第26話 結果発表
セルビアの話が始まり俺たちは整列しその話を聞く。
「えー、全員集まりましたので、宝探しの結果を発表したいと思います。全員チームの結果を発表すると時間がかかってしまいますので、最も多く宝を集めたチームの発表をしますね」
セルビアの言葉を聞いて生徒たちは緊張している。
「最も多く宝を獲得したのはカイラくんのチームです。よく頑張りましたね」
セルビアは微笑みながらカイラたちを褒める。カイラたちはお互いに顔を見合わせて喜んでいる。
セルビアは続ける。
「ちなみにカイラくんのチームは全てのクラスのチームの中でもトップの獲得数で、ボス役である先生を倒した唯一のチームらしいです」
やはりカイラたちが最も多くのお宝を手に入れたか。あいつらの連携はかなり上手かった。納得の結果だ。
「言った通りだっただろ?」
俺は隣にいるヒカリにそう言う。
「そうみたいですね。あーあー、その戦いも見たかったなー」
ヒカリは残念そうにする。
ま、俺もあの時は結構楽しかったし、また機会があれば戦うのもいいかもな。
カイラたちの周りに人が集まりだしざわついてきたのでセルビアは手を叩き
「ではこの後は宿屋に移動しますよ。僕についてきてください」
と指示を出し歩き出す。
歩きながらヒカリと共にクラスメイトに囲まれて身動きが取りづらくなっているカイラの元に向かう。俺たちが近付いてきたことに気が付いたのか何か理由をつけて人混みから抜け出し俺たちのところにやってくる。
カイラチームと言われたので囲まれていたのはカイラだけ。
「流石だな」
俺がそう声をかけると
「ありがとう。でも、僕たちに1人で勝った君の方が凄いんだけどね」
とカイラは苦笑いをする。
「そうですよ。先輩は凄いんですよ」
とヒカリが胸を張る。そんな俺たちに集まるようにエミとネネもやってくる。5人で話しながら宿に向かう。
途中、他のクラスメイトもやってきてカイラや俺について「どうして強いか」とか「スキルは何」とか聞かれ、濁しながら話す。
そして、気づけば俺たちは宿に到着していて、各自の部屋へと案内される。部屋の中にはベッドが2つ、机が一つと椅子が2つある2人部屋。
セルビアが自由に決めていいと言ったので俺はカイラと同じ部屋にした。荷物を置いてカイラ、ヒカリたちとご飯を食べ、部屋に戻る。
ベッドに座った俺にカイラが
「君はどうしてそんなに強いんだい」
と聞いてくる。
「俺の強さか。スキルが良かったからかな」
勿論、それだけじゃない。ダンジョンに初めて潜った時はスキルを使っても勝てなかったし、上手く戦えなかった。今の俺の強さはダンジョンの経験によるものだ。
「それだけじゃないってことはわかるよ」
とカイラが俺の目を見て言ってくる。まあ、元ダンジョン攻略者であることは隠す気はない。だから正直に答える。
「俺はダンジョン攻略者だ」
俺の答えにカイラは驚いた様子もなく なるほどと呟く。
「僕たちとは少し違う、僕たちよりも冷静というか戦い慣れしている感じがして何となくそうじゃないかと思ってたんだよ」
どうやらカイラには俺がただの学生ではないことがバレていたようだ。
「そっか」
俺は短く返事をする。
「ユヅキはどんな風にダンジョン攻略をしていたんだい」
とカイラが興味津々に聞いてくる。
俺は少し考えて話し始める。
「とにかく下の層を目指す。ただそれだけを考えて攻略していた。その時は死ぬ気だったよ。でも最近はそれをすることなく自由にダンジョンに潜ってた」
「そうだったんだ。それがユヅキの強さの秘密」
カイラは納得しているようだった。
「ダンジョン攻略者だからって気を使わなくていいからな」
と俺が言うとカイラは笑う。
「わかったよ。これまで通りユヅキから色々なことを学ばせてもらうよ」
それから俺はカイラにダンジョンでの出来事を話した。直近のリフィアの話。それがきっかけでこの学校に通うことになったことを。
その話が終わると今度はヒカリとの関係を聞かれる。
「ヒカリさんとはどんな関係なんだい?」
「ああ。ヒカリはダンジョン攻略者の時の元パーティメンバーの娘。それだけだ」
ガヴェンの娘。今考えても同じ学校にいるなんて偶然があるなんて。
「そうなのか。でもなんで先輩って呼ばれているんだ」
そういえば、まだ先輩呼びだったな。まあ、ダンジョン攻略者として先輩とか二年生の可能性とか言ってたけど。同期だからその呼び方は少し変だと思うがヒカリはもう変えないだろうな。
「俺がダンジョン攻略者で先にダンジョン攻略経験がある先輩。だから先輩呼び。それだけ」
「彼女もユヅキも少し変わっているね」
とカイラはクスッと笑う。
「俺は変わってないよ。変なのはヒカリだけだ」
「そうだね」
その後俺たちは軽くダンジョンのことを話してそれぞれの時間を過ごした。
翌朝、カイラと共に食堂に行き朝食を食べる。カイラとヒカリとエミとネネ、5人で朝食を食べ終え、部屋に戻って準備を整えた俺たちはもう一度5人で集まり話しをしていると、徐々に人が集まり出す。
そして、セルビアが来て
「では今日の予定を説明します」
と話し始めた。
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