第9話 夢の中の夢
僕には寝る前の癒しがある。それはASMR。
様々なシチュエーションの音声が流れてくる。その音声の中に自分が居るような錯覚になり、心身ともにリラックスする事が出来る。
動画投稿サイトを開き、検索する。
よし、これにしよう。
選んだシチュエーション はメイドによるマッサージ。
話しかけから意識を手放し、その世界に飛び込んだ。
どこかのお屋敷の様だ。
「主人、今日は私が癒して差し上げます」そして、一緒にお風呂に入る事になった。お互いに裸である。鏡越しにメイドの裸体が見え、僕の愚息がちょっと反応している。しかし、それが目的ではない。あくまで癒しである
いやらしではない。そして、シャンプーとヘッドスパ、頭皮マッサージが始まる。熟練された手の動きにより本当に頭の血流がよくなる様な感じがする。あー、なんて良いのか。シャンプーを含めたヘッドスパが終わり、身体を洗い。全身マッサージが行われる。まずはうつぶせから始まる首、肩、背中、足と順々にマッサージが行われる。そして、仰向け。メイドがちょっと恥ずかしそうにしている。理由は簡単だ。反応が収まってないからだ。まあ、これは仕方ないのでスルーしよう。腕のマッサージを行い、ようやくマッサージが終わる。さて、この世界から目覚めるとしよう。しかし、ぐっすり寝ているのか身体は目覚めない。次の動画のドアが開き、そのまま吸い込まれた。またシチュエーションが変わった。今度はどこかの住宅街の様だ。目の前に説明が表示された。『貴方達はこの世界に飛ばされました。生きる為にはゲートから脱出するしかない。そのゲートを開けるには4つの暗号が必要だ。その暗号を手に入れれば脱出出来る。検討を祈る。ただし、簡単には脱出出来ない。追跡者を1体用意している。やられないように協力してくれ』そして、カウントダウンと共に目の前にピコビコハンマーが現れた。どうやら、僕が追跡者のようだ。これはゲームだ。実際に誰かを殺める訳ではない。そして、ゲームが始まった。
まずはステージを探索して脱出口と暗号を解く機械を探す。周辺に生存者が居るかも知れないからだ。そして、1人見つけた。どうやら解読に夢中で気づいてない。ピコビコハンマーで軽く叩いた。ダウンした。近くの椅子に固定した。追跡者側は多数の生存者を椅子に固定し、一定時間経過すると追放出来るらしい。そして、生存者側、追跡者側、それぞれにもスキルがある。僕には分身と瞬間移動のスキル。これを駆使する。早速、分身を使う。どこかに歩いて行った。悲鳴が上がった。見つけた様だ。向かうとしよう。分身がガッツポーズをしている。ダウンした生存者を椅子に固定している。なかなか優秀な分身だ。ゲームは進み、残り1つの暗号と二人の生存者。
早く、見つけようと再び分身を使う。あと1人を追放すればこちらの勝利だ。生存者を見つけた。こちらに銃を向けている。なるほど、少しの時間足止めという訳か。撃ってきた。当たった。足止めだろうと思っていたら、何と腹部から血が出ているではないか。焼けるような痛みと共に崩れ落ちた。これはゲームの筈、なぜ、実弾が用意されてるのだろうか。そのまま、その世界から目覚めた。どうやら、僕はそれを夢と錯覚し現実の中で暴れていた様だ。生存者と思っていたのは警官で警官が発砲したらしい。当たり前だ、現実ならば痛みも伴う筈だ。そこで意識を失った。
目が覚めた。どうやら、二重の夢の様だ。
なかなか面白い体験だった。あくまで夢だ。現実と境目が無くならないように気をつけて生きるとしよう。
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