第37話 スケルトンナイト
スケルトンキングは進行してくる俺を止めるために進路上にスケルトンを生み出し配置する。
「邪魔だ」
それでも速度を落とさずスケルトンの間を通りながらコアを一撃で破壊して、スケルトンキングとの距離を縮める。そんな俺を見てスケルトンを生み出しても意味がないとわかったのか、スケルトンを生み出すのを止める。
「俺と一騎打ちする気になったか?」
そう言ってスケルトンキングが何もしないうちに距離を縮める。
広範囲の大技を使ったことで体力をかなり使ってしまった。なので、できるならスケルトンキングに辿り着くまではあまり体力を使わないようにしたい。
スケルトンキングからの攻撃は何もなく容易に近づけた俺はスケルトンキングの膝めがけて剣を振る。
しかし、横から別のスケルトンが迫っていたので、咄嗟に後ろに跳びそれを避けて金属を飛ばす。
「ちっ」
舌打ちをして金属を放ったスケルトンの方を確認する。
他のスケルトンとは違うスケルトンキングでもないスケルトン。キングを守る騎士。
スケルトンナイト
弱いスケルトンを生み出すことをやめ、瞬殺されない、俺と戦えるレベルの強めのスケルトンを生み出したか。
体勢があまり良くないので不利を取らないように少しスケルトンナイトと距離を取る。スケルトンナイトはスケルトンキングを守るように前に立ちはだかる。
「どけよ」
そう呟いてスケルトンナイト目掛けて走る。スケルトンナイトの剣と俺の剣がぶつかり合い、甲高い音を上げる。
スケルトンナイトは俺の剣を押し返そうと力を入れてくるが、それを晒して体勢を崩させる。スケルトンナイトは体勢を崩され、前に倒れそうになる。そのまま横で倒れそうなっているスケルトンナイトの腹に剣を当てて一気に剣を振る。スケルトンナイトは腹を切られると上半身がずれ落ち膝をつきそのまま倒れる。
「次は、お前だ」
俺はスケルトンキングに向き直り剣を突き出す。
そして、もう一度、スケルトンキングに攻撃を入れようと走り出す。その時、スケルトンキングに表情なんてないのに、一瞬笑ったような気がした。
多分、スケルトンキングからありえないくらいの余裕を感じたからそう見えたのだろう。
俺は直感的にこの攻撃は誘われていると感じ、スケルトンキングに懐に入り攻撃を入れようとしていた剣をその場で止める。そして、咄嗟に背後を向く。
そこには剣を振り下ろすスケルトンナイトがいた。
また生み出したのか?
いや、そんなことはどうでもいい。
それよりも今はスケルトンナイトの攻撃をどうするかだ。
スキル付きのコートがあるのでそこまでダメージは受けないが、攻撃で体勢を崩されるのだけは避けたい。体勢を崩せばその間に大きな隙が生まれて、取り返しのつかないミスに繋がることがある。
ここは安全に防ぐのが最良。そう考えてスケルトンの攻撃を防ごうと勢いよく反転すると、スケルトンの背中から爆発音が響き、スケルトンが倒れてきた。
それに当たらないように移動する。
スケルトンの後ろから掌から炎を出した男が現れる。
「お前!何で来た。ヒカリと一緒に他の人達を守れって言ったよな?」
足手纏いになるって言ったはずなのに。
「別にキングとやり合うために来たわけじゃない」
「...」
「俺は俺にできることをしにきただけだ」
それは他の人たちを守ることじゃないのか
俺はそう言おうとしたがその言葉を飲む。男の後ろ、ヒカリ達がいるところではカイラ達がスケルトンと戦っている姿が見えた。
もう向こうに助けはいらない。カイラたちで十分。今、助けが一番必要なところは俺の場所ってことか。
舐められたものだ。
俺はわずかに笑みを浮かべ、
「わかったよ。周りの雑魚を頼んだ」
そう言う。
すると、男はスケルトン達に炎を放ち押し返す。
「まかせろ。疲れて勝てなさそうならキングも俺がやってやる」
後は俺がやるとでも言いたそうだった。
でも、スケルトンキングを倒すまではやらせない。あいつには俺じゃなきゃ勝てない。そもそもスケルトンと相性が悪い炎のスキルでスケルトンキングは倒せるほど甘くない。
気持ちだけで十分だ。
「少し疲れたけどあいつに負ける程俺は弱くないよ」
「ならいい。俺は俺のやるべきことをする」
そう言って動き出すスケルトンナイトに向かって炎を放つ。
周りのスケルトンは邪魔だから引き取って貰えるのはかなりありがたい。
スケルトンキングだけを相手するならかなり楽だ。
「そうか。なら、そいつはくれてやる」
スケルトンナイト。男と相性が悪く倒せるかわからないが、時間稼ぎはできるのでその間にスケルトンキングを倒せば男も負傷することはないだろう。
それにここで男がスケルトンナイトに勝てたなら、多分男は大きく成長できる。
「勝てよ」
そう告げてスケルトンキングを見る。
この間に先程真っ二つにしたスケルトンナイトが起き上がりスケルトンキングを守護していた。この僅かな時間で完全回復できるほどの再生力のスケルトンを作れるってことはスケルトンキングもそれだけ再生力があると言うことだ。確実にコアを破壊しなければ倒すことは不可能だろうな。
「よし。もう少し気合いを入れるか」
スケルトンナイトを一体任せたんだ。もう苦戦なんかしてられない。
そう胸に決めてスケルトンキングに剣を向ける。
「行くか」
そう言ってスケルトン目掛けて走り出した。
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