第42話 真実の告白
書き込み後、私はパソコンの前で祈るように手を組んでいた。本当は別にそんな事をする必要は無いんだろう。だけど、今は誰かに反応をして欲しかったのだ。
そしてパソコンの画面を見つめていたその時だった。
『……え? ほ、本当に……!?』
「……あ」
『え、マ? マジ神降臨キタ?』
『この場合は女神降臨では? とマジレス』
そんな書き込みが表示され、私は嬉しさを感じながらキーボードを叩いてそれに答えた。
『皆さん、反応をして頂きありがとうございます。本物の……って、こういう言い方をしたら逆に怪しく見えちゃいますね。私が神野和こと三神勇美です』
『お、おお!?』
『ハルタ、マジGJ』
『非公式ファンクラブに推し降臨とかマジであるんだなぁ』
『あはは……そこまで喜ばれると少し照れるような』
『【朗報】今日も俺達の推しが可愛い【歓喜】』
『マジそれな。ところで、いつもの配信の時のように神野和呼びの方がよき?』
『そうですね……私自身も神野和の一新神だと思ってはいるので、ここでは本名の勇美で通そうと思います。皆さん、改めてよろしくお願いします』
思っていたよりも歓迎ムードな事に安心感を覚えながら私が答えていると、また別の書き込みがされた。
『おk』
『それで、ここへ来たって事は何か俺達に頼みたい事があるん?』
『えっと……犯人についてはハルタさんからも教えてもらっていて、後は自分でどうにかするつもりなので、皆さんには行動を起こす前の配信を観に来てもらいたいんです。
今は自粛中ですが、こうしてファンクラブの皆さんに会えた事でこうしてみたいという配信の内容を思いついたので』
『お、配信の連絡来たか!』
『その時には今回の件について、後は、その……ちょっとした報告をしたいなと思ってます。神野和についてというよりは三神勇美についてではあるんですが……』
『三神勇美について……もしかして本当に付き合ってる相手が出来たとか?』
その書き込みを見て少し迷ったけれど、私は覚悟を決めてそれに答えた。
『それもあります』
『え、マジか!』
『おお、それはおめでたい。実は前からここでも話題になってたんだよ。いつ勇美が誰かと付き合うかなって』
『え、そうなんですか?』
『そうそう。ウチにはよそみたいな杞憂民はいないどころか歓迎してる奴しかいないよ。アイドルとか配信者は恋愛禁止みたいな風潮はあるけど、そうやって縛ってリアルを不自由にしたってしょうがないしさ』
『それで、相手は? やっぱりゴドフリー君?』
『それは……って、どうしてゴドフリー君の名前が?』
その疑問に対しての返答に私は驚く事となった。
『どうしてって、実際に会ってるんだろ? ゴドフリー君と神庭で』
『……え? それじゃあまさか……』
『そう。俺達、新神の多くはなんとなくそうなのかなと思ってたよ。ゴドフリー君と神庭は実在していて、そこでの出来事を話してるんだなと』
『で、でも……どうして……』
私が驚いていると、それに対しての新神もみんなからの書き込みが表示された。
『どうしてって、なあ……』
『個人製作のゲームにしては本当にクオリティが高すぎる内容だし、ゲームの事を話してるというよりは現実であった事を相談してるような口振りだったんだよな』
『最初こそ本当にゲームの内容を話してる感じだったけど、回を重ねる内に新鮮味が増していったから、これは本当にある事を話してるんじゃないかって新神の中で話題になっていたんだ。流石に配信内ではその事について言及はしなかったけど』
『けど、内心ワクワクはしてたな。こっちは第三者だからっていうのはあったけど、こんなつまらない現実を過ごす中でまさかファンタジー小説の中みたいな出来事に遭遇出来てる人がいるなんてって感じだったし』
『羨ましさしか正直なかったよな』
『そうだったんですか……』
新神のみんなからの書き込みを見ながらどれだけ自分が真剣になっていたのかと思っていると、再び書き込みが表示された。
『それで、その配信の時にはゴドフリー君の初登場を期待して良いのかな?』
『あ……そうですね、神庭からの配信が可能そうで本人が望むならそれもありかなと思ってます。望むならというか彼の場合はノリノリでやりそうですけどね』
『ゴドフリー君のご尊顔の答え合わせ来るか』
『ヤマガミとガンキも実際はどんな顔をしてるかってワクワクしてたもんな』
『ヤマガミさんとガンキさん……そういえば、私と同じクラスみたいですけど、結局誰なんでしょう……』
ヤマガミさんとガンキさんの正体について考えていたその時だった。
『みんな、朗報。ヤマガミとガンキがこれから来るってさ』
『え? あ、ハルタさん』
『おお、ハルタ。マジ女神降臨してるぞ』
『俺がここのアドレス渡したからな。和さん……じゃなかった、勇美さん。さっきぶりです』
『はい。ハルタさんも大丈夫でした? さっきの人に逆恨みされたとかは……』
私が心配していると、ハルタさんからの返事が書き込まれた。
『仲間が今回の件は口外しない代わりにもう二度と俺達や勇美さんには関わらせないと圧をかけながら約束させたのでとりあえず大丈夫でした。それで、ヤマガミとガンキにこの件を伝えたらすぐに話がしたいって言うのでそろそろ来るはずです』
『そうですか……』
『もしかして、マジでトラブってたとか?』
『はい、実は……』
さっきの出来事について話そうとしたその時、掲示板に新しい書き込みが表示された。
『三神さん、大丈夫だった!?』
『怪我はない、三神さん!?』
『お、早速二人とも来たな』
『あ、大丈夫ですけど……あの、お二人って一体……』
『あ、そういえばまだヤマガミとガンキでしか名前知らないもんね……それじゃあ、ヤマガミも一緒に名乗るよ』
『……わかった』
そしてヤマガミさんの書き込みの後に表示された書き込みに私は再び驚く事となった。
『改めてガンキこと岩永愛姫だよ、三神さん』
『ヤマガミこと大和美佳……だよ』
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