第33話 鎧のスケルトン
気持ちを切り替えた俺達は5層を目指していた。
4層を歩いているが、先に行ったチームが魔物を倒しまくっているのかあまり魔物を見かけない。
そのおかげで無駄に体力を消費することなく、詰まることもなかったので、さっさとダンジョンを攻略する為に歩くペースを上げた。
ペースを上げすぎて二人が疲れてしまわないようにちょくちょく隣や後ろを確認しながら歩く。
俺は元々、ダンジョンにひたすら篭り続けいたため、身体能力が他の人間よりも高い。だが、自分だけ強いからと言って他の人のことを考えずに行動したらスケルトンと戦った時のように疲れて動けなくなったところに魔物が現れた時対応できない可能性がある。
ヒカリはさっきの出来事以来、何も話すことをはなかったがあまりの遭遇のしなさに、
「全然魔物と遭遇しませんね」
と呟いた。
「そろそろ、出てくるんじゃないかな」
とヒカリに返すと近くに複数の生物の気配がする。他の受験者の気配かもしれないが、それにしては数が多い気がする。
「ほら、出てきた」
と言うと前にスケルトンが目の前に現れる。本当に魔物が出てきてヒカリは驚いていた。まあ、出てきたのは偶然なのだが。
俺はいち早く行動に移る。ペースを上げて距離を詰める。
「このまま倒す」
近くなってはっきり見えてきた敵を確認する。
「スケルトンの数は5。前2体は鎧ありか」
武器はさっきと同じ、剣一本。
スケルトンの装備を確認し終え、剣を持たない方の手の前に鉄を10個程生み出す。
鉄を完全に発現させると、そのままそれを一斉に鎧を来た左のスケルトンに向けて飛ばす。
サイズは親指サイズで小さいが、その速度は最速、目で追えない速度。
その速さで飛んでいった鉄はスケルトンの関節部を貫き、体勢を崩したスケルトンはその場で崩れ落ちる。
強度はそれなりにある為、超速で飛ばされた弾はどこでも当たるだけで破壊できる。
今回は10個を別々に足首や肩との関節部、膝などに撃った為、腕や足から先は破壊され、立つことも武器を持つこともできないで倒れた。
まだ、生きているが鎧が邪魔でコアを破壊できないので放置する。
もう一度、同じことをしてもう1体を崩す。前にいた鎧を着たスケルトンはどちらも行動不能なったため、その横を通り過ぎる。
その後、こちらに攻撃を仕掛けてこようとする鎧なしスケルトンより速い攻撃で一撃でコアを切り裂き倒していく。スケルトンの動きは遅い。スケルトンが攻撃に移る前にコアを狙うのは簡単だ。
一瞬で3体のスケルトンを処理すると、崩れたスケルトンのコア目掛けて剣を突き刺して倒す。
スケルトンを完全に倒し終えた後すぐに、ヒカリ達が駆け足で寄ってくる。
「流石、先輩です」
「またスケルトンだったし、多分、この先もそんな感じのが出てくると思う」
集団と言っても下級の魔物なので手こずることはないと思うが、備えておいて損はないはずだ。
「魔物の数が増えたらもしかしたら、対応できなくなるかもしれないから、その時はサポートよろしく」
そんなことめったにないと思うけど。
「はい」
そして俺達はまた歩き出した。
歩きながらふと
さっきのスケルトン、三層にいたスケルトンと同じだったことに違和感を覚える。
前の層にいたスケルトンと同じ姿のスケルトン。同じダンジョンだから同じ魔物を見るのはわかる。
だが、装備などが殆ど同じことがどうにも引っかかる。層ごとに縄張りがある為、スケルトンやゴブリンなどの魔物は出てくる層によって武器が変わる。一層だけでも変われば得られる武器が良くなるからだ。だが、今回のは武器が良くなることなくそのまま変化しなかった。
少し変だ。まあ、そこまで気にする話でもないが。そもそも下級の魔物の武器の変化なんてあってもなくても特に変わらない。変化がなければ強さも変わらないし俺の気にしすぎだ。
そう思って話すのをやめる。
少し歩くとまた魔物の気配がある。
今度も5体。
「また魔物だ」
さっきと同じようにペースを上げて走ろうとしたがやめる。いたのはスケルトン。見た感じ、5体のスケルトンは全て鎧なし。鎧がないなら剣でなくても倒すことは可能。
その場に立ち止まると周囲にかなりの数の鉄を生み出す。
「危ないから、俺に近づくなよ」
ヒカリ達にそう言って距離を取らせる。
周囲に無数の鉄を発現し終えると、
「いけ」
と腕を振り鉄を前にいるスケルトンに向けて発射する。
スケルトンは鉄がぶつなるたびに体に穴が開いていく。コアの周りの骨も数発の鉄により破壊されコアが剥き出しになる。それでも鉄は止まず、無数の鉄によってコアが貫かれてスケルトンは消滅する。
威力と量で圧倒する。それが俺のスキルでの基本スタイル。一体一ならばスキルを使わないこともある。だが、数が多いと時間がかかるのでスキル中心となる。数が多い時はオーバーキルというくらい鉄を発現させて、それを俺の操れる最高速で放つ。それで一掃する。そうすれば囲まれることも少ないし、不利になることも少ない。
「よし、行こうか」
完全にスケルトンがいなくなったことを確認すると俺は再び歩き出した。
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