬られたスケルトンナイトを踏み台にして高く飛び、鉄を剣の周りに纏わせるとスケルトンキングのコア目掛けて剣を突き刺す。


 剣は折れてスケルトンキングの鎧と骨と共に砕け散る。コアを守っていたものは全て無くなり、コアが丸見えとなる。


 なんとか骨をもう一度、再生させてコアを守ろうとするが、


「もう負けだ。諦めろ」


 と身動きの取れないスケルトンキングのコア目掛けて纏っていた鉄を全て放った。


 コアを破壊してスケルトンキングから降りる。


 軽く深呼吸をしてスケルトンキングが消えていくのを確認する。


 スケルトンキングが倒され、スケルトンキングが呼び出したスケルトンも消えていく。それを見て纏っていた鉄の発現を解除する。


 今回は長時間使わなかったので負荷はそこまでかからなかった。


 それなりに疲れたが。


 はぁ。


 と軽く息を吐いて炎の男の方を見る。


 スケルトルキングを倒したことで男が戦っていたスケルトルナイトも消えていた。少し遠くの方に見える男は疲れていたが大きな怪我はなさそうだった。


 スケルトンキングがいた場所を確認するが魔道具は落ちていなかった。


 魔道具を落とさなかったということは希少種ではなかったと言う事だが、


 元々いたボスの魔物か?


 それにしては強すぎると思うが。


 少し気になる。


 このまま考え込むと長くなりそうなので考えるのは後にして、他の人の安否を確認するためにヒカリたちの方を向く。


 全員無事そうだ。


 それを軽く確認して駆け足でカイラたちが集まっているところに向かった。

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