第23話 vsカイラチーム(前半)
先程いた場所まで戻って来た俺であったが、誰も挑みにくることはなく時間が経過していた。
場所が悪かったか。どうやら最初のヒカリの叫びは必要なことであったらしい。
そろそろ終わりの時間が近づいてくる。このままでは一つのチームとしか戦えず終わる。
「はあ、仕方がないか」
そう呟いて周囲に大量の砂を集める。そしてその砂を全方位に放つ。
周りにいるクラスメイトは一瞬砂に押されて立っていられなくなる筈だ。そして、それが俺や他のボス役ものだと判断できる実力を持つ宝の欲しいチームはこっちにやってくる。
もう少しで時間なので後回しにはしない筈。
来るなら来い。
俺は剣を抜いて構える。剣を構えて数分が経過する。
そろそろ来る。来なければ俺のゲームは終了だ。
そして、左方向から猛烈な熱気を感じる。
「来たか」
俺は剣を握り熱気の伝わる方向へ向き剣を縦に振り切る。
高火力な炎の弾。
それが迫っていたが真っ二つに切り裂く。炎の球は中央から二つに割れ消失する。それと同時にピリッと手に痺れを感じる。
不味い。電気か。
咄嗟に剣を手離して周囲に砂を展開する。
手を開いて閉じて軽く異常がないか確認する。
炎の弾に電気を付与していた。あのまま握っていたら感電していた可能性がある。
いや、違うな。意図的に剣を離させられたのか。電気に触れると反射的にで手を離してしまう。それを利用された。
剣を離さなければ電気で痺れ身動きが取れなくなるか最悪感電死、離せば剣を失う。あの炎を剣で斬れば発動しどちらにしても俺の行動が制限される。炎を避ければこの森が炎に包まれるので避けると言う選択肢はなかった。スキルを使用して防ぐと言うのが最善択だった。
こいつらはスキル使用を控えて戦えるような甘い奴らじゃない。
「やられたな」
俺は剣を離してしまった。スキルを使わないといけない状態に追いやられた。初手は俺の負けか。
実力は申し分ない。手加減はいらない。
一気に距離を詰めて確実に倒す。
そう考えて走り出す。だが、半透明の障壁が俺の進行を妨げる。横幅はかなりある。高さは3メートルくらい。強度はわからない。
「邪魔だな」
そう思いながら無数の鉄を生み出す。そして、障壁目掛けて放つ。俺が鉄を放った瞬間を狙っていたかのように背後から何かが放たれる。気配だけ察知した俺は放たれたのが何なのか確認するためにちらっと背後を確認する。飛んできているのは5本程の矢。
撃ち落とせばいいか。
そんな俺の思考を読むように俺を囲う障壁が展開される。
逃げ道を奪われたか。防ぐ以外選択肢はないな。
どうも誘導されているように感じるが今回は相手の作戦に乗り、障壁に向けて放った鉄を止める。障壁ギリギリで止まった鉄を一気に上空に飛ばし、障壁を蹴って高く飛び反転して矢を見る。
矢を俺に命中させるため頭上に障壁を展開することはできない。
障壁を足場として使い障壁よりも高く飛び、矢に目掛けて上空に飛ばしていた鉄を放つ。矢は簡単に折れて、俺の元にたどり着く前に落ちていく。
この状態追撃が来ると対処が難しくなる。
「なら!」
空中で自分の周囲に鉄を大量に創造する。
「一度、動きを止める」
そう言って大きく腕を振る。
鉄は木々を貫き、バタバタと木を倒していく。
地形を無視した空からの大量の鉄による攻撃。それを対処する為に攻撃の手を止める。
俺が地面に着地する時には周囲の木々は倒れ視界が良くなっている。そして、俺が見える範囲に4人の人がいる。その内の3人知っている。1人は俺が学校で話した唯一の男のクラスメイトであるカイラ。そして、残り2人は対人試験で印象的だった炎の程よい身体つきの男と少し細身の障壁の男。そしてポニーテールの少女。
障壁の男と炎の男。2人は対人試験、俺が確認できた中で1.2を争う実力があった。正直、試験だけしか見たことがないので2人が組むわけないと思っていた。
そんな2人が組んでいるということは同学年最強のチームってことだ。
時間的にこれが最後。なら、点数ももう殆ど決まりきっているので本気で遊んでも問題ないだろう。それに最強チームが相手だ。ある程度本気を出さなきゃ勿体無い。
「カイラ。最後はお前が相手か」
男たちの方を向いてそう呟く。返事は返ってこない。
「最初の連携による攻撃悪くなかった。だけどあれじゃ俺は倒せないよ」
周囲に鉄を創造しながら近づく。
それを見て前の4人は警戒を強める。
カイラのスキルはわからないが弓を撃ってきたのがカイラであることがそこからわかる。炎の男と障壁の男のスキルと残り1人のポニーテールの少女は電気のスキルだろう。
スキルが絞れればある程度対応は楽になる。
後は残り1人の存在。もう負傷して終わったのか、それとも普通に隠れているのか。後者だとしたら少し厄介だ。
それでも負ける気はないが。
「カイラ。俺は学年最強だ。だから本気で俺を倒したいなら全力を出せ。俺はそれに勝つ」
「わかってるよ。ここからが本番。ユヅキ。僕たちが君を倒すよ!」
そう宣言してカイラは弓を構える。
「やれるものならやってみろ」
そう言って俺は鉄を放ち、俺の動きに応えるように炎の男が炎をカイラが矢を放つ。
それによって第二ラウンドが始まった。
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