第27話 ダンジョン攻略
「今日はダンジョン攻略を行ってもらいます」
ダンジョン攻略。まだ入学してから3日、もうダンジョンに潜るのか。
「ダンジョン攻略!先輩の本当の実力が見れます」
ヒカリは物凄く嬉しそうだ。カイラたちは突然のダンジョン攻略に驚いている。
「ではダンジョンに移動しますのでついてきてください」
といつも通り先頭を歩いていく。俺たちはそれについていく。
今回ダンジョン攻略は初心者が多いから一桁層の攻略だけだろう。だから、魔道具は使わなくてもダンジョン攻略は簡単にできるはずだ。一部魔道具は持っていくが魔剣は持って行かない。それでもどうにかなるだろう。
立ち話をしていた俺たちは周囲のが歩き出したのを見て
「ここで話してたら遅れるし、俺たちも行こうぜ。」
と提案する。
「そうですね」
と返事をして俺たちはセルビアの後を追った。セルビアは学校に戻り、昨日入ることのできなかった部屋に入っていく。そして俺たちもそこに入ると大きな扉があった。
まさか、あの扉がダンジョンの入り口なのか?だとしたら学校とダンジョンが一体化しているってことだ。そんなこと聞いたことない。
ダンジョンを一つの教室の様に扱うなんて、全然想像してなかった。
「ここがダンジョンの入り口ですか?」
一人驚いている俺に対してヒカリがそう質問してくる。
「多分な。ダンジョンが一つの部屋みたいになっていることに俺も驚いているけど」
「実際は違うんですか?」
「俺が見てきたダンジョンでは初めてかな。全部外にあった。こんな建物内のは見たことない。でも、ダンジョンってことには変わりない筈だから気を緩めちゃいけないと思うよ」
「そんなことわかってますよ」
ヒカリにとってはいらない助言だったみたいだった。
そんな会話をしていると全員が扉の前についたらしいく、
「全員揃ったみたいですね」
とセルビアが呟く。すると、ここにいる多くの人がセルビアの説明を聞くために注目する。
「これよりダンジョン攻略を始めます。まずはその説明をしますね」
それを聞いて俺達も話すことをやめてセルビアの話を聞く。
「これから3人1組のグループを作ってもらいます。それからそのグループでダンジョンに潜ってもらい、指定時間以内にダンジョンの5層まで攻略してもらいます」
3人1組。少し少ないがそれでも問題ない難易度なのだろう。それに5層までなら余裕があるはずだ。
「武器は入り口にあるものを使ってください。また、入学試験と同様にダンジョンに入る前に《障壁》の魔道具を付けて貰います。それ以外の武器や魔道具の使用は禁止としますので注意してください」
5層までなら武器も魔道具もなくても攻略は可能だろう。特に気にする内容ではない。
「以上がダンジョン攻略試験の説明です。ではチームを組んでください」
説明が終わりヒカリに話しかける。
「俺たちはどうなんだろう。昨日は先生側だったけど、今日は何も言われてないし」
「今日は手伝いないんじゃないですかね?」
「そうだといいな。俺が聞いてくるよ」
そう言ってセルビアのところに駆け寄る。
「あの先生」
セルビアは俺に気づいて俺が質問する前に察して答える。
「ユヅキくんか。今日はこっちの仕事はないですよ。だから、好きにチームを組んでください」
それを聞いてヒカリの元に戻る。
「今日は自由だって」
「本当ですか!」
ヒカリは嬉しそうに喜ぶ。
「なら先輩、一緒に組みましょう」
と誘ってくる。
「勿論、いいよ」
「やった。先輩とダンジョン攻略」
と小声で喜んでる。
「さて、最後の1人を探しに行くか」
探しに行くと言ったが大体決めている。
俺はカイラのところへ向かう。
「一緒に組まないか」
「ユヅキ、今回は参加できるのか」
カイラは驚いている。
「ああ。それでカイラを勧誘しにきたんだけど」
そう言ったが、カイラの隣にはエミとネネ。それを見て察する。
「遅かったみたいだな」
「悪い。ユヅキと組めるとは思わなくて先に決めてしまった」
「気にしないでくれ。俺が声かけておかなかったのもいけないから。カイラはエミとネネと一緒に行ってくれ。俺はヒカリともう1人を探しなおすよ」
そう言ってヒカリの元に戻る。
「カイラと同じチームではなかった」
「カイラと同じチームになれなかった」
「そうなんですね。エミさんとネネさんもですか?」
「ああ」
「そうですか。残念です」
ヒカリは落ち込んでいる様子。昨日かなり仲良くなっていたからな。
「じゃ、他の人を探さないと」
「はい」
俺たちは他の生徒に声をかけながら他の仲間を探す。しかしなかなか見つからない。大体が昨日のチームメンバーを選んでいる。
「やっぱり皆既にチームを組んだ後みたいですね」
「そうだな」
少しまずいな。
最後のメンバー探しをしているとセルビアがチームを組んだ者からダンジョンに潜れるというアナウンスをし、多くの人がダンジョンに向かった。
アオギもその1人でいつの間にかいなくなっていた。
カイラたちは俺たちに
「先行くね」
と言ってダンジョンに向かった。
残ったのは俺とヒカリ。そしてガタイのいい男。炎を扱う男だ。それが最後の1人。
俺は声をかける。
「俺たちとチームを組んでくれないか?」
「お前は宝探しの」
どうやら俺のことを覚えてくれているらしい。よかった。
「覚えてたか」
「ああ。お前しか残っていないから仕方がない。チーム組んでやるよ」
「なら、早速ダンジョンに行くか」
そう言ってダンジョンの入り口に向かう。扉の前にはセルビアが立っている。
「ユヅキくんが最後だよ」
最後の一人だからかなのかは分からないが他チームは存在しない。
セルビアは説明を始める。
「さっきも言った通り5層を目指してもらいます。ユヅキくんには普通にダンジョンに潜ってもらって構わないのですが、何かあったらすぐに知らせて欲しいです」
「わかりました」
監視の役割か。ダンジョン5層で問題が起こることなんて稀だから念の為って感じだろう。
「最後に《障壁》の魔道具です。ユヅキくんお願いしますね」
そう言われて魔道具を渡される。それを腕につけて武器を選ぶ。どれも同じだったので適当に剣をとり扉の中へと入っていった。
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